ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ある人のストレス

2011-05-11 21:51:23 | Weblog
帰りの電車の中で、35歳くらいの男性2人が
自分たちが経営している会社について話していた。

片方の男性が主に話していた。
「採用の際に、もっと違う方法のテスト、ないですかね。
ある道具を与えて、その道具をどんなふうに使うかを見るんです」

おお、制作会社だな。柔軟な発想が欲しいんだな、と思った。
次にその人から出てきた言葉は、
「これの次にこれを使う人は、会社を辞めない、指示どおりに動く、
っていうようなのを見分けられるテストがあれば、絶対使えますよね」と。

おや、逆かい、と口に出しそうになった。
どうやら離職率が高く、苦労しているらしかった。
せっかく教えたのに、すぐに辞めてしまう。
「この人手が欲しい時期に! まったく。
選民思想じゃないですけれど、なにか見分けるものが必要ですよ!」と息巻いていた。

もしもし。下の人が辞めてしまうのは、
あなたのその性格のせいだと考えたことはないのですか?
と、心の中で考えていて、ふと映画「地獄の黙示録」の
カーツ大佐のセリフを思い出した。

だいたいの意味しか覚えていないけれど、たしか、
ベトナム戦争において、よかれと思って現地の子どもたちに予防接種を打った。
そしたら、その親が、子どもの腕を切り落とした。
その切り落とされた幼い腕を見たときに、
自分の子どもの腕を切り落とすような意志をもった部隊が
自分に一個師団でもあれば・・・というようなことを言う。

結局は、カーツ大佐は米軍の刺客に殺されるわけだけれど、
この映画を撮っているうちにコッポラ監督も悩みに悩んで、迷った。
私も、彼の嘆きがわからなくもない。
でも「ぼくのために使う以外の頭はいらない。手だけ貸して」と言われて、
「はい、喜んで」と言う人に、私は会ったことがない。

まあ、そんなことでも言って、彼なりにストレス発散していたのだろう。
通勤電車の中は、ドラマに満ちているなあ。