Rimshot!!!!

映画観たり、アメコミ読んだり、占いしたり。

超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―

2025-01-17 | アート

長崎県美術館で本日から開始の企画展、

2024年度国立美術館巡回展 超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―

に行ってまいりました。

国立美術館の収蔵品を巡回させる展覧会。
今回は京都国立近代美術館の収蔵品がここ長崎にやってきました。

東京への遷都によって天皇家・公家が京都を離れたことで
パトロンを失って大打撃をうけた京都の職人たち。
彼らが活路を見出したのは万国博覧会への出展によって拓かれた
海外マーケットへの輸出、でした。

技を尽くした超絶技巧から、アール・ヌーヴォーに影響をうけたデザイン性を採用した
モダンな作品、そして日常使いの品に美を見出す民藝の時代と変遷していった
京都の近代工芸の歴史をまとめた展示内容、でございます。

基本的に美術館では工芸品よりも絵画・彫刻のほうを熱心に見るタイプなのですが
まず今回は超絶技巧の作品がもつ技術力に眼を奪われてしまいました。
彫金や螺鈿の細やかさ、そして刺繍で表現された鳥や獣の毛の質感。
つい目を凝らしてじっくり細かいところまで見たくなってしまう、
そんな作品がずらりと並ぶ展示。

…しかし、技量よりもデザインに重きを置く時代に入った展示からは
なんとなく興味が失せてしまう…というか、
流行を意識したデザイン、というのはどうしても時代性の反映となる故に
現代の目で見るとよく言えば素朴、悪く言えば古ぼけたものになってしまい
自然の再現をスーパーリアリズムで行っていた超絶技巧の時代の作品と比べて
見た目に拙く、普遍性がないものに感じてしまいまして
一度最後まで見た後、また最初に戻って技巧を凝らした作品のほうを楽しんでしまいました。

かつて仕事などでデザインを行なっていた際には
できるだけシンプルで単純に、を心がけていたものでしたが
その頃とは自分の感性も変わったのかなぁ、と思う一日でございました。

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キース・へリング展

2024-07-15 | アート

いろいろな要因が重なった結果、今日明日が連休となったため
ちょっと遠出をしてみようと福岡まで行ってきました。
犬散歩があるので日帰り(それも夜7時には帰宅)ですけど。

というわけで福岡市美術館で開催中の
キース・へリング展 アートをストリートへ」へ。

ウォーホル、バスキアとともにポップアートを代表するアーティストであり
80年代ニューヨークを駆け抜けた芸術家であったキース・へリング。
不景気で荒れた地下鉄駅の広告スペースに貼られた黒い紙に
白のチョークでグラフィティをドローイングする活動を5年間続けたり
自分のアートをグッズ化して販売する店を開店したりといった
そんな「アートの庶民化/商業化をすすめた」文脈で語られる人であります。

グラフィティアートを描く中で抽象化/キャラクター化された
赤子や犬、妊婦等のシンボルで知られ、原色や蛍光色で彩られたそれは
ポスターやグッズとして飾りたくなる魅力に溢れており
それはまさしく「商業化の象徴」と見えるわけですが、
そもそものグラフィティアートも、自作のグッズ化も
「画廊や美術館に収められ、高額で取引される『芸術』を
 安価/無料で庶民の手に届くところにもっていく」ための活動、であることに気づかされます。
それこそ地下鉄でのドローイングをやめた理由が
「剥がして高額で売る輩が出て来たから」ということだったり、
反核、反アパルトヘイトなどのメッセージを込めた作品は
自費で2万枚を印刷し、無料で配布したり、ということだったり、と。

それは「世間にありふれたイメージを「芸術」化し、高額で取引される作品に変える」
(同じ福岡市美術館の常設展示には、「エルヴィス・プレスリー」があります)
ウォーホルの対極にある活動ではなかったか、と思い、
親交があった…というかウォーホルにフックアップされ有名になり、
共作をする仲の良い間柄でありながらも、
その共同作品でウォーホルをミッキーマウス
(商業化の象徴であり、ウォーホル作品のモチーフのひとつでもある)になぞらえた
「アンディ・マウス」として描いたときの彼の心境とはどんなものだったのだろう、
ついそんなことも思ってしまいます。

80年代後半、世界を席巻した後天性免疫不全症候群(AIDS)に彼自身も侵され
結果それが死因となってしまうわけですが、
その晩年においてこの病気への理解を広めるための活動に
アートの、イメージの力をもって飛び込んでいきます。
その以前からも彼の作品には生と性、そして死のイメージが常に描かれ
(かなり直接的にセクシャルなモチーフを描いている作品も多いです)
連作ドローイング作品の中では彼の主モチーフの一つである犬にも
どこか不穏な暴力の匂いを感じることとなっています。

今展覧会は一部展示(東京に来たときのあれこれ)を除いて撮影自由、
多くの作品はポストカードやグッズとして販売されますが
そのかわりに図録は販売しない、というもの。
作品を取り巻く情報や知識を残さずに、あくまで作品のビジュアルだけを残す、
そう考えると、「徹底した」ポップさなのかもしれない、と感じました。

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果てなきスペイン美術─拓かれる表現の地平

2024-05-30 | アート

本日は朝からスーパー銭湯→ランチの後に
久しぶりに長崎県美術館へ。

一人の外交官のコレクションを中心に集められたスペイン美術が魅力の長崎県美術館と
バレンシア州との姉妹都市提携で豊富なスペイン美術コレクションを持つ三重県立美術館。
この二つの美術館の収蔵品からスペイン美術の魅力と歴史を辿る企画展が
「果てなきスペイン美術─拓かれる表現の地平」でございます。

イスラム教徒からの領土回復(レコンキスタ)、
無敵艦隊(アルマダ)による植民地支配を誇った時代から
米西戦争に敗れて植民地を失い、国力が衰えていく時代…
そんな一時は世界の頂点を極めたスペインの美術史…
ゴヤ、ミロ、ピカソ、ダリといったスーパースターたちをはじめ
近世キリスト教美術の時代から、現代美術に至るまでの
多くの作品がふたつの美術館のコレクションから厳選されております。

…が、ということはつまり
半分以上の展示品はいつも常設展で見ているお馴染みの作品、であり
並びによって多少の感じ方の変化はあるものの
どうしても見知った作品だなぁ…ということで
軽く飛ばし気味になってしまってる面はあったなぁ、と
少し反省したくなる見方はしてしまったように思います。

あとは大きい彫刻って楽しそうだなぁ、と
いろいろな角度から見ながら感じたりもいたしました。

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浦上コレクション「北斎漫画」 ~驚異の眼・驚異の筆~

2024-05-03 | アート

映画を見た後、今日はインプットの日にしようと
長崎歴史文化博物館で開催されている「北斎漫画」展に行ってまいりました。

浮世絵というジャンルの頂点を極めた画家のひとりである葛飾北斎。
「富岳三十六景」がその代表作でありますが、
死後も刊行され続けたライフワークのひとつともいえるのが
絵見本というかカット集的なものである「北斎漫画」でございます。

市井で暮らす人々、動物、建築、武具、山水、妖怪、神仏に至るまで
ありとあらゆるものを描き、最終巻が出たのは没後30年になってから。
江戸庶民のユーモアを感じさせるものから、
当時入ってきた西洋画の遠近法についての解説、
さらに当時最新型のフリントロック式拳銃の解説画、
そして一時同居して挿絵を手掛けていた曲亭馬琴作品のキャラまで
その絵は多岐にわたっております。

版元から「これを見てその通りに描けばなんでも描ける」という
見本として作られたものではあるのですが
見て楽しいイラスト集としての需要のほうが
多かったんじゃなかったのかな…とも思いました。

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Barkin’Dog goes to Fukuoka Day2:Aztec Day

2023-11-03 | アート

さて、福岡旅行二日目、でございます。

目が覚めたら、5時。
寝直そうとするも慣れない枕でなかなかうまくいかず。
結果6時に朝風呂に入り、前日バスに乗る前に買ってたおかしを朝食代わりに
(今回朝食バイキングつけなかったのです。前回旅行時朝食べ過ぎてきつかったので)
7時ちょいすぎくらいにチェックアウトして、本日の目的地へ。
…昨日の歩きすぎで左足にでかい(大型犬の肉球サイズの)水膨れが出来、
歩き方が変になるほど足は痛くなってたわけですが。

やってきました、太宰府天満宮。
今日は11月3日、文化の日。
元々は明治天皇の誕生日(上皇の誕生日ってご存命中は祝日に戻らないんですかね…)ということで
たどり着いたころには明治帝の誕生日を祝う神事が行われており、
明治節を参拝者とともに歌う、ということで
せっかくなので僕もちゃんと声出して歌ってきました。
そして今の太宰府天満宮は建て替えのための仮宮になっており、
屋根に木々を植えられた姿(本宮建て替え後に周囲に植えられる予定)で
これはこれでレアな体験だなぁ、と思ったり。
足が元気なら周辺の竈門神社などにも廻りたい…と思っていましたが
足がぶっ壊れた状況のため、竈門神社のお守りとお御籤はこちらでお受けすることに。
以前お参りしたときにお受けした紅水晶の縁結びお守り(ブレスレット型)を
新しいものに代えたり、太宰府のほうでも幸運のうそ守りをお受けしたり。
…いいことあるといいなぁ。

さらにそこから、九州国立博物館へと移動。
特別展「古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン」を見てまいりました。

南米・メキシコで紀元前15世紀からスペインが侵攻してくる16世紀までの3000年、
文明・王朝を変えながら脈々と続いてきた歴史と信仰。
3つのピラミッドを中央高原で築いた都市文明・テオティワカン。
南部で発展し、暦と王朝文化を築いたマヤ。
14世紀から16世紀まで中央部で強大な国を築いていたアステカ。
厳しい環境の中で、様々な神を信仰し、人身供犠(生贄)がその祭祀の中心であった文明。
今回の企画展でも生贄の心臓を捧げる像(チャクモール像)など、
その宗教文化が中心となった展示となっております。
大航海時代の「発見」によって滅ぼされた文明でありますが、
その背景には都市国家の連合であったアステカの支配に対する
他の都市からの反乱という側面があった、ということも自分にとっては新しい発見でした。

ゲーム等でこのあたりの宗教に関しても多少の知識はあるわけで
(今回も物販でFGOキャラとのコラボ商品があったりもします)
もうすこし神像とかも色々見たかった、とは思ったりもしましたが
足の痛みを多少忘れるほど、熱中して見ておりました。

常設展示も見てみたものの、足の痛みに負けてかなりの流し見に。
参道で梅が枝餅をひとつ食べ、天神へ。

一度福岡空港周辺は見ておきたい、できれば近くにある大き目の古着屋が見たい、と
思っていたのですが、状態が状態のためにそれもやめて
まずは百均で靴の中敷きをクッション性が高いものに変更、
絆創膏を貼って水膨れを押さえて足への負担を軽減。
ついでにブックオフやタワレコを覗いたり、
パルコ内で古着のセールを見つけたので覗き、
欲しいと思っていた服(ブレザー)を一着買ったり。

昼は点心と担々麺のセットを食べ、博多へと移動。
夕方には帰りのバスの予約を入れていたので、家族への土産を探したり、
書店を数軒廻って雑誌を探すもどこにもまだ入ってなかったり、な時間つぶしをして
5時前には早めの夕飯にカレーを食べ(この後帰宅までずっと奥歯にもの挟まってた)
バスセンター内でだらだらと時間を過ごして6時過ぎに帰路へ。
バス車内ではわりと早々に寝落ちし、多少すっきりとした気持ちで我が家までたどり着きました。

で、これを書いているのが実は帰宅3日後だったりもするのですが
足へのダメージはまだ若干残っています。
水膨れは切って中の液を出して絆創膏貼ってるけどまだ少し痛いし
靴がちょっと重いと足が動きにくかったりもします。
次の遠出は、軽くて歩きやすい靴を装備しなくちゃ、ね。
(天候の急変を恐れて、やや重い防水の靴で行ったのが敗因)

次福岡に行くなら多分来年2月、
今度は日帰りで芦雪(九州国立)を見て帰るスケジュールにしましょうか。
行ければいいけど。

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