1959年といえば 南極大陸で1年間置き去りにされたカラフト犬タロとジロの生存が確認された年だ。
そのエピソードは映画にもなり、私も映画館で涙した覚えがある。
そんな年に書かれたポリエチレンの論文をみつける。
わが国におけるポリエチレン業界の現況について
大 石 寅 造
世紀の万能樹脂といわれるポリエチレンが昭和26年に初めてわが国に原料として輸入され てから以後逐年その需要量は増大の一途をたどっており,また昭和33年 4月からは待望の石油化学工業による国産ポリエチレンが一部供給されて国内需要の一端を担うようになった
ポリエチレン製品の一つであるレジ袋が普及するのは昭和50年ころのことであるから、随分前からすでにポリエチレンの普及が始まっていた。
当時はアメリカから輸入されていたが、国内のポリエチレン工場が完成し、その後は輸出するようになる。
この論文にあるように、ポリエチレンは世紀の万能樹脂といわれ急速に普及するが、70年後の現在では海洋汚染の原因の一つとされポリエチレンを原料とするレジ袋は削減運動が起きている。
フロンガスもそうだったように、開発当初は夢の物質であった。
それが普及し廃棄するうちにオゾン層を破壊することが分かった。
オゾン層は太陽光に含まれる有害な紫外線を吸収し、地球上の生き物を守っていた。
人間には夢の物質かもしれないが地球には負担をかけてしまう。
同じくポリエチレンを含むプラスチックも人間にとっては夢の物質だ。
だからこれだけ急激に普及した。
だが、今では海洋汚染を引き起こしている。
今までは人間にとって便利なもの、という発想で開発してきたが、これからはまず地球にとってやさしい、ということを第一条件にものを開発しなければいけないのだろう。