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この映画をご存知だろうか?Vern J. Sneiderの小説が1953年に舞台化され、1956年には、ダニエル・マンによって映画化されたアメリカ映画である。和訳は、八月十五夜の茶屋。出演したのは、マーロン・ブランド、グレン・フォード、エディ・アルバート、そして京マチ子。舞台は戦後のアメリカ軍統治下の沖縄・トビキ村(架空)で、復興と民主主義定着のために努力するアメリカ軍人達、通訳のサキニ(すっかり日本人になっているマーロン・ブランド)、そして村人の繰り広げる喜劇である。多少ドタバタではあるが、夫と私の好きな映画の一つ。
昔TVでヒットした「じゃじゃ馬億万長者」(The Beverly Hillbillies)のような盛り付け方。
あらすじは、単純だが、人情味もあって、素直に観られるお楽しみ映画である。通訳サキニ(映画では、ズキニーとしばしば聞こえる。)を演ずるマーロン・ブランドが、愉快で、面白く、芸達者である。下のポートレイトのように、ハンサムな方だったが、まさか彼が日本人を演ずる映画とは最初は知らなかった。
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あのマーロン・ブランド
下がサキニ役のマーロン・ブランド。シリアスアクターの彼が、こういう演技もするのかと面白い。彼の座り方や、仕草に、日本人をよく研究して演じているのがわかる。問題児ではあったが、さすがにアカデミー賞やその他の重要な賞を獲得したマーロンである。「欲望という名の電車」で「ステラー!」と叫び続けるスタンリー役もよかったが、サキニ役も捨てたものじゃない。
ハリウッドメイクアップの凄さ。メイクアップ後のマーロン・ブランド。
マーロン・ブランドは1960年代早くから、公民権運動や人種差別反対運動などに積極的に参加して、人種差別撤廃を求めるワシントンD.C.での大行進(The Great March on Washington)にも参加した経歴がある。非白人種に対する差別を常に不当と見て活動してきたし、アメリカ原住民に対する差別にも敏感であった。最初の妻がインド系であったし、愛人・恋人は大概が白人ではなかった彼が、そうした活動に積極的だったのは、理解できる。だから、この喜劇の日本人役を演じ切れたのかもしれない。
彼は、アカデミー賞受賞を拒否し、政治問題(アメリカ原住民・その他の少数民族に対する差別)をアカデミー受賞式の壇上に持ち出した最初の俳優かもしれない。そんな気骨のあるハンサムな俳優も、晩年二人の子供の自殺・病死を経て、80歳で病死した。私の世代には少しオジサン過ぎていた俳優で、特に人気はなかったが、12歳離れている上の姉の(若い)時代には、それなりに人気があったのだろう。でも、この八月十五夜の茶屋を最初に封切されてから、60年近く経って観た夫と私には、マーロン・ブランドの演技力と人物そのものが新鮮であった。
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