病院の相談室で仕事をしていると、時々、外来診察への苦情が寄せられます。
病院という組織に属する一員のPSWとしては、なかなか悩ましい問題です。
「予約時間に来ても、延々待たされる」
「先生が、全然話しを聞いてくれない」
「コンピュータの画面見ていて、とうとう顔を見ることもなかった」
「たくさんの患者さんが待ってるのはわかるし、忙しいと思うけど…」
「露骨に、忙しい、聴いてられない、みたいな表情をされて、イヤだった」
「精神科なんだから、患者の話しは、やっぱりきちんと聞いて欲しい」
「精神科医として以前に、人間としてどうよ?というような対応だった」
「すごく傷ついた。人間として許せない。あの医者、替えて欲しい」
話しを聴いていると、ドクターハラスメントにあたるような事案もあります。
あの先生なら、言いかねないなぁ~、と思い当たる節もあります。
一方で、ちょっと、その受け止め方は違うんじゃないか?と思うこともあります。
コミュニケーションが不足しているなぁ~、と残念なこともあります。
そんな相談の時、PSWとして、ニュートラルな立場を意識して、話しを伺います。
いわゆる苦情処理ですが、最初からクレームという捉え方をすると、評価が歪みますから。
コンフリクトが生じている時、大抵は相互のコミュニケーション不足があります。
感情的な行き違いもあり、代弁者として、医師に患者側の気持ちを伝えます。
医師が、素直に、冷静に、話しを受け止め、患者との関係が改善することも多々あります。
一方で、医師も人間なので、感情的・被害的になり、逆ギレする医師も、中にはいます。
PSW側の伝え方や、課題調整のコミュニケーション能力が試される時ですね。
その病院でのPSWの立ち位置や、病院総体のレベルも表れる場面とも言えます。
実は、多くの患者さんや家族は、医療従事者が考えている以上に、病院に遠慮しています。
本当に言いたいことは我慢して、職員に合わせて、諦めているところもあります。
医療サービスを受ける患者側が、コンシューマーとして権利を主張しても良いのですが。
多くの患者さんは、お医者さんに遠慮して、萎縮して、叱られないようにしています。
先生の前だと、緊張しちゃって、うまく話せない、という人もいます。
あまり話しちゃ、先生に迷惑だし、何も言えない、という人もいます。
率直に言いたいことが言えない関係は、治療上も好ましいとは言えません。
意思疎通を欠いた情報不足は、外来診療の質そのものを危うくします。
精神科医療のネガティブな問題点を挙げると、キリがなく、何も解決しないので。
お互いの体験をピアに持ち寄り、ポジティブに解決の方策を考える場が必要です。
そんな、精神科を受診する当事者と家族のための講座を、今度開催します。
題して、「精神科受診のススメ」です。
当事者の方だけでなく、PSWや学生さんも、一緒に参加して考えて欲しいと思ってます。
本当は、お医者さんにこそ参加してもらえれば、一番良いんでしょうけどね(笑)
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
西東京市地域活動支援センターハーモニー
当事者・家族講座
「精神科受診のススメ~医療サービスを上手に使うために」
講師 日本社会事業大学専門職大学院 准教授 古屋龍太
2010年10月9日(土)午後2時半~5時(開場午後2時~)
西武新宿線・西武柳沢駅下車、南口徒歩1分 柳沢公民館視聴覚室
西東京市柳沢1-15-1
参加費無料・定員90名
参加ご希望の方は、事前に主催者側にお申し込み下さい
地域活動支援センターハーモニー
〒188-0011 西東京市田無町4-8-22 ビラ田無104号
TEL 042-451-6566 FAX 042-451-6567
※画像は、蓮に覆われた上野不忍池