塾の本棚にある文庫版『水滸伝』、1巻から17巻まで揃っている。
ところが6巻と7巻がない・・・アキラが持っているんだろう。
そして昨日姿を見せた征希、髪を切ってもらうまでの時間待ちに『水滸伝』3巻を手にとっていた。
「なかなかおもしろいですな」
「古西に煽られて大変やで」
今日になって気づく、・・・4巻と5巻がなくなっている。
古西のBBSでのコメントによると、『水滸伝の集い』なる怪しげな集いを開催しては、各自で最新刊の名言を持ち寄ることにしているとか。
となると畢竟、征希の結婚式に来襲する暁には、最新刊17巻の名言をめぐってはひと悶着あるわけだ。
永らく浅田次郎派だった征希の唐突な北方謙三へのシフト・・・弟子たる古西に対するむき出しの対抗心か。
鬱々としつつ、昨夜久しぶりに『水滸伝』の17巻を読み始めた。
17巻では魯達が逝く。
「志を全うしようと思えば、病んでもならんのだ、楊令。」
これからの梁山泊の命運を託す楊令への言葉が胸に沁みる。
作品のあちこちに踊る、今の俺の冷え切った心を鼓舞しそうな勇ましい言葉の羅列・・・しかし心はかじかんでいる。