巻頭写真 : 「ヴィッザノーヴァ峠」から望む山々
地中海からいきなり屹立する高山「コルシカ島」は
海の国で山の国
地球創生期の野生の自然が多く残るゆえに「美の島」と呼ばれる
これまでコルシカ島の西岸をたどってきたが一旦「アジャクシゥ」にひき返し
そこから18世紀末初めて「自由コルシカ共和国」を宣言した時の首都「コルテ」を
目指して山道を島の中央部まで辿ってみよう
Map by ⒸGoogle Map
黄色の線が国道で白が県道
見にくいが左上から右下に伸びる黒の点線が「上コルシカ」と「南コルシカ」の県境
この国道193号線で北上すると73kmで「コルテ」に至るが
まず県境までいくつかの集落をご紹介する事から始めよう。
この国道はアジャクシゥの北東の入り口で二股に分かれて町を東西に挟んで流れる
「グラヴォーナ川」の流れに沿って坂の打って行く
アジャクシゥから1時間ほどはそれほど標高は高くはない
15〜6kmほどで『タヴェーラ村』
『Tavera』
典型的なコルシカの山里で大した特徴はないが
村はずれの森の中に古代の巨石文明の遺跡が残っている
先にご紹介した「フィリトーザ」風の彫刻メンヒル
そして要塞型防御集合住宅「カステッデュ」
これまでの例もそうだったが
「カステッデュ」は見晴らしの良い高台にある
カステッデュからの見晴らし
そして周囲を高山に囲まれるため
水源には不足なく
「グラヴォーナ川」の渓谷美もはハイカー達に好まれている
この村には島に二系統しかない鉄道の幹線「アジャクシオ/バスティア線」の
駅がある
※
「タヴェーラ」から6kmほどで『ボコニャーノ村』
『Valée de Bocognano』
この村のある谷間は「ボコニャーノの谷あい」と呼ばれる
『Ghjese Santa Luccia』
「サンタ・ルチア教会」の鐘楼が白く輝く。
鐘楼の下1/3が切石組みで最上部だけ化粧塗装がなされている
『Fontaine』
この水場(フォンテーヌ)は1883年に設置されたもの
『Mont d'Oro』
村から直線で10km真北に名峰「モンテ・ドーロ」がそびえる
島に40座以上ある2000m超の高峰の一つで標高2389m
その万年雪から滲み出る清流が滝を形作っている
島の多くの滝の中では落差が大きくウエディング・ヴェールのように見える事から
『花嫁ヴェールの滝』と呼ばれている
『La Cascade du Voile de la Mariée』
実はこの滝は落差が非常に大きく上から1/3ほどのところに観覧台がある
人が10人ほど写っているのだが判別で汁だろうか
その観覧台からの光景
季節によって水量が違うが水量の少ない季節は本当にヴェールの様に見える
さらに渓流が変化に富んでいるので
キャニヨニングの聖地としても愛されている
最後にこの村の歴史上の人物を一人ご紹介しておきます
『Antoine Bonelli dit Bellacorsi-Bandit d'Honneur de Bocognano』Pierre Ucciani
この村出身の画家ウッチアーニの描いた「アントワーヌ・ボネッリの肖像」
「サルテンヌ」の項で話題にした
町の二家系が狭い路地を挟んで窓から銃撃戦を行っていた話を覚えておられるだろうか
コルシカ島は昔から村々にギャング集団のような族党があった
山国では山賊の
海岸では海賊の
それぞれの縄張りがあり其々の親分が率いていた
この絵に描かれた「ボネッリ」は「ボコニャーノ村」の「Bandit d'Honneur (名誉大親分)」
と呼ばれる伝説の人物なのです
※ ※
「ボコニャーノ」から7〜8kmで県境の峠
『ヴィザヴォーナ峠』
木立の陰にやや広い駐車スペースがあるので小休止していると
どこからともなく放牧中の豚やらイノブタが近寄ってきたりする
車を止めて近くの斜面をよじ登ると
北側に「モンテ・ドーロ」の威容が正面に見える
写真の右端に二つの突起がお分かりになるだろうか
『Ancient Fort de Vaux』
すぐ近くにある城塞の廃墟『旧ヴォー要塞』
「fort」と呼ばれているので「要塞」だが
おそらくそれほど大規模なものではなかったのではなかろうか
各所に多く残るジェノヴァ時代の単独の塔でないことは確かだ
この辺り一帯は「コルシカ地域立ヴィザヴォーナの森」という
コルシカ独自の自治体法が管理する森で
旧要塞以外にも清流あり滝あり登山道ありで充実しており
秋には欧州では珍しく黄葉ではなく紅葉が見られる
峠を下ると『ヴィザヴォーナ村』
この村も「コルシカ鉄道アジャクシオ⇆バスチア線」が止まる
国道沿いはかなりの森で見通しがきかないが
駅のところだけ抜けている
かつてはレトロなジーゼル列車が走っていて甲高い警笛が山々に木霊していたが
つい最近現代的な車両に代ってしまった
駅を降りるとすぐにハイキングコースや登山道の翔式があり
カフェが一軒だけ
このカフェで一休みして
次回はこの辺り一帯の森と滝と高山の連なりとを訪れることにしましょう
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