Pimoco の散歩道 ★ CocoとCoo そしてMilk

Pimocoのつぶやき 愛犬Milkと私の日常生活。

遠野物語

2025年02月23日 04時20分00秒 | 日記
柳田國男が岩手県遠野市に伝わる
逸話や伝承などを集めて編纂した
『遠野物語』は前から興味がありました

『遠野物語』より
オシラサマ
(前略)
昨年の旧暦正月十五日に、この老婆が語りしには、昔ある処に貧しき百姓あり。妻はなくて美しき娘あり。また一匹の馬を養う。娘この馬を愛して夜になれば廐舎に行きて寝(い)ね、ついに馬と夫婦になれり。ある夜父はこの事を知りて、その次の日に娘には知らせず、馬を連れ出して桑の木に吊り下げて殺したり。その夜娘は馬のおらぬより父に尋ねてこの事を知り、驚き悲しみて桑の木の下に行き、死したる馬の首に縋りて泣きいたりしを、父はこれを悪みて斧をもって後より馬の首を切り落とせしに、たちまち娘はその首に乗りたるまま天に昇り去れり。オシラサマというはこの時よりなりたる神なり。(後略)



今回は柳田國男『遠野物語』から、オシラサマの話を紹介したいと思います。

あまりに馬が好き過ぎて……

むかす、あったづもな(昔、こんな事があったそうだ)。

とある農家に一人娘がおりまして、気立ても器量もいいのに、年頃になっても縁談を断り続けていました。

あまりの事に、将来を心配した父親がその理由を糺したところ、娘はなんと「おらァ、ウチの馬と夫婦(めおと)になりてぇ」などと言い出します。

この申し出には父親も仰天しましたが、確かに以前から、厩(うまや)に一人で籠もって馬に向かってずっと独り言を続けている様子を目撃していました。

馬といるのが何でそんなに楽しいのかと訝っていたら、なるほどそんな眼で見ていたとは夢にも思っていませんでした。

「バカもん!お前を永年、手塩にかけて育てたのは馬なんぞにくれてやるためじゃない!」

父親として当然の思いを伝えると、思い切って遠野城下へ出かけていきます。

「……お前が『馬と夫婦になりたい』などと言い出すのは、村にロクな男がいないからに違いない。よぅし、これからお町でこれ以上ない好青年との縁談を取りつけてきてやるから、楽しみに待っておれ!」

父親が出かけてしまうと、娘は馬と夫婦になりました(具体的なやりとりについては割愛されています)。

さぁ、娘が馬と「夫婦になった」ことを知った父親は、烈火の如く怒り狂います。

「おのれ畜生の分際で、大事な一人娘をたぶらかしやがって!」

「おっ父ぅ、やめてけろ!」

懇願する娘も顧みず、父親は馬を裏庭にある桑の木につるし上げ、斧でその首を叩っ斬ってしまいました。

「あぁ……何てむぞい(かわいそう)!」

娘が叩っ斬られた馬の首に縋りついて泣いていると、どういう訳か、馬の首ともども飛んでいってしまったそうです。

たった一人の大切な娘を失った悲しみに暮れていた父親は、ある晩不思議な夢を見ました。

「おっ父ぅ、親不孝な娘でごめんなぁ……その代わりって訳じゃあねぇんだども……」

夢に出て来たのは娘と馬。共に婚礼衣装のハレ姿です。

「裏庭の桑の木で、私たち夫婦を彫ってお祀り下されば、きっと功徳がありましょう」

自分たちの結婚を認めて欲しい……そんな娘の思いに、とうとう父親も折れて馬と娘の像をお祀りするようになりました。

その像は桑を削った棒の先端に顔を彫り込んだ素朴なもので、幾重にも布を着せて支えるのですが、どういう訳か迷い事などある時には馬の顔がどちらかへ向いて「お知らせ」してくれるので、いつしか「お知らせ様」と呼ばれるようになり、それが転じて「オシラサマ」として今日に伝わっているそうです。

どんどはれ(昔話などで「おしまい」の意)。




この本に書かれているオシラサマが私は好きです
悲しい物語ですが 馬(アオ)と共に昇天した娘(ユキ)はのちにオシラサマの言い伝えとなる

怒り狂った父により、桑の木に吊るされ息絶えたアオの首にすがり、泣きくずれる娘の姿に怒った父は斧をふり上げ、うしろから馬の首を斬り落とした。
すると瞬く間に馬の首は飛び上がり、首にすがった娘ともども天空高く飛び去っていく。

悲嘆にくれ、働くことも生きる気力さえもなくした父の夢枕にユキがあらわれた。 

「おどさん、親孝行しねえうちに去(い)んでもうてすまねがった。おがさんにも約束守れねですまねごとした。だどもおら、アオ無ぐて生ぎるごとできね。馬っコがゴデ(夫)で何(な)してろくでなしか、わがらねがった」
父はうなずき涙ぐむ。
娘はさらに語るには、馬屋の飼い葉桶に蚕がいる。蚕は自分とアオの化身である。蚕から生まれる絹糸は高く売れるはずだから、暮らしに困ることはない。せめてもの親孝行と思ってほしい、と。
父が半信半疑で馬屋に行くと、娘の言ったとおり飼い葉桶の中に一対の蚕がいた。
ユキを思わせる白くてふっくらとした蚕と、アオを思わせる馬の顔に似た蚕。父はそれを大事にそだてた。白い二匹の蚕は桑の葉を食べ、たくさんの子を産む。蚕は殖えつづけたので、父の家だけでなくこの地の養蚕業は盛んになった。
父は天をあおぎ、ユキに語りかける。
「おめの気持ち、わがらなかったおどが悪りがった。勘弁してぐれ。罪滅ぼしにユキとアオのご神体、むっためがして(一生懸命)づくったがらな。これからずうどおめらと一緒だ」
桑の枝でつくった娘と馬の一対のご神体はオシラサマとよばれ、養蚕の神さまとして東北の旧家に祭られている。


遠野物語は伝承なので、人それぞれ大まかなところは同じでも、ニュアンスが少しづつ違うのが面白い









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