昔々、ある所に老夫婦が住んでいた。
ある雪の日、罠にかかった一羽の鶴を助けた。
その夜、美しい娘が夫婦の家へやってきて、一晩泊めて欲しいと言う。
甲斐甲斐しく夫婦の世話をし、やがてその家の娘になった。
ある日、娘が「布を織りたいので糸を買ってきて欲しい」と頼み、
「絶対に中を覗かないで下さい」と夫婦に言い渡して部屋にこもり、
不眠不休で布を織り終わった。
「これを売って、また糸を買ってきて下さい」と。
見事な出来栄えで、高い値段で売れ、老夫婦は裕福になった。
しかし、娘が3枚目の布を織るためにまた部屋にこもると、
娘はどうやってあんな美しい布を織っているのだろうと、
ついに好奇心に勝てず覗いてしまった。
一羽の鶴がいて、自分の羽毛を抜いて糸の間に織り込み、
布を作っていたのである。
驚いている夫婦の前に機織りを終えた娘が来て、
自分は助けてもらった鶴だと告白した。
そして正体を見られたのでここを去ります、
と言うと、鶴の姿になり、
別れを惜しむ老夫婦に見送られ空へと帰っていった。
恩返しをする、
誰に?
なぜ?
そしてどんな恩返しをしようか。
今の自分は誰のおかげであるのだろう。
自分ひとりでここまで来たわけではない。
恩返しすべき人はもっとも身近なところにいる。
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