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お釈迦様は三年三月、お腹においでになったそうで、...。
随分、なごうございますね、三年三月。
まだ生まれてないかと思っていると、四月八日に、だしぬけに生まれましてね。
すぐにこれが、ちょこちょこ歩いた。
周りで見ていた人が驚いた。
「けっかい」てぇ獣(けだもの)だろうてんで、大勢でポカポカ頭を
殴ったんですが、...。
それが証拠に、いまだに、お釈迦様の頭がこぶだらけになっている。
このときに天地を指差しをして、天上天我唯我独尊とおっしゃっる。
天にも地にも、偉いのは俺一人だってんで、...。
「生意気なことを言ってやがる。
生まれたばかりでこんな高慢なことを言うんだ。
こういう子じゃ、なんだよ。
大きくなったら能書きを言ってしょうがねぇぜ。
構わないから今のうちに、甘茶をしゃぶらせろぃ。」
なんてんで、甘茶をしゃぶらせたら、喜んでかっぽれを踊ったってぇますが、...。
それで、四月の八日になると、今では花祭りというので、
ほうぼうのお寺で頭から、この、甘茶をかけますがね。
甘茶で幸せですやね。
肥やしだった日にゃぁ、どんなに伸びちまうか、わかりゃぁしませんが、...。
えー、ところが、唐土(もろこし)には、もっと長いのがある。
唐土てぇと、あのぉ、焼売(しゅうまい)のできる国で、あすこはどうも広いだけに、
万事のんびりしておりましてね。
老子という方は、おっかさんのお腹に八十年いたというんで、...。
長すぎましたね、八十年とは。
置いたほうも驚いたろうし、また居たほうもくたぶれたこってしょう。
もう生まれないと思ったら、八十年目に生まれた。
頭が禿げて、髭の生えたバクバクのお爺さんになっていたんで、
取り上げ婆さんのほうが二十三、歳が下だったてぇますがね。
大変な人が生まれたもんで、...。
しかし、この方は、大学者でございまして、多くの弟子を教えておりますので、
生徒がまた、いろいろ先生に質問なぞをする。
「今日(こんにち)、先生に伺いたいのでございますが、胎内に八十年、
おいでになったということで、 お腹にいらっしゃいますときは、先生、
どういうお心持ちで?」
「いや、母の胎内というものは、それは暑くなく、寒くなく、
まことに心地(ここち)のよろしいものでね。
まぁ、例えるならば、とんと秋という気候でしょう。」
「ほぉう、どういうところで、お見分けがつきました?」
「おりおり、下から松茸が出るから。」
そんなことは言いませんが、八十年いたらそういうことは
分かったかもしれませんが、...
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