高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の住まい方を考える(2)「高齢期を「自分なりに」分ける」

2015年08月13日 | 老後と住まい
高齢期を「自分なりに」区分するのも良いと思います。法律に従って75歳を境にする必要はありませんし、2区分ではなく3区分にしてもそれ以上でも良いと思います。たとえば、仕事を辞めてから身体機能の低下が急激になり始める80歳頃までを念頭に、第1区分として仕事時代に考えていた「自分の趣味に没頭する」期、「ボランティアとして人の役に立つ」期、「旅行を楽しむ」期など様々な過ごし方が考えられます。
もう一つ大切なことがあると思います。これらの自分のやりたいことと並行して、第2区分の期に「備える」ということです。第2区分は人によって程度は様々ですが身体機能の低下により活動範囲が狭くなるなどの変化があります。それを念頭に、たとえば「近所の高齢者と碁を楽しむ」などの過ごし方が考えられます。もし碁ができなければ第1区分の期の間に碁を習えば十分にその希望をかなえることができます。また、身体機能の低下のスピードを少しでも遅らせるために柔軟体操やウォーキングを続けるということも大切です。
多くの人は人生最後まで自分の家に住み続けたいというひとが大半ですので、第1区分の期に身体機能が低下しても住み続けることのできる住まいにすることが大切です。身体機能が低下してからでは遅いのです。80歳も過ぎると家の大規模な改修は大きな負担になります。まして新築するなどは命を縮めます。
そして第2区分の間に第3区分の生き方を考えましょう。(続く)
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高齢期の住まい方を考える(1)

2015年08月12日 | 老後と住まい
投稿者は前期高齢者の仲間入りをしたばかりです。平成26年簡易生命表で65歳男の平均余命をみてみると19.29年とあります。本当に20年生きられるのかは神のみぞ知るところですが、まあ一応平均を前提に人生を考えてみようかと思っています。
ところで前期高齢者と後期高齢者とは何によって決まっているのかご存知ですか。民法では成人は20歳からと決められていますが、高齢者は法律によって違います。高齢者の住居の安定確保に関する法律では「60歳以上の人、または60歳以下でも一定の条件を満たす人」とされています。前期と後期に分けているのは「高齢者の医療の確保に関する法律」で、65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としています。
閑話休題
高齢者を前期と後期に分けているのは理にかなっていると思います。ある研究によると80歳を過ぎたころから急に日常生活に不便さを感じるようになります。当然人によって異なるのでしょうが、たとえばバスや電車による外出ができないとする人は70歳代後半では1割強ですが、80歳代前半では3割、80歳代後半では6割となっています。(続く)
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高齢期にも安心な住まい(7:チェックしましょう「浴室」)

2015年08月11日 | 老後と住まい
家庭内の不慮の事故で亡くなる方は、厚生労働省の調査によると1年間に約1万5千人ですが、そのうち65歳以上の高齢者が約1万3千人(全体の8割)となっています。事故原因としては浴槽内での溺死が最も多くなっています。これとは別に行われた東京都健康長寿医療センターの調査結果では推計で年間1万4千人の高齢者が入浴中に亡くなっています。入浴中の事故の大半は冬場に起きていますが、これは日本の住宅は夏の高温多湿には適していますが冬の寒さには向いておらず、冬の寒い夜に入浴しようとして寒いところから暖かい浴槽に入り血圧が大きく変動し事故につながると考えられています。
浴室のチェックポイントを挙げてみます。
ポイント1:冬場に寒くありませんか。前述の事故防止のためにも断熱に優れた構造や材料を取り入れることが重要ですが、寒ければ暖房器具を使って風呂を暖めることを検討します。
ポイント2:将来、介助を受けてでも入浴したい場合、介助スペースがありますか。介助スペースを考えると1坪ほどの広さが必要です。入浴時の介助・介護のスペースが無い場合は、介護保険サービスに「訪問入浴介護」というサービスがあります。
ポイント3:段差は乗り越えられますか。浴室は水が外に出ないよう、洗い場が脱衣場より10cm程度低くなっています。床上げ工事をしない場合は、段差の解消のため「すのこ」を用いる方法もあります。
ポイント4:浴槽は「和洋折衷型」ですか。洋式ですと入浴中や浴槽から出る際に足に力を入れることができません。和式ですと浴槽が深く出入りが大変です。
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高齢期にも安心な住まい(7:チェックしましょう「玄関」)

2015年08月10日 | 老後と住まい
外出を玄関からする場合、段差が問題となります。玄関の段差についての日本住宅性能表示基準については7月29日の記事の中に図で示しましたので参照ください。建築基準法では家の湿気を防ぐため床の高さは地面から45cm以上と決められています。ただし、床下にコンクリートを打つなどしてあればこれより低くすることも認められています。この理由から古い家ほど玄関の廊下と土間との段差が大きい傾向があります。段差が大きいと外出の障害となり、外出がおっくうになり、そのために体が衰え、そのためにさらに外出しなくなるという悪循環になります。
また、玄関外のポーチと庭や道路とに段差がある場合も外出の障害になります。
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高齢期にも安心な住まい(7:チェックしましょう「寝室」)

2015年08月09日 | 老後と住まい
総務省の調査によれば、50から54歳男性の睡眠時間は7.4時間ですが70歳から74歳では8.2時間、85歳以上では9.7時間になります。壮年時代では睡眠時間は1日の3分の1以下ですが、85歳を過ぎると1日の半分近くを寝室で過ごすことになり、寝室が生活の中心となります。
ポイント1:寝室、トイレ、玄関、浴室、食堂などは同じ階にありますか。高齢になると身体機能の低下により階段の昇り降りが大変になります。特に75歳を過ぎると急に日常生活の動作に支障を感じるようになりますので、もし同じ階にないとすれば寝室をトイレのある階に移す必要があります。
ポイント2:広さは十分ですか。高齢になると夫婦でベッドを使う場合は8畳ほどの広さが必要となります。同じ部屋に住まわないと、片方の具合が悪い時などに体調をみるために部屋を移動することになり大変です。
ポイント3:寝室とトイレの距離は近いですか。高齢になるとトイレまでの距離が4mを超えると遠いと感じるといわれています。高齢になるほどトイレの使用頻度が増し、またトイレまでの移動にも時間がかかるので用を足そうとしても間に合わないという場合も出てきます。
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