今年になって初めての輪行だよ。
朝の気温は3℃、しかし日中は14℃ほどまで上がるという予報だ。ちと寒いが天気は上々。
上総湊の駅を出発するときは、日差しにも温もりがあったよ。嬉しいねえ、青空だ。
近くにいた若者に写してもらったんだ。
いつものようにまずコンビニへ向かったよ。水とアンパンを仕入れにね。
走りだすとすぐに、ハンドルに小さなガタがあるのに気がついた。締め方が少し甘かったんだろうね。
コンビニに立ち寄ったついでに、ハンドルを引き抜いてヘッドを締め直した。時間をとられてしまったが、今日はそれほどの距離を走るわけでもないので大丈夫だろう。しかし、時間は既に10時に近い。あまりのんびりもしていられないね。
これからどんな道が待っているのか。今が一番ワクワクするときだ。寒さは感じない。ペダルも軽いよ。
国道465号へ出て、東へ500メートルほど走ったところにある丹後橋で湊川を渡り、未舗装のたんぼ道を進む。景色はまだまだ枯れ草色だよ。
地図の上では国道465号と並行して走る一般道を東へ向かう。房総半島はアップダウンが多いね。
県道182号、通称もみじロードを通り越し、静かな道を行く。風が気持ちいい。
遠く鹿野山の山並みが見える。のどかな眺めだね。
上り坂の手前にある橋は新環橋という。川は志駒川だよ。車もほとんど通らない。最高だね。
関尻というところから、湊川に沿った県道88号を南へと進む。相変わらず車は少ないよ。日曜日だからもっと車が多いかと思っていたよ。
早春の日差しを浴びて、ペダルは軽快に回る。
満開の桜、頼朝桜(河津桜)というのだろう、沿道の所々に見られる。鮮やかな黄色い菜の花も。
湊川を渡る橋の上から、左手に滝が落ちているのが見える。水の落ちる音もはっきりと聞こえてくるよ。橋の名前は瀧見橋という。なるほど。
う~ん、青空をバックに満開の桜だ。
前方の橋は豊岡橋だよ。じき戸面原ダムだ。山の姿もいいねえ。
ダム湖に架かる長川橋だ。通行止めとあるが、もしかしたら自転車くらいは通れるかもしれないね。ダム湖の東を回って荒神森トンネルを潜って行きたいんだが、ダメなら戻ってこよう。
橋の上からの眺めだ。静かな湖に釣り糸を垂れている。今日は最高の釣り日和だろう。
あれまっ、こりゃだめだね。すごい崩落だ。道が完全に消えているよ。…残念だね。
再び県道へ戻り、すこし先の上郷橋を渡って行くことにした。
さっきの長川橋と似たような鉄橋だね。この橋を渡って松節林道へ行くよ。
ここが林道の起点だ。どんな林道だろうね。
う~ん、いい雰囲気だよ。
ヤギさんが一匹、じっとこっちを見ているよ。数軒の民家があるきりの小さな集落だ。ここが松節という集落だね。
すぐその先で舗装が切れた。松節林道の終点だ。ここから大山・横尾林道に合流するよ。
おおっ、いきなり道が荒れ始めたよ。
遠くに見えるのは嶺岡中央林道のある山並みだろうか。初めての輪行旅が、あの嶺岡中央林道だったんだ。
大山・横尾林道は左だ。右は山中林道だ。
大山・横尾林道を長狭街道へ下るつもりだったが、うっかりこの分岐を右へ行ってしまったんだよ。少し行ったところですぐに変だと気がついた。引き返そうと思ったとき、オートバイの一団が山中林道を下ってきたんだ。それはそれはものすごい一団だったよ。何十台続いて来たことだろう。次から次と現れては去り現れては去り、すさまじい爆音を響かせ、石ころを跳ね飛ばしていった。追い払われるように狭い林道の端に身を寄せ、まったく動けなかったよ。
オートバイの一団が去ったあとで自転車の向きを変えて、オートバイが去った方へ引き返した。オートバイの排気のにおいがまだ辺りに残っている。あ~あ、恐ろしかったね。
先ほどの分岐まで戻って、大山・横尾林道を下って行く。
林道終盤の急勾配の下り坂は予想していた以上だったよ。一瞬でもブレーキレバーから手を離したら最後、自転車はたちまち暴走状態になってしまう。重心をなるべく下のほうにするために、できるだけペダルに体重をのせ、お尻を思い切りサドルの後ろに引いて下って行く。
ウオ~ッ!
ああ、なんとか無事に急坂を抜けたよ。ここは、戸面原ダムからずっと続いている
県道88号だ。先の信号のあるところが長狭街道の金束交差点だね。
長狭街道はけっこう車が走ってるよ。気を付けよう。
およそ1.5キロ加茂川に沿って下り、この古びた大山橋を渡る。
あちらこちらに満開の桜が見られる。
大山千枚田だ。菜の花もきれいだね。季節がもう少し進んで新緑の頃になれば棚田ももっと美しいことだろう。
棚田のはるか遠くに嶺岡中央林道の山並みが見えるよ。
さあ、今度は佐久間ダムへ向かうぞ。
再び県道88号を進み、法明・大崩線という市道を上って行くことにした。これがまた大変な急勾配の道だよ。ヨイショ、ヨイショ。
ここが法明というところだ。すぐそこには津森山からの山並みがある。御嶽大権現はこの近くにあるのかな。
道端にひっそりと咲くこんな桜もいいね。
そろそろ大崩水仙郷だ。しかし、水仙の季節にはもう遅い。わずかに咲き残っている花も枯れかかって元気がない。
佐久間ダムは人と車でごった返していたよ。ちょうど頼朝桜祭りの時期だからね。来る時を間違えたかな。静かな山の中のダムを想像していたんだ。ここが房総一の桜の名所とは聞いていたが、まさかこれほどの人出とは思わなかったよ。駐車場へ向かう車の列にはびっくりしたし、うんざりした。
佐久間ダムのダム湖だ。水がひどく濁っているよ。でも、調べてみるとこのダムの湖水の色はだいたいこんな感じらしい。ちょっとがっかりだね。
これがダム本体だね。
空は青いが、水の色がいまいちだよ。
車の多い道を避けて、山道を行こうと思った。途中までは桜もきれいに咲いていて最高の気分だった。しかしその先の道があやしくなってきた。
しかたなく引き返して、金銅橋を渡り、あとからあとから追い越して行く車におびえながら長狭街道へ向かう道を上って行ったが、湯沢トンネルを抜けた先で右手の細い道へ逃げ込んだ。この道は横根峠に近い長狭街道につながっているはずだ。
車が来ないのはいいが、恐ろしく急勾配の上り坂だ。しかも上りっぱなしで、いやになるほどどこまでも長く続くよ。途中まで頑張ったが、とうとう自転車を降りて押すことにした。押すのもけっこうきつい。大殿筋がとても痛い。
やっとの思いで長狭街道に出たよ。やれやれ。
横根峠はすぐそこだった。峠を過ぎて少し下ったところから県道182号へと進み、そのまま志駒川に沿って下って行くよ。車も来ないし、今日は静かなもみじロードだ。下り坂をガンガン飛ばす。しこたま汗をかいた身体に風がちょっと冷たい。
公民館のところで一休みだ。
志駒川が横を流れている。流れる水の音は、疲れた体を癒してくれるようだ。
いよいよ保田見林道の入口だ。さあ、また急勾配の始まりだよ。
林道に入ってすぐに12~13パーセントの上り勾配が1キロほど続くよ。
たまに開けたところに出るが、景色を楽しむ余裕などほとんどない。
延々と続くように思われる急勾配だよ。
やっとピークまで上ったかと思うと、一気に下ってまた上りだ。しかも勾配のきつい上りだよ。
急勾配のアップダウンがいくつも続く。ああ、頑張るのはよそう。今日はもう両足がお休みしたいらしい。自転車を降りて押すことにした。しかし押すのもつらい。お尻のあたりの筋肉が痛がって泣いているよ。
鎌倉古道と書いてあるよ。こんなところにもあるんだね。
この景色は新緑の季節に走ったら気持ちがいいだろうなあ。
ここが保田見の集落だろう。集落とはいっても、ほんの数軒の家がうずくまるように屋根を寄せ合っているだけだ。
そろそろ道は下りになるだろう。
さっきの集落の青い屋根が遠くに見えるよ。もの淋しいくらい静かな眺めだね。
小さな上りもあるが、もうほとんど下りだよ。しかし道はかなり荒れたところもある。
スピードを出しすぎないように気をつけよう。おっとっと、ガードレールのないところもあるぞ。
崩れているよ。覗いてみよう。おお怖。
やっと一つめのトンネルだ。このトンネルが現れるとそろそろ林道も終りに近づく。ホッとすると同時に、ちょっと淋しい。
二つ目のトンネルだ。上を見ると今にも崩れ落ちてきそうだよ。くわばら、くわばら。
三つ目のトンネルだよ。このトンネルはちょっと長い。予備のライトも付けて通り抜けた。中はかなり荒れていたよ。壁面や天井から崩れ落ちた岩や石ころがいたるところにころがっている。石に乗り上げるとひっくり返りそうになる。
出口はこんなふうだよ。いい雰囲気のトンネルだったね。
山の枯れ木や枯れ草が西に傾いた弱い日を浴びている。
ようやく林道を抜けた。いや~、きつかったねえ。
さあ、相川沿いに下って行くよ。
ここが「石見堂やぐら」というところか。階段がずいぶん苔むしている。なかなかいいねえ。
巨大な岩を四角く掘って作った部屋の中に石仏が整然と並べられているよ。
「石見堂やぐら」の上り口から数十メートル先へ行った岩壁に見つけた。学のないみみ爺にはよくわからないが、なぜかこういうものを見つけると思わず手を合わせたくなる。
相川が湊川に合流するところにあるT字路手前にもこんな所があった。
きっとこの一体一体の石仏たちも、過去の人々の苦しみや悲しみから生まれてきたものなんだろうね。この頃、いや、歳をとるごとに、こうした石仏たちを見ると、なぜか心がしんと静まってくるのを感じる。たぶんそれは、石仏たちの中に、必死で生きた人々の祈りや願いが見えるような気がするからなのかもしれない。…なんてね。
湊川に架かる神田橋の上からの夕景色だ。
ああ疲れた。…座れるといいなあ。
朝の気温は3℃、しかし日中は14℃ほどまで上がるという予報だ。ちと寒いが天気は上々。
上総湊の駅を出発するときは、日差しにも温もりがあったよ。嬉しいねえ、青空だ。
近くにいた若者に写してもらったんだ。
いつものようにまずコンビニへ向かったよ。水とアンパンを仕入れにね。
走りだすとすぐに、ハンドルに小さなガタがあるのに気がついた。締め方が少し甘かったんだろうね。
コンビニに立ち寄ったついでに、ハンドルを引き抜いてヘッドを締め直した。時間をとられてしまったが、今日はそれほどの距離を走るわけでもないので大丈夫だろう。しかし、時間は既に10時に近い。あまりのんびりもしていられないね。
これからどんな道が待っているのか。今が一番ワクワクするときだ。寒さは感じない。ペダルも軽いよ。
国道465号へ出て、東へ500メートルほど走ったところにある丹後橋で湊川を渡り、未舗装のたんぼ道を進む。景色はまだまだ枯れ草色だよ。
地図の上では国道465号と並行して走る一般道を東へ向かう。房総半島はアップダウンが多いね。
県道182号、通称もみじロードを通り越し、静かな道を行く。風が気持ちいい。
遠く鹿野山の山並みが見える。のどかな眺めだね。
上り坂の手前にある橋は新環橋という。川は志駒川だよ。車もほとんど通らない。最高だね。
関尻というところから、湊川に沿った県道88号を南へと進む。相変わらず車は少ないよ。日曜日だからもっと車が多いかと思っていたよ。
早春の日差しを浴びて、ペダルは軽快に回る。
満開の桜、頼朝桜(河津桜)というのだろう、沿道の所々に見られる。鮮やかな黄色い菜の花も。
湊川を渡る橋の上から、左手に滝が落ちているのが見える。水の落ちる音もはっきりと聞こえてくるよ。橋の名前は瀧見橋という。なるほど。
う~ん、青空をバックに満開の桜だ。
前方の橋は豊岡橋だよ。じき戸面原ダムだ。山の姿もいいねえ。
ダム湖に架かる長川橋だ。通行止めとあるが、もしかしたら自転車くらいは通れるかもしれないね。ダム湖の東を回って荒神森トンネルを潜って行きたいんだが、ダメなら戻ってこよう。
橋の上からの眺めだ。静かな湖に釣り糸を垂れている。今日は最高の釣り日和だろう。
あれまっ、こりゃだめだね。すごい崩落だ。道が完全に消えているよ。…残念だね。
再び県道へ戻り、すこし先の上郷橋を渡って行くことにした。
さっきの長川橋と似たような鉄橋だね。この橋を渡って松節林道へ行くよ。
ここが林道の起点だ。どんな林道だろうね。
う~ん、いい雰囲気だよ。
ヤギさんが一匹、じっとこっちを見ているよ。数軒の民家があるきりの小さな集落だ。ここが松節という集落だね。
すぐその先で舗装が切れた。松節林道の終点だ。ここから大山・横尾林道に合流するよ。
おおっ、いきなり道が荒れ始めたよ。
遠くに見えるのは嶺岡中央林道のある山並みだろうか。初めての輪行旅が、あの嶺岡中央林道だったんだ。
大山・横尾林道は左だ。右は山中林道だ。
大山・横尾林道を長狭街道へ下るつもりだったが、うっかりこの分岐を右へ行ってしまったんだよ。少し行ったところですぐに変だと気がついた。引き返そうと思ったとき、オートバイの一団が山中林道を下ってきたんだ。それはそれはものすごい一団だったよ。何十台続いて来たことだろう。次から次と現れては去り現れては去り、すさまじい爆音を響かせ、石ころを跳ね飛ばしていった。追い払われるように狭い林道の端に身を寄せ、まったく動けなかったよ。
オートバイの一団が去ったあとで自転車の向きを変えて、オートバイが去った方へ引き返した。オートバイの排気のにおいがまだ辺りに残っている。あ~あ、恐ろしかったね。
先ほどの分岐まで戻って、大山・横尾林道を下って行く。
林道終盤の急勾配の下り坂は予想していた以上だったよ。一瞬でもブレーキレバーから手を離したら最後、自転車はたちまち暴走状態になってしまう。重心をなるべく下のほうにするために、できるだけペダルに体重をのせ、お尻を思い切りサドルの後ろに引いて下って行く。
ウオ~ッ!
ああ、なんとか無事に急坂を抜けたよ。ここは、戸面原ダムからずっと続いている
県道88号だ。先の信号のあるところが長狭街道の金束交差点だね。
長狭街道はけっこう車が走ってるよ。気を付けよう。
およそ1.5キロ加茂川に沿って下り、この古びた大山橋を渡る。
あちらこちらに満開の桜が見られる。
大山千枚田だ。菜の花もきれいだね。季節がもう少し進んで新緑の頃になれば棚田ももっと美しいことだろう。
棚田のはるか遠くに嶺岡中央林道の山並みが見えるよ。
さあ、今度は佐久間ダムへ向かうぞ。
再び県道88号を進み、法明・大崩線という市道を上って行くことにした。これがまた大変な急勾配の道だよ。ヨイショ、ヨイショ。
ここが法明というところだ。すぐそこには津森山からの山並みがある。御嶽大権現はこの近くにあるのかな。
道端にひっそりと咲くこんな桜もいいね。
そろそろ大崩水仙郷だ。しかし、水仙の季節にはもう遅い。わずかに咲き残っている花も枯れかかって元気がない。
佐久間ダムは人と車でごった返していたよ。ちょうど頼朝桜祭りの時期だからね。来る時を間違えたかな。静かな山の中のダムを想像していたんだ。ここが房総一の桜の名所とは聞いていたが、まさかこれほどの人出とは思わなかったよ。駐車場へ向かう車の列にはびっくりしたし、うんざりした。
佐久間ダムのダム湖だ。水がひどく濁っているよ。でも、調べてみるとこのダムの湖水の色はだいたいこんな感じらしい。ちょっとがっかりだね。
これがダム本体だね。
空は青いが、水の色がいまいちだよ。
車の多い道を避けて、山道を行こうと思った。途中までは桜もきれいに咲いていて最高の気分だった。しかしその先の道があやしくなってきた。
しかたなく引き返して、金銅橋を渡り、あとからあとから追い越して行く車におびえながら長狭街道へ向かう道を上って行ったが、湯沢トンネルを抜けた先で右手の細い道へ逃げ込んだ。この道は横根峠に近い長狭街道につながっているはずだ。
車が来ないのはいいが、恐ろしく急勾配の上り坂だ。しかも上りっぱなしで、いやになるほどどこまでも長く続くよ。途中まで頑張ったが、とうとう自転車を降りて押すことにした。押すのもけっこうきつい。大殿筋がとても痛い。
やっとの思いで長狭街道に出たよ。やれやれ。
横根峠はすぐそこだった。峠を過ぎて少し下ったところから県道182号へと進み、そのまま志駒川に沿って下って行くよ。車も来ないし、今日は静かなもみじロードだ。下り坂をガンガン飛ばす。しこたま汗をかいた身体に風がちょっと冷たい。
公民館のところで一休みだ。
志駒川が横を流れている。流れる水の音は、疲れた体を癒してくれるようだ。
いよいよ保田見林道の入口だ。さあ、また急勾配の始まりだよ。
林道に入ってすぐに12~13パーセントの上り勾配が1キロほど続くよ。
たまに開けたところに出るが、景色を楽しむ余裕などほとんどない。
延々と続くように思われる急勾配だよ。
やっとピークまで上ったかと思うと、一気に下ってまた上りだ。しかも勾配のきつい上りだよ。
急勾配のアップダウンがいくつも続く。ああ、頑張るのはよそう。今日はもう両足がお休みしたいらしい。自転車を降りて押すことにした。しかし押すのもつらい。お尻のあたりの筋肉が痛がって泣いているよ。
鎌倉古道と書いてあるよ。こんなところにもあるんだね。
この景色は新緑の季節に走ったら気持ちがいいだろうなあ。
ここが保田見の集落だろう。集落とはいっても、ほんの数軒の家がうずくまるように屋根を寄せ合っているだけだ。
そろそろ道は下りになるだろう。
さっきの集落の青い屋根が遠くに見えるよ。もの淋しいくらい静かな眺めだね。
小さな上りもあるが、もうほとんど下りだよ。しかし道はかなり荒れたところもある。
スピードを出しすぎないように気をつけよう。おっとっと、ガードレールのないところもあるぞ。
崩れているよ。覗いてみよう。おお怖。
やっと一つめのトンネルだ。このトンネルが現れるとそろそろ林道も終りに近づく。ホッとすると同時に、ちょっと淋しい。
二つ目のトンネルだ。上を見ると今にも崩れ落ちてきそうだよ。くわばら、くわばら。
三つ目のトンネルだよ。このトンネルはちょっと長い。予備のライトも付けて通り抜けた。中はかなり荒れていたよ。壁面や天井から崩れ落ちた岩や石ころがいたるところにころがっている。石に乗り上げるとひっくり返りそうになる。
出口はこんなふうだよ。いい雰囲気のトンネルだったね。
山の枯れ木や枯れ草が西に傾いた弱い日を浴びている。
ようやく林道を抜けた。いや~、きつかったねえ。
さあ、相川沿いに下って行くよ。
ここが「石見堂やぐら」というところか。階段がずいぶん苔むしている。なかなかいいねえ。
巨大な岩を四角く掘って作った部屋の中に石仏が整然と並べられているよ。
「石見堂やぐら」の上り口から数十メートル先へ行った岩壁に見つけた。学のないみみ爺にはよくわからないが、なぜかこういうものを見つけると思わず手を合わせたくなる。
相川が湊川に合流するところにあるT字路手前にもこんな所があった。
きっとこの一体一体の石仏たちも、過去の人々の苦しみや悲しみから生まれてきたものなんだろうね。この頃、いや、歳をとるごとに、こうした石仏たちを見ると、なぜか心がしんと静まってくるのを感じる。たぶんそれは、石仏たちの中に、必死で生きた人々の祈りや願いが見えるような気がするからなのかもしれない。…なんてね。
湊川に架かる神田橋の上からの夕景色だ。
ああ疲れた。…座れるといいなあ。