『妖精』
新潮文庫、番号30、『ボッコちゃん』収録。
登場するのが、女の子と、そして妖精という、星作品としては変わった話。
女性向けの媒体に載ったのかなと憶測する。
ストーリーの流れは、悪魔の出てくる話に近い。
悩みを抱えている人間の前に、超常存在が現れて、魅力的だけれどデメリットもある提案を持ちかけてくる。
悪魔だったら大抵、「お前の願いを叶えるが、後でお前の魂をもらう(=死ね)」だ。
悪魔一人(?)と人間一人で、関係は完結している。
それがこの妖精だと、願いを持つ人間と、もう一人の人間が出てくるところが重要だ。
それも、願いを持つ人間の「ライバル」。
仇敵とか、殺したいほど憎い奴とかじゃない。至ってマイルド。
妖精と出会ったに女の子は、自分にとってのライバルを強く意識しているが、けれど逆が成り立つとは限らない。
まさしく単なる一方的な「ライバル視」。
まあ、世の中ってそんな物である。
何となく、『きっとそいつ、今頃パフェとか食ってるよ』(by Jam)辺りを連想した。
そして、妖精から恩恵を受けられなかった女の子は……何事もなく過ごしていく。
センセーショナルなオチは無い。
今回は最後まで、平和にほのぼの終わる話である。
それでは。また次回。