里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

塩昆布のお婆さん

2008年01月23日 | 四方山話
昔、夏の夕方になると隣のご夫婦と一緒に、裏の橋の上でよく夕涼みをしたものだ。
人通りの少ない橋の上に涼み台を持ち出し世間話をするのだが、隣の奥さんの話の
旨い事、旨い事! 毎晩面白い話を聞くのが楽しみであった!

ある夜、例によって2夫婦で賑やかに話していると、例によって近所のお婆さんが
話の輪に加わる為に、家からこちらに向かっている。

それを見た隣の奥さん、
「あのお婆さんネ! 最近ボケが酷くなって、泥棒が入った! 着物を盗られた!
 と駐在所にしょっちゅう駆け込んで警察官を困らせているんですって!」
「それに、近所の店へ毎日何回も塩昆布や線香、ローソクを買いに来るので困って
 いるんですって!」
と面白おかしく教えてくれる。 

しかし、
お婆さんには、着物を仕舞う所を忘れた事や、煤けた着物を盗る者などいない事は
理解できず、毎日のおかずの塩昆布や、亡くなった亭主や息子の為の線香、ローソ
クをひたすら買いに走っていて、近所に住むお婆さんの親戚の人は、その度に頭を
下げて回っているのだ。
他人の我々から見るとまるで笑い話で不謹慎にもつい大笑いしてしまうが、警察官
や親戚の人には大迷惑な話で大変気の毒な事だ。

その後、
お婆さんは「ここは自分の家ではない!」 「実家に帰る!」 と言っては徘徊す
るようになり、やがて亡くなってしまった。
お婆さんの事を笑っていた、あの愉快な隣の奥さんも病気で若死にしてしまい、私
も最近息子によく言われる。
「病気にならないように運動をしろ!」 
「最近ボケ始めた。 ボケないように何かやれ! ブログでもやって見ろ!」

昔、亡くなった母親によく言われた事を思い出す。
「赤子笑うな我が来た道じゃ!、年寄り笑うな我が行く道じゃ!」
何だか世代を巡って同じような事をしている! ヤレヤレだ!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿