rosemary days

アロマテラピー、ハーブを中心にフィトテラピーあれこれ。自然療法全域とフィットネスについて。

『家守綺譚』~月明かりに照らされるすすき野

2019-10-16 23:15:50 | 物語の中の植物と香り
再び『家守綺譚』から、ススキの野原のエピソードです。十五夜の夕暮れ、主人公の征四郎が愛犬ゴローを連れてススキを観に散歩に出かけます。どんどん山を登って石山寺という所を目指します。

 やがて東の日がだんだん傾いてくる。木々の重なりを貫いて指してくる落葉は、次第に黄金の濃さを増してくる。突然開けたところへ出たと思ったら、野は一面、赤茶に近いような濃い金色に染め上げられていた。(略)夕暮れの冷たい匂いと共に、木の香がまだ漂っている。(p95)

ススキは日中よりも夕日に照らされて光っている姿が最も綺麗だと思います。征四郎もこのあとずんずん山の上に上り、とうとう夜空に満月がかかるようになります。夕日に照らされるすすき野もいいけれど、月明かりに照らされるすすき野さぞ綺麗なことでしょう。山頂でうっとりと月を眺めていると、親友・高堂の幽霊が現れます。

―いい場所ではないか。
―ああ、確かにいい場所だ。こういうところに人は埋まりたがる。
―埋まりたがる、とは。
―つまり、ああ、いい場所だと思う、そして自分が死んだら故郷のどこそこに埋めてくれとせがみたくなる、いい場所とはつまり、人が埋められる気になる場所なのだよ。


高堂は既に死んでいるので、この発言は意味深です。埋めてほしいところ、つまり未来永劫いつまでも居たいところ、そんな場所があるのは恵まれてることなのかもしれませんが。自分だったら、どういうところだろう…と考えてみましたが、これという場所は思いあたりませんでした。

過去に書いた記事、よろしかったらこちらもご覧ください。 ⇒すすき

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