『欲望の城』
新潮文庫、番号44、『ボッコちゃん』収録。
多彩な星作品において、本作は純粋にホラー系。
『世にも奇妙な物語』で映像化か、あるいはいっそ『笑ゥせぇるすまん』のコミカライズで見てみたい。
本作が発表されたのは、大量生産&大量消費の時代だが、現代でも十分通じる内容だと思う。
「今の世の中、老いも若きも男も女も、断捨離やらミニマリストやら言っていますが……」なんてナレーションで始まればカンペキ。
無意識で欲しいと感じた物が、自動的に配置される夢世界。
何でも手に入ると喜ぶと束の間、最終的に、最も重要なモノが失われてしまう。
ネタバレ防いだ表現なら、当人の安全が。
もしかしたら本作のタイトル、本当は「城」でなく「檻(おり)」かもしれない。
ところで星新一氏本人が、この夢世界を得たらどうなってただろう。
氏も大量に資料蓄えてたはずだから、バットエンドの可能性は高い。
私も、書籍なら無限に欲しくなるだろうから、怖いね。
それでは。また次回。