やっと、プログラムが届きました。
9月に、和歌山で開催される「第52回日本病院・地域精神医学会総会」。
プログラムの構成に、かなり苦労の跡が伺えます。
結構、気合い入っていますね~。
この学会の特徴は、精神保健福祉の現場の学会であること。
現場を知らない大学人や研究者は、ほとんどいない。
病院や地域で、様々な実践活動に取り組む人々で構成され、運営されている学会であること。
そういった意味では、とてもリアルな学会といえます。
また、「医学会」でありながら、参加者のほとんどは、非医師が多いこと。
看護はもちろんのこと、最近発表でも多く、会員が増えているのはPSWとOT。
役員(理事・評議員)には、最近は、選挙で選ばれたユーザーもいる。
すべての人が対等に議論することが、当たり前になっている学会です。
そして、学会の理念として「行動する学会」を目指していること。
年一回の総会は、他の学会と同様、報告発表会という要素が強いけども。
その時々のビビッドな課題を取り上げ、委員会で深め、問題提起をしていく。
現場の矛盾・課題を、施策・制度上の問題として、厚生労働省等に働きかけていく。
学会創立以来の「精神医療改革」の熱い志を、今も受け継いでいる学会といえます。
それだけに、最左翼に位置するラディカルな学会という、評価が今でもあります。
厚生労働省や日本精神科病院協会にとっては、目の上のたんこぶ的な存在でしょう。
でも、この学会がかねてより主張してきたことは、どんどん当たり前の事になっています。
むしろ、旧弊なこの国の精神医療を、切り開いてきた学会と言えると思います。
立場によって、評価は大きく分かれるでしょうけど…。
今回総会が行われる和歌山県は、お世辞にも精神医療が進んでいるとは言えません。
むしろ、病院精神医療の活動については、はっきりと後進県と言えます。
でも、地域精神保健福祉活動では、粘り強い様々な活動が取り組まれています。
「ほっとけやん!」というメインテーマには、現地の人々の色々な想いが込められていると思います。
どんなディスカッションが展開されるのか、今から楽しみです。
龍龍
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第52回日本病院・地域精神医学会総会
2009年9月18日(金)~19日(土)
和歌山市市民会館(南海和歌山市駅より徒歩5分)
メインテーマ:ほっとけやん!!~このままでいいのか、私たちの地域とくらしと精神医療~
総会事務局:社会福祉法人 一麦会 麦の郷 紀の川・岩出生活支援センター内
■ シンポジウム
①「自立支援法下の精神障害者福祉」~こんな悪法ほっとけやん、今、私たちはこうしています~
座長:金杉和夫(東京・金杉クリニック、医師)
加藤直人(和歌山・一麦会、理事)
シンポジスト:長岡健太郎(弁護士)
山本耕平(立命館大学、教授)
東 俊裕(熊本学園大学社会福祉学部、教授・弁護士)
野沢和弘(毎日新聞論説委員)
大谷真之(自立生活応援センターチャレンジ、当事者)
②「和歌山の地域をつくり出す」~こんな状況ほっとけやん、だから私たちこうしてきた~
座長:川崎 元(和歌山・やおき福祉会、理事長・医師)
シンポジスト:江上直子(和歌山・麦の郷 和歌山生活支援センター)
中西 優 (和歌山・わかやま高齢者協同組合理事長)
山崎文三(和歌山・和歌山県精神障害者団体連合会、当事者)
松岡信一郎(和歌山・和歌山市保健所精神保健相談員、PSW)
岩本匡史(和歌山・あすなろ共同作業所、OT)
③「心神喪失者等医療観察法を検証する」~指定入院医療機関を中心に~
座長:樋掛忠彦(長野・県立駒ヶ根病院、医師)
大賀達雄(埼玉・鴻巣病院、心理)
シンポジスト:山岡信明(広島・小泉病院、医師)
石丸正吾(岩手・独立行政法人国立病院花巻病院、医師)
池原毅和(東京・東京アドヴォカシー法律事務所、弁護士)
指定討論:関口明彦(東京・全国「精神病」者集団運営委員、当事者)
■ 特別学術講演
「統合失調症への早期介入の試み」
座長:馬島将行(和歌山・和歌山県立こころの医療センター院長)
講師:篠崎和弘(和歌山・和歌山県立医科大学神経精神科教授)
■ ランチタイムセッション
①「ほっとけやん 和歌山県の精神保健福祉」
座長:上野半兵衛(和歌山・国保野上厚生総合病院、副院長)
演者:伊藤静美(和歌山・社会福祉法人一麦会(麦の郷)、理事)
②「和歌山県における精神医療の歴史」
座長:朝井 忠 (和歌山・前和歌山県立精神保健福祉センター長)
演者:北端裕司(和歌山・和歌山県立精神保健福祉センター長)
■ 公開市民講座
「若者 と いま」~若者の悩み、仕事、ひきこもりの中で~
座長:生駒芳久(和歌山・県立こころの医療センター)
シンポジスト:宮本 聡(紀南療育センター、医師)
山本耕平(立命館大学、教授)
氏家志穂(あざと共に生きる会 FuーClover代表、当事者)
(他に1名予定あり)
■セミナー
① 精神科専門薬剤師精神医学セミナー(1)
コーディネーター:中谷真樹理事/吉尾隆委員
精神科薬物療法の基礎:稲垣 中 (東京・慶應義塾大学、医師)
多剤大量療法からの脱出:天正 雅美(大阪・ほくとクリニック病院、薬剤師)
看護職の立場からみた薬物療法:菊池謙一郎委員(岩手・岩手県立大学、看護)
当事者の立場から見た薬物療法:山口弘美委員(長崎・全国精神障害者ネットワーク協議会、当事者)
②精神科専門薬剤師精神医学セミナー(2)
講師:中谷真樹(山梨・住吉病院、医師)
吉尾 隆(千葉・東邦大学、薬剤師)
③ 診療報酬委員会企画診療報酬セミナー
PSWの立場から:日本精神保健福祉士協会 診療報酬担当者
OTの立場から:日本作業療法士協会 診療報酬担当者
看護の立場から:日本精神科看護技術協会 診療報酬担当者
■ 一般演題分科会
①「急性期医療」
座長:崔 秀賢(京都・岩倉病院、医師)
香山明美(宮城・県立精神医療センター、OT)
②「地域生活支援Ⅰ」
座長:山下俊幸(京都・京都市こころの健康増進センター、医師)
大塚淳子(東京・日本精神保健福祉士協会、PSW)
③「さまざまな取り組み」
座長:新垣 元(沖縄・新垣病院、医師)
比留間ちづ子(東京・若年性認知症社会参加支援センター「ジョイント」、OT)
④「心理教育」
座長:大賀達雄(埼玉・鴻巣病院、心理)
長安正純(岡山・川崎医療福祉大学、OT)
⑤「地域移行Ⅰ」
座長:今出 徹(和歌山・国保日高総合病院、医師)
大沢 隆(山形・上山病院、看護)
⑥「調査/研究」
座長:白石弘巳(埼玉・東洋大学、医師)
仁木 満(和歌山・県立こころの医療センター、看護)
⑦「薬物療法」
座長:井谷隆典(和歌山・岩崎病院、医師)
柴田文江(東京・クボタクリニック、看護)
⑧「地域移行Ⅱ」
座長:伊藤哲寛(北海道・北見赤十字病院、医師)
竜田直嗣(和歌山・田辺保健所、PSW)
⑨「病棟における実践」
座長:今岡雅史(島根・松江市立病院、医師)
井上英治(大阪・さわ病院、OT)
⑩「デイケア」
座長:樋田精一(北海道・つるい養生邑病院、医師)
濱上幸司(長野・村井病院、OT)
⑪「地域生活支援Ⅱ」
座長:岩尾俊一郎(兵庫・県立光風病院、医師)
山本昌代(和歌山・岩出保健所、保健師)
⑫「障害者自立支援法関連」
座長:木村朋子(東京・にしの木クリニック、PSW)
蕨野隆久(和歌山・社会福祉法人筍憩会、PSW)
⑬「地域移行Ⅲ」
座長:小野紀夫(和歌山・紀南こころの医療センター、医師)
古屋龍太(東京・日本社会事業大学大学院、PSW)
⑭「訪問」
座長:中谷好宏(和歌山・県立こころの医療センター、医師)
金山千夜子(島根・海星病院、看護)
■ 交流コーナー
①「長期在院患者の地域移行を目指す退院コーディネート(7)」
古屋龍太(東京・日本社会事業大学大学院、PSW)
②「精神障がい者ご本人が働くために自ら読むデキストの紹介」
中原さとみ(東京・IPS-Tokyo/桜ケ丘記念病院、PSW)
③「自ら考え行動する取組から~アンプリアールでみつけた私の勇気~」
木村まゆみ(和歌山・一麦会けいじん舎アンプリアール、当事者)
④「我が国の精神科医療における隔離/身体拘束に関する論点整理」
長谷川利夫(新潟・新潟医療福祉大学、OT)
⑤「医療観察法対象者の自殺について」
桐原尚之(全国「精神病」者集団、運営委員)
⑥「退院促進で困った!パート2~知的障害/発達障害の人への地域支援~」
鈴木恵美(東京・都立多摩総合精神保健福祉センター、保健師)
⑦「WRAPで元気になろう!~元気になるための工夫やリカバリーについて考える~」
坂本明子(福岡・NPO法人WRAP研究会/久留米大学精神神経科学教室、PSW)
⑧「精神科デイケアの現状~メンバーの睡眠の質の検討~」
清水英治(千葉・秋元病院、OT)
■ 夜間交流集会
①「精神医療/福祉の現状を問う Part7」
原田 徹(京都・ウエノ診療所、心理)
②「各職種からみた精神科デイケアの魅力を語ろう Part2」
森泉智男(大阪・浅香山病院、心理)
※画像は、紀勢本線・紀伊田辺駅にて