僕は今から4年前、大学の教員になりました。
我が国で唯一の福祉専門職大学院の、実務家教員として。
たまたま公募採用の話があって、応募したら通ってしまいました。
もちろん競争はありましたし、よく採用されたなと今でも思います。
「実務家教員」というのは、専門職大学院に特有の教員です。
法科大学院に弁護士が、教職大学院に教諭が採用されるのと一緒です。
苦しい研究生活を経て、立派な論文を書いてきた研究者の方と異なり、
現場の実務を担ってきた教員を、社会人大学院の教育に活かそうというものです。
それなりに臨床経験を重ねてきた、自分のプライドもあったつもりです。
むしろ、現場を体験してきた者だからこそ、伝えられるものもあると思っていました。
「実務家」としての体験を強みに、大学という舞台でできることをやろうと思いました。
しかし、大学に入職早々に、そんなちっぽけなプライドは打ち砕かれました。
採用されて一番最初の、4月の新任教員歓迎会でのことでした。
当時の大橋謙策学長から、強烈な一言を頂きました。
「実務家教員の賞味期限は、せいぜい3年だからな。まぁ、せいぜい頑張ってくれ!」
…どうリアクションして良いかわからず、もう笑うしかありませんでした。
僕の以前にも、もちろん専門職大学院に実務家教員はいた訳で。
その方に聞いたら、やはり同様のことを言われたそうです。
ただ、その時は「賞味期限は5年」と宣告されていたそうで…。
「僕は3年って言われちゃいましたよ~」と一緒に笑い合い、慰められました。
大橋さんのお人柄をご存知の方なら、おわかりでしょうが。
いくつになってもお元気で、アグレッシブで、厳しい毒舌を吐かれる方です。
自身の狭い実務経験に慢心することなく、大学教員として精進せよと、
採用を決めた学長として、精一杯のエールを不器用に贈って頂いたと、今は考えています。
そんな僕も、いつの間にか大学教員5年目となりました。
賞味期限3年は既に過ぎ、ぎりぎりの5年目を迎えることになりました。
もう、いい加減に腐り始め、食えたもんじゃないという期限なのかも知れません。
社会人大学院の教員として、自身の力量が問われる年を迎えています。
僕なりに、この4年間、今の仕事に精一杯取り組んできたつもりですが、
まだまだ、大学の教員としては、歳だけ食ったヒヨコでしかありません。
今は学長も退かれた大橋さんに、そのうちいつか、尋ねてみたいことがあります。
「僕、賞味期限、過ぎちゃいましたけど、どうでしょう?…まだ、食えますかね?」
(^_^;)
※画像は、今年の正月出張の際に、紀伊田辺で食べた「かぶら寿司」。
「味の本陣栄」のカウンターで、店主にお勧めを聞いて、食べました。
初めてでしたが、鮮度もよくて、こちらはとても美味でした。
あ、記事本文とは、まったく関係ありませんが。
古米の例えは古古古古古米になっちゃって言いにくいので、これを機にワインに変更しちゃいましょう!(泡盛、焼酎、ウィスキーでもありですね。)
私の尊敬する研究者は現場経験がある、もしくは現場をしっかり理解している方々です。これからも深みのある素晴らしい研究&教育を期待しております。ファイツです!
しかし、シメサバ美味しそうですね。ゴックリ。