高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の備え12:介護費と入院費(確率的に必要な費用)(3)

2019年09月13日 | 高齢期の備え
(介護保険サービスの利用料)
・介護保険制度では市町村に介護サービスの利用を申し込むと支援や介護が必要な場合、要支援1、2と要介護1~5に判定さます。身体状態としては要介護1、2ではときどき介護が必要、要介護3以上では常に介護が必要というイメージです

要支援1:ほぼ自立した生活ができるが、介護予防のための支援や改善が必要
要支援2:日常生活に支援は必要だが、それによって介護予防できる可能性が高い

要介護1:歩行などに不安定さがあり、日常生活に部分的な介護が必要
要介護2:歩行などが不安定で、排せつや入浴などの一部又は全部に介護が必要
要介護3:歩行や排せつ、入浴、衣服の着脱などに、ほぼ全面的な介護が必要
要介護4:日常生活全般に動作能力が低下しており、介護なしでの生活は困難
要介護5:生活全般に介護が必要で、介護なしでは日常生活がほぼ不可能

・介護サービスを受けた場合、サービス費用額の1割が自己負担額(高額所得者は2割又は3割)となります。年金収入等が280万円未満であれば1割負担で、介護サービスを受けるおよそ90%の方は1割負担です。

・介護サービス費用はサービスの種類や介護度によって違います。自宅に住んで介護サービスを受ける居宅サービスの場合、介護サービスの種類に応じて1回当たりの介護サービス費用単価と介護度に応じて一か月あたりの上限が定められています。介護施設の場合には介護度に応じた1日あたりの介護サービス費用が決まっています。

・居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額は次のようになっています。この限度額以下の場合は、利用サービス費の1割、2割または3割を支払うことになりますが、限度額を超えると超えた分は全額自己負担となります。たとえば、要介護2で自己負担1割の場合、使用した介護サービス費が15万円のときは1万5千円が自己負担ですが、それが20万円のときは1万5千円に超過分3,860円を加えた1万8,860円が自己負担になります。居宅サービスの場合、平均的には上限値の5割から6割程度を支払っています。

要支援1: 5万0,030円
要支援2: 10万4,730円

要介護1: 16万6,920円
要介護2: 19万6,160円
要介護3: 26万9,310円
要介護4: 30万8,060円
要介護5: 36万0,650円

・おむつを必要とする場合は毎月1~2万円が必要になるなど介護保険の自己負担以外の費用もあります。これらの費用の補助をする市町村もあります。

高齢期の備え11:介護費と入院費(確率的に必要な費用)(2)

2019年09月12日 | 高齢期の備え
(介護保険の仕組み)
・介護が必要となった場合は介護保険を利用します。経済的な負担が少なくて済みます。

・平成8年(2000年)からスタートした介護保険制度は、保険者が原則市町村、被保険者が65歳以上の人(第1号被保険者)と40歳から64歳の人(第2号被保険者)となっています。

・介護保険制度で受けられるサービスは、介護サービス事業者を都道府県が認定する「施設サービス」、「居宅サービス」と、市町村が認定する「地域密着型サービス」に大別できます。

・介護保険サービスを受けるには要支援・要介護の認定を受けることが必要で、認定を希望する場合は保険者である市町村で手続きをします。介護保険サービスを受けている第1号被保険者は約625万人で、65歳以上の方の5人に1人の割合で介護サービスを受けています。第2号被保険者の認定は決められた病気(16種類)で介護が必要となった場合に限られ、約13万人が認定を受けています。(出典:介護保険事業状況報告(平成29年4月) 厚生労働省 )

・介護保険の財源は、税金と被保険者が払う保険料で賄われ、その割合は全国平均では50%ずつとなっていますが、市町村の事情に応じて調整されます。

・保険料は40歳から生涯にわたって全ての人が一人ひとり支払うことになっています。介護保険料は年度(3年毎)と保険者(原則市町村)によって異なります。厚生労働省が取りまとめた結果、2018~2020年度の第1号保険料は全国平均で月額5,869円、市町村単位でみると最高9,800円、最低 3,000円となっています。保険料は所得などに応じて減免措置があります。第1号被保険者の多くは年金から天引きされます。

・介護保険サービスを受けた場合、サービス料の1割を負担します。収入が多い場合は、収入に応じて2割、3割負担の場合があります。

日本の適正人口

2019年09月11日 | 漫筆
人口減少が始まってかなりの年月が過ぎます。
ところで人口減少は日本にとって良いことなのでしょうか悪いことなのでしょうか。
視点によって答えは異なるでしょう。
経済の視点からは国の活力が失われ、防がなければならないということでしょう。
投稿者は、生きるという視点で、もし日本が世界から孤立しても食糧需給が可能であるという人口が良いのではと常々思っています。
今、日本の食糧需給率は4割といわれていますから、1億2千万人の4割の約5千万人が適正な人口ではないかと密かに考えています。
迂拙

高齢期の備え10:介護費と入院費(確率的に必要な費用)(1)

2019年09月11日 | 高齢期の備え
・介護費と入院費は、心身の状態によって必要になる場合もならない場合もありますが、必要となれば節約できない費用です。

・問題は、高齢になったときに介護が必要となるかどうか、必要になったとしてどの程度必要になるかを現役時代に知ることができないことです。

・そこで、寿命と同じように「自分が納得または受け入れることのできる想定をすること」にします。

・ここでは、同じ年齢の人10人のうち3人がある介護度になる年齢には自分も同じ介護度になる、同じ年齢の人10人のうち3人が入院すれば自分も入院する、と想定して推算します。結果は次のようになります。なお、介護は居宅で受ける、2030年には介護サービスの自己負担は3割になる、介護保険等の自己負担分だけでおむつ代などは含まれてない、高額医療制度を利用するなどを前提条件としています。(詳細は次回ブログから)

男性(70~寿命91歳)
介護費:120万円(88歳:要介護1、91歳:要介護2)
入院費:140万円(入院8回)

女性(70~寿命96歳)
介護費:550万円(84歳:要介護1、88歳:要介護2、91歳:要介護3、95歳:要介護4)
入院費:100万円(入院6回)

・介護費は女性が多額、医療費は男性が多額であるのが特徴です。この特徴は私的な保険を検討するときのポイントの一つです。特に女性は、介護を受ける可能性が大きく、寿命も長いと想定しているため介護費用が多いという結果になっています。

高齢期の備え9:2030年に70歳の方が寿命までに「最低限は絶対に必要」な費用

2019年09月10日 | 高齢期の備え
・「最低限は絶対に必要」な費用(生活費、住居費、通院費、保険料)は、前回ブログの年間に必要額に70歳から寿命までの年数を掛ければ簡単に算出できます。

・問題は、寿命をどのように考えるかです。実際の寿命は神のみぞ知るところですから。一つの方法として、「同年齢10人がある人数になるまで自分も生きる」として寿命を決めることです。

・日本の将来推計人口(平成29年推計 国立社会保障・人口問題研究所)の死亡率を使って2030年に70歳10人が5~1人になる年齢を計算すると次のようになります。
男性:5人(87歳)、4人(89歳)、3人(91歳)、2人(94歳)、1人(97歳)
女性:5人(92歳)、4人(94歳)、3人(96歳)、2人(98歳)、1人(101歳)

・この結果を使って自分は何歳まで生きるかを「想定」します。たとえば10人が3人になる年齢まで自分も生きるとすれば、男性では寿命は91歳、女性では96歳が寿命となります。

・この想定の場合、「最低限は絶対に必要」な費用は次のようになります。
男性:70~91歳 約2,600万円【120万円×(91-69)年)】
女性:70~96歳 約3,200万円【117万円×(96-69)年】
夫婦:夫70~91歳、妻70~96歳 約4,800万円【193万円×(91‐69)年+117万円×(96-91)年】

・「想定」によって高齢期に必要な「最低限は絶対に必要」な費用は大きく違います。しかし現役時代に必要な貯蓄額を見積もるうえではできるだけ長生きするとして貯蓄をしたほうが安心です。そうかといってギネスに載るような年齢ではやりすぎという感があります。結局、自分が納得または受け入れることのできる想定をすることが最善の方法だと思います。