豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

塗り箸

2007年11月22日 | Weblog
デパートの台所用品売り場。二畳ほどの作業場にお箸に囲まれて座っているおじさん。そばを通るお客さんを呼びとめ、お箸をあげましょうとおっしゃいます。
「もう今日でおしまいやから、あげる。正月に取り箸にしたらええから・・」と、5センチほど塗り残しのある太くて長いお箸を下さいました。最後の仕上げにはその5センチほどを切り取るようですが、あえて残して面白さを出すということでした。


おじさんは、若狭塗りの箸職人さん。デパ-トでの出張実演販売でした。周りには色とりどり、形もさまざまなお箸が所狭しと並べられています。
おお!しかも、朝のテレビ小説の写真も一緒です。今回のNHKの朝ドラの主人公のお父さんは、若狭塗箸の職人さんなのでした。
さっそく取り入れるなんて、おっちゃんなかなかタイムリーやないですか~。

(朝ドラ「ちりとてちん」、面白いです。主人公もさることながら、とぼけた味わいの母親役の和久井映美さんが良いです!でも、時々ここぞという時に見せるどきっとするほどピュアな表情、これも素敵。「ひたむきさ」を演じさせたら右に出るものはない女優さんではないかしら・・。同じ年頃の子どもを持つ母親の可笑しさ悲しさ愚かさ、そんなものも見せてくださるのでとっても参考になります。桂吉弥さんもご出演!)

売り場には江戸時代や明治、大正、昭和の時代に作られた年代物のお箸も展示してありました。手にとって感触を確かめ、これはおいくらなの・・と訪ねる奥様も。
「値段を聞いたら、救急車呼ばんとあかんよ~!」とのお答でしたが、果たしておいくらなのでしょう。古いお箸は、いずれも螺鈿と呼ばれる、塗りの中からきらきら光がこぼれるようなサイケな感じの(いまいち表現がレトロね・・)複雑な模様のお箸でした。

なんとなく無料で頂くのも気が引けて、気に入ったものがあれば・・と一通り見せていただきました。普段目にするプラスチック製のものとは違う温かみのある塗りのお箸。さすがにどれも甲乙付けがたくて迷います。これぞ、というお薦めはどれですか?と聞いてみました。
すると示してくださったのが、八角形のお箸。何十回も漆を塗りを重ねたというシンプルながら渋い光沢のお箸でした。螺鈿細工のものが若狭塗りらしいのかなと思っていましたが、せっかくのお薦めの品。一本ずつ吟味して、間違いないと太鼓判を押してもらったその一組を買うことに決めました。

エビで鯛を釣る・・・そんな言葉も今では浮かんできますが、これも何かのご縁でしょう。年明けから使うのを楽しみに、引き出しにしまっておきました。