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読書感想文【火の粉】

2006年08月17日 04時08分40秒 | 読書感想文
「犯人に告ぐ」が面白かったのでこちらも期待して読んでみたのだが。。。

火の粉

『火の粉』
作者:雫井脩介

ストーリー:
判事・梶間勲が最後に手がけた公判、それは一家3人殺害事件であった。被告人・武内真吾は取り調べで一旦は罪を認めたが公判中は一貫して無罪を主張。事件当時、武内の背中には犯人から受けた打撲痕があり、被害者ぶるために自分でつけられるかどうかが公判の分かれ目だったが、検察側は打撲痕を自分でつけられるという証明ができず、勲は無罪の判決を下した。
退職後、大学教授の職を得た勲は東京郊外に一戸建てを買い、寝たきりの母と妻と長男夫婦とその娘の6人で暮し始めた。ところがある日、隣の家に武内が引っ越してきた。武内の人当たりのよさに、妻も長男もほだされてしまうのだが、武内が引っ越してきてから母が急死し、孫娘も様子がおかしくなった。長男の嫁である雪美は武内の正体に不穏なものを感じるが、家族は誰も信じてくれず、ついには家を追い出されるハメになってしまった。
さすがに勲も武内に不気味なものを感じ始めるが、自身で下した判決が足かせとなって武内を疑うことができない。
果たして武内の正体とは何なのか。そして武内が隣に引っ越してきた目的は。そもそも武内は本当に無罪なのか。

感想:
梶間家で起こる奇妙な出来事がどう武内と結びつくかについては特に難しい話ではなく、途中であっさり解明されてしまう。というか武内が本当に悪人なのかどうかも、もうちょっと引っ張ってもよかったような気が。
最初の母の介護のシーンはリアリティがあってよかった。
最後の展開というかオチもまぁまぁ。

読書感想文【赤い指】

2006年08月17日 03時53分01秒 | 読書感想文
東野圭吾の直木賞受賞後1作目。

赤い指

『赤い指』
作者:東野圭吾

ストーリー:
前原昭夫が、自宅の妻からかかってきた電話にただならぬ雰囲気を感じて帰宅すると、家の台所に少女の死体が転がっていた。殺したのは前原の長男・直巳だった。警察に届けようとする前原を妻の八重子が必死に引き止めるため、やむを得ず近所の公園の公衆便所に死体を隠した。決して隠し通せる自信があったわけではないのだが。
名刑事・加賀恭一郎は従兄弟で警視庁の刑事である松宮脩平とコンビを組み、練馬区内で発生した少女失踪事件の調査をすることになった。実は加賀の父・隆正は末期癌で入院中なのだが、加賀は一度も見舞いに行っておらず、隆正の身を案じている脩平はそれが不満で仕方ない。自然、二人の関係はぎくしゃくしたまま捜査を始めた。
警察には隠し通せないと観念した前原は、すべての罪を同居している母にかぶせようと画策した。母は認知症であり、うまくいけば母の罪も問われないまま隠し通せるのではないかと考えたのだが…。

感想:
前原家を通し、老人介護がひとつのテーマになっている。と、同時に前原家の長男・直巳を通して少女愛好者の異常性も描かれている。ふたつのテーマ自体はいまどき珍しいものでもなく、まぁさらさらと読み進めてしまうのだが、最後まで読むと前原家と加賀家に共通の話題があったことに気づかされる。もちろん伏線は張られており、あらためて作者の手腕に舌を巻いた。
ちなみにタイトルの『赤い指』は事件解決の重要な伏線。