昨年末に基礎知識編4回やって以来、書かなくちゃと思いつつも
なかなか更新されなかったアメコミ映画基礎講座。
・・・皆様、存在を覚えておりましたでしょうか?w
さて、第1回は今年のアメコミ映画ラッシュの最初を飾る
(6/30公開)「アメイジング・スパイダーマン」前に
このキャラについての簡単なおさらいをしておこうと思います。
まず、スパイダーマンの誕生は1963年。
ファンタスティック・フォーの2年後、
アイアンマンやX-MENと同期デビューになります。
原作は映画へのカメオ出演でもお馴染みスタン・リー。
作画は怪奇コミックを中心に描いていたスティーブ・ディッコでした。
ガリ勉で貧弱、ジョックス連中にいじめられており
ベンおじさんとメイおばさんに育てられていた高校生ピーター・パーカー。
そんな彼が放射性物質を浴びたクモにかまれたことで
スーパーパワーに目覚めたのがスパイダーマンのオリジンになります。
その能力は意外にも多岐にわたります。
壁を登る能力、怪力、危険予知能力(スパイダーセンス)。
映画1作目公開時期からしばらくは体内でクモ糸を生成し
射出する能力(生体ウェブ)が追加されていましたが
原作ではクモ糸はピーターの科学知識で自作した
化学合成繊維であり、手首のウェブシューターから射出される装備でした。
さて、スーパーパワーを手に入れたピーターは
これまでのいけてない学生生活の反動からか調子にのります。
賭けプロレスで金を稼ぎ、コスチュームを自作し
(デザインも制作もすべてピーター本人!)
能力を見世物にしてタレントとしてデビューします。
ここで「捕まえても金にならないから」と見逃した犯罪者が
逃走中にベンおじさんを殺害したことで、
己の力の持つ「責任」を学び、
ヒーローとしてのスパイダーマンが誕生するのです。
ピーターの趣味はカメラ、というのもあり、
スパイダーマンの活躍を自分で撮影し、新聞社に売るというのが
彼の主な収入源となっています。
デイリー・ビューグル社の社長、J・ジョナ・ジェイムスンは
元タレントからヒーローに転進、というスパイダーマンを嫌い、
彼の悪事の証拠をつかもうとしております。
(これが時折洒落ですまない事態になることも・・・)
そしてスーパーパワーを身につけ、
自分に対して自信をもったピーターにはモテキが到来いたします。
初デートはビューグルの受付嬢と、でしたが、
高校時代に出会い、将来を誓い合ったグウェンドリン・ステイシー、
(「アメイジング」では彼女がヒロインになるみたいですね)
最初は友人の恋人だった、メリー・ジェーン・ワトソン、
(旧3部作のヒロインはこちら)
ヒーロー活動を行う中知り合った、
ブラックキャットことフェリシア・ハーディー・・・と
ピーターの人生を彩るヒロインは数多く、
その出会いと別れがストーリー上のターニングポイントとなっております。
(特にグエンはね・・・)
「スパイダーマン」が『日本で唯一成功しているアメコミ映画』といわれているのも
この当たりの恋愛要素が中心になっているから、なのかもしれません。
高校卒業、大学へ、そしてカメラマンと大学院生を兼ねつつ
結婚、教師へ・・・というピーターの人生と
その節々で起こる事件を一緒になって楽しむ。
戦闘中には愚痴り、経済面や恋愛関係で悩み、家族に癒される。
そんなスーパーマンやバットマンとは違う「庶民感覚」・・・
『あなたの親愛なる隣人』としての魅力こそが
このヒーローの持つ最大の魅力といっていいと思います。
そんなスパイダーマンの前に立ちはだかるのは、街の犯罪者たち。
・・・マーベルを代表するヒーローであるため宇宙の危機などにも呼ばれるわけですが
ほとんどの場合は彼の相手はコスチュームを着た悪党です。
まず最大の宿敵として挙げられるのは、映画1作目の敵でもあった
グリーンゴブリンことノーマン・オズボーン。
親友の父親であり天才科学者、そして大富豪でもある彼は
原作においてはマーベルユニバース全体を揺さぶるほどの存在になり
(一時はアメリカ大統領にも!)ピーターの人生にも大きな転機を与えていくのです。
映画2作目の敵であったDr.オクトパスも幾度と無く戦った好敵手であり
映画では愛妻家で人格者なキャラでしたが、
原作では一時メイおばさんと結婚直前に、という展開もあったり。
ヴェノムは映画3作目に登場、映画ではちょっと残念な扱いでしたが
スパイダーマンの能力を持ち、正体を知り、それ以上のパワーを持つ
最強のライバルとして登場し、時にはスパイダーマンと協力したり
寄生エイリアンが別の宿主に移っての代替わりをしたりと
90年代以降のスパイダーマンを引っ張っていったキャラの一人です。
映画「デアデビル」に登場したキングピンも
ニューヨークの暗黒街の帝王として何度もスパイダーマンと戦っていますし
(デアデビルもスパイダーマンとの共演が多いキャラでした)
数度の映画化もされた「パニッシャー」も元々はスパイダーマンの敵だったりと
マーベルのクライムファイター(犯罪と戦うヒーロー)の中心になっているのは
やはりスパイダーマンなんだなぁと思います。
今度の仕切りなおしての新シリーズ「アメイジング・スパイダーマン」では
死んだと教えられていたピーターの両親についてのストーリーが中心となり
監督もヒーロー愛に溢れていた(「ダークマン」も名作でした)サム・ライミから
「(500)日のサマー」のマーク・ウェブに交代。
(名前からスパイダーマンにぴったりな人選!)
3Dでニューヨークの街中を飛び回るスパイダーマンが見られる、という
映像的な魅力にも溢れた作品になっております。
そして、今度の対戦相手はピーターの科学の師でもあり、
前シリーズでも名前は登場していたコナーズ博士が
爬虫類の怪人・リザードとして登場することが発表されています。
原作でも現在はアベンジャーズ、ファンタスティック・フォー、
そして個人タイトルを掛け持ちしている忙しさで
いろいろあって設定も整理され、仕切りなおされた状態となっております。
(設定でいろいろされている率が異常に高いのもこのキャラだったりします・・・
クローンと一時入れ替わっていたとか・・・)
邦訳でその活躍を読むには、現在だと「ニュー・アベンジャーズ」シリーズ
(「シビル・ウォー」まで刊行されてますね)だけで
単体ヒーローとしての活躍は古本で光文社版「スパイダーマン」(入手難)
「マーヴルクロス」10号以降、あと平行世界の話となりますが
「アルティメット・スパイダーマン」が11巻まで出ているので
そちらを読まれるといいと思います。
(ちなみに「オンスロート」では設定混乱期のWスパイダーマンが読めます)
「初めてアメコミ映画を見る」人におすすめしたいヒーローとして
ぜひこの夏、デートムービーとしても劇場に足をお運びください。
・・・あ、日本のスパイダーマン触れてなかったw
「はじめに」でも触れましたが、まず東映版。
「ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」と「バトルフィーバーJ」の
間を埋める作品として(戦隊の巨大ロボはこの作品が元祖です)
また、日本人による魔改造の実例として
(宇宙からやってきたスパイダー星人の力で変身するヒーローに、って・・・w)
アメリカ人も認めたスパイダーマンらしさを表現したアクションの魅力を味わえ、
70年代東映特撮の魅力に溢れた作品です。
(現在、マーベルが公式に無料配信を行っております)
強すぎるロボット・レオパルドンの一撃必殺っぷりをぜひ楽しんでください。
(日本語に英語字幕だしね)
そして日本マンガ版「スパイダーマン」。
池上遼一(「男組」など)の劇画タッチの絵で描かれた
原作の設定を日本版に置き換えた前半と、
平井和正の筆による観念的なストーリーが展開する後半、
それぞれが魅力的な作品となっており、「SPIDERMAN:MANGA」として
英訳もされている作品でございます。
さらに映画公開時にコミックボンボンで連載された
日本の小学生がスパイダーマンになる「スパイダーマンJ」
(他のマーベルキャラも登場!)なんて作品もあったりします。
・・・こうして考えると「さえない学生が超能力を身に付けてモテモテなヒーローに」と
少年漫画的というかラノベ的なキャラでもあるんですな、スパイダーマン。
というわけでいわゆるオタクな方々も是非見てくださいな。
厨二病と案外相性いいジャンルですよ、アメコミってw
なかなか更新されなかったアメコミ映画基礎講座。
・・・皆様、存在を覚えておりましたでしょうか?w
さて、第1回は今年のアメコミ映画ラッシュの最初を飾る
(6/30公開)「アメイジング・スパイダーマン」前に
このキャラについての簡単なおさらいをしておこうと思います。
まず、スパイダーマンの誕生は1963年。
ファンタスティック・フォーの2年後、
アイアンマンやX-MENと同期デビューになります。
原作は映画へのカメオ出演でもお馴染みスタン・リー。
作画は怪奇コミックを中心に描いていたスティーブ・ディッコでした。
ガリ勉で貧弱、ジョックス連中にいじめられており
ベンおじさんとメイおばさんに育てられていた高校生ピーター・パーカー。
そんな彼が放射性物質を浴びたクモにかまれたことで
スーパーパワーに目覚めたのがスパイダーマンのオリジンになります。
その能力は意外にも多岐にわたります。
壁を登る能力、怪力、危険予知能力(スパイダーセンス)。
映画1作目公開時期からしばらくは体内でクモ糸を生成し
射出する能力(生体ウェブ)が追加されていましたが
原作ではクモ糸はピーターの科学知識で自作した
化学合成繊維であり、手首のウェブシューターから射出される装備でした。
さて、スーパーパワーを手に入れたピーターは
これまでのいけてない学生生活の反動からか調子にのります。
賭けプロレスで金を稼ぎ、コスチュームを自作し
(デザインも制作もすべてピーター本人!)
能力を見世物にしてタレントとしてデビューします。
ここで「捕まえても金にならないから」と見逃した犯罪者が
逃走中にベンおじさんを殺害したことで、
己の力の持つ「責任」を学び、
ヒーローとしてのスパイダーマンが誕生するのです。
ピーターの趣味はカメラ、というのもあり、
スパイダーマンの活躍を自分で撮影し、新聞社に売るというのが
彼の主な収入源となっています。
デイリー・ビューグル社の社長、J・ジョナ・ジェイムスンは
元タレントからヒーローに転進、というスパイダーマンを嫌い、
彼の悪事の証拠をつかもうとしております。
(これが時折洒落ですまない事態になることも・・・)
そしてスーパーパワーを身につけ、
自分に対して自信をもったピーターにはモテキが到来いたします。
初デートはビューグルの受付嬢と、でしたが、
高校時代に出会い、将来を誓い合ったグウェンドリン・ステイシー、
(「アメイジング」では彼女がヒロインになるみたいですね)
最初は友人の恋人だった、メリー・ジェーン・ワトソン、
(旧3部作のヒロインはこちら)
ヒーロー活動を行う中知り合った、
ブラックキャットことフェリシア・ハーディー・・・と
ピーターの人生を彩るヒロインは数多く、
その出会いと別れがストーリー上のターニングポイントとなっております。
(特にグエンはね・・・)
「スパイダーマン」が『日本で唯一成功しているアメコミ映画』といわれているのも
この当たりの恋愛要素が中心になっているから、なのかもしれません。
高校卒業、大学へ、そしてカメラマンと大学院生を兼ねつつ
結婚、教師へ・・・というピーターの人生と
その節々で起こる事件を一緒になって楽しむ。
戦闘中には愚痴り、経済面や恋愛関係で悩み、家族に癒される。
そんなスーパーマンやバットマンとは違う「庶民感覚」・・・
『あなたの親愛なる隣人』としての魅力こそが
このヒーローの持つ最大の魅力といっていいと思います。
そんなスパイダーマンの前に立ちはだかるのは、街の犯罪者たち。
・・・マーベルを代表するヒーローであるため宇宙の危機などにも呼ばれるわけですが
ほとんどの場合は彼の相手はコスチュームを着た悪党です。
まず最大の宿敵として挙げられるのは、映画1作目の敵でもあった
グリーンゴブリンことノーマン・オズボーン。
親友の父親であり天才科学者、そして大富豪でもある彼は
原作においてはマーベルユニバース全体を揺さぶるほどの存在になり
(一時はアメリカ大統領にも!)ピーターの人生にも大きな転機を与えていくのです。
映画2作目の敵であったDr.オクトパスも幾度と無く戦った好敵手であり
映画では愛妻家で人格者なキャラでしたが、
原作では一時メイおばさんと結婚直前に、という展開もあったり。
ヴェノムは映画3作目に登場、映画ではちょっと残念な扱いでしたが
スパイダーマンの能力を持ち、正体を知り、それ以上のパワーを持つ
最強のライバルとして登場し、時にはスパイダーマンと協力したり
寄生エイリアンが別の宿主に移っての代替わりをしたりと
90年代以降のスパイダーマンを引っ張っていったキャラの一人です。
映画「デアデビル」に登場したキングピンも
ニューヨークの暗黒街の帝王として何度もスパイダーマンと戦っていますし
(デアデビルもスパイダーマンとの共演が多いキャラでした)
数度の映画化もされた「パニッシャー」も元々はスパイダーマンの敵だったりと
マーベルのクライムファイター(犯罪と戦うヒーロー)の中心になっているのは
やはりスパイダーマンなんだなぁと思います。
今度の仕切りなおしての新シリーズ「アメイジング・スパイダーマン」では
死んだと教えられていたピーターの両親についてのストーリーが中心となり
監督もヒーロー愛に溢れていた(「ダークマン」も名作でした)サム・ライミから
「(500)日のサマー」のマーク・ウェブに交代。
(名前からスパイダーマンにぴったりな人選!)
3Dでニューヨークの街中を飛び回るスパイダーマンが見られる、という
映像的な魅力にも溢れた作品になっております。
そして、今度の対戦相手はピーターの科学の師でもあり、
前シリーズでも名前は登場していたコナーズ博士が
爬虫類の怪人・リザードとして登場することが発表されています。
原作でも現在はアベンジャーズ、ファンタスティック・フォー、
そして個人タイトルを掛け持ちしている忙しさで
いろいろあって設定も整理され、仕切りなおされた状態となっております。
(設定でいろいろされている率が異常に高いのもこのキャラだったりします・・・
クローンと一時入れ替わっていたとか・・・)
邦訳でその活躍を読むには、現在だと「ニュー・アベンジャーズ」シリーズ
(「シビル・ウォー」まで刊行されてますね)だけで
単体ヒーローとしての活躍は古本で光文社版「スパイダーマン」(入手難)
「マーヴルクロス」10号以降、あと平行世界の話となりますが
「アルティメット・スパイダーマン」が11巻まで出ているので
そちらを読まれるといいと思います。
(ちなみに「オンスロート」では設定混乱期のWスパイダーマンが読めます)
「初めてアメコミ映画を見る」人におすすめしたいヒーローとして
ぜひこの夏、デートムービーとしても劇場に足をお運びください。
・・・あ、日本のスパイダーマン触れてなかったw
「はじめに」でも触れましたが、まず東映版。
「ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」と「バトルフィーバーJ」の
間を埋める作品として(戦隊の巨大ロボはこの作品が元祖です)
また、日本人による魔改造の実例として
(宇宙からやってきたスパイダー星人の力で変身するヒーローに、って・・・w)
アメリカ人も認めたスパイダーマンらしさを表現したアクションの魅力を味わえ、
70年代東映特撮の魅力に溢れた作品です。
(現在、マーベルが公式に無料配信を行っております)
強すぎるロボット・レオパルドンの一撃必殺っぷりをぜひ楽しんでください。
(日本語に英語字幕だしね)
そして日本マンガ版「スパイダーマン」。
池上遼一(「男組」など)の劇画タッチの絵で描かれた
原作の設定を日本版に置き換えた前半と、
平井和正の筆による観念的なストーリーが展開する後半、
それぞれが魅力的な作品となっており、「SPIDERMAN:MANGA」として
英訳もされている作品でございます。
さらに映画公開時にコミックボンボンで連載された
日本の小学生がスパイダーマンになる「スパイダーマンJ」
(他のマーベルキャラも登場!)なんて作品もあったりします。
・・・こうして考えると「さえない学生が超能力を身に付けてモテモテなヒーローに」と
少年漫画的というかラノベ的なキャラでもあるんですな、スパイダーマン。
というわけでいわゆるオタクな方々も是非見てくださいな。
厨二病と案外相性いいジャンルですよ、アメコミってw