PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

投げかけられた問い

2010年03月08日 03時18分58秒 | 専門職大学院
先週の土曜日は、専門職大学院の今年度最後の入試でした。

入試管理委員長の僕としては、一つ肩の荷が降りて、ちょっとホッとした感じです。

すぐにまた、来年度の入試広報戦略を組み立てて行かなきゃならないんですけど…。



専門職大学院では、色々な入試を行っています。

社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者入試。

昨年から始めた、一定の基準を満たした社会福祉法人等による指定法人推薦入試。

現職の職場長による推薦入試や、学部新卒者の学内推薦入試。

そして、一番基本になっているのが、一般入試。



この一般入試は、出願書類、小論文、基礎知識、個別面接による審査のほか、グループディスカッションという試験があります。

大学に隣接している清瀬療護園の入所者等、福祉サービス利用者を交えて、受験生がグループで意見交換するものです。

グループの運営進行は、担当した当事者の入試特別委員にゆだねられます。

障害当事者がその場で投げかけた問いかけに応えていくのですから、受験生からすれば準備のしようもなく大変です。

教員は傍らから、ただ黙ってグループの様子を拝見しています。



今回の試験では、精神保健分野の当事者としては、澤田優美子さんにお願いしました。

僕とは、前職の病院で、障害年金の再審査請求を一緒に闘った仲間?です。

世界クラブハウス連盟の委員などの活動を通して、第1回リリー章を受賞し、去年は福祉士W資格にも合格した当事者です。

「何を話したら良いのか…」と、お願いした当初、戸惑っておられましたが、いいグループ運営をしてもらえました。



彼女が受験生に投げかけた質問。

「障害者の存在意義って、なんだと思いますか?」…。



「ただケアやサービスを受ける対象として、障害者である自分を思うと、とても悲しくなります。

自分の存在意義が感じられないと、生きていないみたいで、私は死んでしまいたくなります。

障害者が生きている社会的な存在意義って、皆さんはなんだと思いますか?」



たぶん、そのグループの受験生は、あっけにとられ、さぞかし悩んだと思います。

障害者と言えば、サービスを提供する対象者、利用者としてしか考えたことないでしょうし。

障害者自身の社会的存在意義なんて、考えたことすらないと思います。

専門職大学院では、こういう正解のない議論をよくしますが、僕だって、その場にいたら答えに窮すると思います。

結論を出すことが、入試のグループディスカッションの目的ではないので、答えがなくて良いのですが。



さて、もし、あなたが同じ問いを投げかけられたとしたら、どう答えますか?

…( ̄○ ̄;)?