「お前は、セイジ・モリナガを知っているか!?」
森永セイジさんのアルバム『SLOW SIDE』の中に書かれた
一行はまさに言い得て妙でした。
山口県の徳山からひとりのブルースマンがやってきて
東京でライヴをやるってんで荻窪のライヴハウスに向かったのです。
ブルースマンの名前は、森永セイジ。
ミュージシャンであり、徳山で「BOOGIE HOUSE」という
ライヴハウスを経営する男です。
ワンマンで森永さんのライヴを体験するのは初めて。
ブルースが何たるかなんて分かってない私ですが、
森永さんのギターとブルーススピリットと人柄は
私の心を揺さぶるに充分でした。まさに
「お前は、セイジ・モリナガを知っているか!?」
「セイジ・モリナガのブルースを聴いたことがあるか!?」
と道行く人々に語りかけたくなる、そんな気持ちにさせて
くれたのです。
今でもギターを弾かない日はないというブルースマン。
「いつまで店をやってるかわかんないから
BOOGIE HOUSEに来るなら早くきといた方がいいよ」
なんてうそぶくブルースマン。
ブルースのスタンダードを主に歌うセイジさんですが、
オリジナルの「KI-TA-KU」という1曲がしみるので
ここに歌詞を書きます。
“深夜に病院で亡くなった親父を家に連れて帰る時に思ったことを
歌にしました”
こんなコメントがついています。
KI-TA-KU
話したいことがあった
忘れかけたむかしのこと
少しくらい笑いながら
思い出したかったよ
いいわけはしたくないけど
言っておきたいこともあった
二度と戻せないことも
どうしようもないこともあるんだ
もうすぐうちへ帰る
もう少しの辛抱だ
そのあとはゆっくりと気のすむまで眠りなよ
ろくでなしの俺だったけど
今は少しまともになった
一度くらい俺のことを
ほめてくれないか
暗くて深い真夜中の海は
こらえる涙であふれそうだ
もうすぐうちへ帰る
もう少しの辛抱だ
そのあとはゆっくりと気のすむまで眠りなよ
※CDに歌詞カードはなく、歌詞は聴きおこしです。ご了承ください。