ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

不寛容

2014-07-20 20:57:31 | Weblog
どうも日本に帰ってから体調が悪い。なかなか日本に馴染めない。

昨日、うちの団地の広報紙に出ていた内容に驚いた。
「ベランダでのおタバコもご遠慮ください」とな。

自宅のベランダでタバコ吸うのも、苦情の対象なのかい。
確かに風向きによっては、匂ってくることもあるけど、
そ、そこまで?!という印象。

この団地、高齢化が進んでるから、きっとどこかのおばあさんが、
「空調は嫌いだから窓を開けてたら、どこかの人が吸ってる煙草の匂いが」などと言い、
それが「正しい意見」として取り上げられたということなんだろう。

こういう人に限って、中国旅行に行くと「楽しかった。また行きたい」と言う。
そこら中が油でぬるぬるしてて、人民はタバコとビールで大騒ぎ、みたいなローカル店に、
ぜひ一度お連れして差し上げたいと思う。

自宅のベランダで、夜、つつましくタバコを吸うくらい、
ゆるしてあげようという気になるだろう。
そんなこと言ってると、若い人から「あなたは加齢臭がするから、横に座らないで」と
言われるようになっちゃうよ。

先日読んだ本『日本的霊性』(鈴木大拙著)。
日本の仏教史を書いた本はたくさんあるけれど、
魂を削るように修行した人が書いた文章というのは、本当に力があると思う。

日本人は甘い、他力本願だ。これは戦後のぬるま湯で・・・と言う人もいるけれど、
この本を読んで、そもそも日本人は他力本願だったんだなあ、と思った。
戦後の一時期ぐらいで、そうそう日本人の内面は変わらないだろう。

平安文学や鎌倉武士の精神性、そしてかつては国家鎮護だった仏教が
民衆に浸透して行く過程等、たいへんわかりやすい一冊だった。
仏教史から見る日本史は、学校では学ばない史観だけれども、
日本の歴史を穿つ重要な軸。
平家物語を読んでみようか、という気になった。

日本人の寛容さと不寛容さを理解するには、このへんのことをもっと知る必要がありそうだなあ。