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ゲーム攻略、読書感想文など。

読書感想文【パーフェクト・プラン】

2006年01月29日 00時44分39秒 | 読書感想文
これも「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。ネット、オンライン・トレード、ハッキングなどの専門知識が洪水のように流れ出る変わった小説だった。

パーフェクト・プラン

ストーリー:
代理母をやって生計を立てている小田桐良江は、ある時自分が代理母になった三輪俊成が母親から虐待を受けてるのを見て、さらってしまう。それを目撃したかつての情夫でありキャバクラの店員である田代、田代の兄貴分でアングラカジノで働く赤星、元相場師の張龍生の4人は、俊成の父親で投資アドバイザー「インフィニティ」の社長・三輪俊英に息子の面倒を見る旨をメールで知らせると同時に、有望株の情報を教えた。その株とは画期的な若返り方法を開発している製薬会社だった。
会社が危機的状況にあった俊英は株情報に躍起した。同時にEnigmaと名乗った4人も株情報をネットなどに流して株価操作を行う。結果的に英俊の会社もEnigmaのメンバーも大儲けをすることができ、後は俊成を帰せば、この身代金0の犯罪は無事終わるはずだった。
しかし、そこにハッカー"Joshua"が俊英の妻・咲子を操ったことで計画は崩壊する。
また、警視庁の女刑事・鈴村馨は三輪家に異変を感じ、独自に捜査に乗り出す…

感想:
前半はネットに情報を流して株価を上げていく過程がおもしろい。そして暴落直前に株を全て売り抜けるところもスリルがあった。
後半はハッカー"joshua"と鈴村の対決がメインになるのだが、これも専門知識のオンパレードで、PCに詳しい人であれば結構面白い。
でも最終的には、どんな科学の力も人の力には敵わない的な終わり方。
ストーリーは相当面白いのだが、登場人物一人一人があまり深く描かれていないため、なんとなく底が浅く感じてしまった。人物を深く描いていたら、間違いなく傑作だった気がするんだけどなぁ

読書感想文【闇先案内人】

2006年01月25日 00時17分15秒 | 読書感想文
結構前のものだが、最近古本屋で買って読んだ。

闇先案内人

ストーリー:
葛原は東京を拠点に、何らかの理由で国内にいられなくなった人間を国外に逃がす”逃がし屋”をしている。この逃がし屋には、それぞれの分野でのプロフェッショナルが所属しており、チームで活動している。
ある日、警察庁警視の河内山が葛原の前に現れて、極秘で来日中の隣国の要人を捕らえるよう依頼した。”その国”の要人は関西の”逃がし屋”である成滝にかくまわれており、5日後には出国してしまう。同じ”逃がし屋”なら見つけられるだろうと白羽の矢を立てられた葛原。断れば殺人の罪で捕まえられてしまい、チームにも迷惑をかけてしまうため、やむを得ずその依頼を受けることになったのだが・・・。

感想:
作中で”その国”といわれているのは北朝鮮がモデル。で、その独裁者の後継者のひとりが来日中という設定になっている。葛原と成滝、そして”その国”出身の在日の連中の三つ巴の戦いが繰り広げられることになる。実はこの依頼の裏には、別の狙いがあったり、とにかくどんでん返しが多い話なのだが、その裏をすべて見破っていく葛原がすごい。あと、途中に出てくるヤクザの本条がかっこよかったなぁ。長いが、あっという間に読み終わってしまった。

読書感想文【サウスポー・キラー】

2006年01月17日 01時00分34秒 | 読書感想文
「このミステリーがすごい!」大賞という賞を受賞した作品。作者は新人だが、選考委員のべた褒めが気になったので読んでみた。
プロ野球会を題材にとったミステリー。左腕の投手である主人公・沢村の所属するチームが長嶋巨人をモデルにしてる。

サウスポー・キラー

ストーリー:
人気球団オリオーンズに所属する沢村はプロ2年目のサウスポー投手。その実力は同じチームで往年の大投手でもある三浦をすでに越えているほど。その沢村が試合の帰り、見知らぬ男から暴行を受けた。さらに三浦の150勝記念パーティーの時にも暴行を受け、マスコミの知るところとなった。おまけに身に覚えの無い八百長疑惑までかけられて謹慎処分をくらった。
やがて2軍復帰するが、2軍の空気には張り合いがない。犯人を突き止めようと動いた沢村は、やがて過去に他球団に放出されていた7人の左腕投手たちが、みな同じ男―高木という元警官―にハメられてスキャンダルを作られていたことを知る。だが金を強請られていた彼らと違い、沢村の場合は球界そのものから抹殺されようとしていた・・・。


感想:
黒幕は誰なのか?というのが本書の核となる謎。また、沢村と恋人同士になる女優・黒坂美鈴も終盤になって怪しい動きをするのだが、犯人と、その動機は途中で簡単にわかってしまった。これはミナミがミステリー慣れしてるからだろうか?
で、本書の最大の山場は、真犯人逮捕後。実は真犯人が捕まる前に、すでに一軍復帰して数試合に登板していた沢村は、八百長疑惑の払拭のために、負けたら引退を賭けて登板すると監督の葛城と約束していた。この試合がめちゃくちゃ面白い。とにかくピンチまたピンチの連続でハラハラドキドキしながら読んでしまった。
他にもプロ野球を知ってる人なら思わずうなってしまうような、豆知識などが随所に出てきており、非常におもしろかった。

読書感想文【女王様と私】

2006年01月12日 21時35分19秒 | 読書感想文
最近歌野晶午にはまってるなぁ。あまり期待しないで読んでみたが、最後までちゃんと読ませる。

女王様と私(わたし)

ストーリー:
主人公・真藤数馬は44歳にして無職、いわゆるニートみたいな生活をし、70歳を越えた父に養ってもらっているどうしようもない社会不適格者。いわゆる引きこもり的な趣味しかなく、”絵夢”と名づけた人形を妹としてかわいがっている・・・。ある日真藤は日暮里で来未(くるみ)という12歳の女の子にからまれた。それ以来、来未のいわれるままに渋谷や銀座に連れて行かれ、高級な食事をおごらされたりしている。来未いわく、それがロリコンに対するボランティアなんだそうだが。
そんなある日、来未の元同級生が何者かに殺されるという事件が発生。さらに2ヶ月後にもまたひとり同級生が殺された。次は自分の番ではないかとおびえる来未。初めて彼女が見せた12歳の少女の顔に真藤は犯人を捕まえて来未を安心させようと決意するが、とんでもないどんでん返しが・・・。

感想:
ネタバレはしない方がいいが、この物語の前提が、これまでのミステリーにはない、それってあり?といいたくなるような設定。その設定については物語の中盤であかされるため、それ以降は連続殺人事件の犯人探しもどこか緊張感がなくなってしまう。ただ、最後の最後まできちんととっといてある謎があったりもする。まぁおもしろいことには違いないのだが、この設定は・・・。

読書感想文【大奥 華の乱】

2006年01月07日 19時13分37秒 | 読書感想文
普段ドラマのノベライズ本は読まないのだが、テレビ放映を途中からしか見てなかったので、ついつい買ってしまった。

大奥華の乱

本の評価:
内容は徳川五代将軍綱吉と、大奥の女性たちの愛憎劇。史実とフィクションが交じり合った内容で(例えば主人公の安子は綱吉の子を生んだことになっている)、まぁ歴史小説としての価値はまったくないのだが。
というよりむしろドラマの内容をそのまま文章してみただけなのでドラマに興味がなければ読む必要もないし、文学性もない。
巻末に付録で人物事典や用語辞典が載っているので、それはよかった。多分二度と読まないかも。

物語の評価:
なんか酷評を書いてしまったが、ドラマ自体は相当面白かった。綱吉の側用人・柳沢吉保が、過去に綱吉に女をとられ(主君には逆らえないから)、その復讐のために綱吉を傀儡にしようという決心があったことや、大奥で正室の信子(ドラマでは藤原紀香)が勢力拡大のために京から側室を集めたりなど。あとキャラ的には右衛門佐(高岡早紀)が一番好き。女性でありながら天下を憂え、大奥から将軍を操って天下を正道に戻そうという志や、それに見合った頭脳を持っているところがとても魅力的。
また、中盤までは暗愚に描かれている綱吉が、実は柳沢の魂胆をすべて見抜いていたり、孤独な境涯の中で唯一安子を頼りにしていたりと、案外奥が深い。
そんなわけでドラマの面白さをそのまま味わいたいのであれば本書は文句なし。