喜界島 追記:京都との違い

2021年12月28日 23時07分50秒 | + プラス
喜界島への応援で苦労したのが京都では当たり前に使っている薬が使えないことでした。
それは在庫云々じゃなくて京都では許されているのに、喜界島もっと言えば鹿児島では許されないというのが多々あったのです。
同じ日本国内において、上市されている薬が使える使えないがあるというのは大問題だと思うけど
単純にあまり知られてないのか、地域によって財政状況が違うのでうやむやになっているのか、
正直私にはわかりません。ただ事実としてツラツラ書いてみます。

一般的に多くの人の医療費は3割で済んでいます。
残り7割はどういう感じかと言えば、下の図がわかりやすい。

残り7割は健康保険組合や共済組合、市区町村などの保険者が払ってくれるのですが、
その際に審査支払機関によって正しく薬が使われていたかなど審査が行われます。

その際に“この使い方は駄目!”って感じで言われるのですが、
それを“返戻”といい使い方が間違えているので、残り7割を全額払って貰えないという事例が発生します。
喜界島はそれが大変厳しい状況でした。

例えば抗生物質の1つにクラビット(レボフロキサシン)というものがあります。
京都市私立病院協会が出す抗菌薬適正使用マニュアルによれば


標準的投与量:500mg 1日1回。添付文書外になるが750mgまで使用しても良い。
(大元はサンフォードなんだろうけど、ここでは割愛)

したがって当院でもレボフロキサシンは1回750mgで出ることもあるのですが、
喜界島ではこの出し方をしては駄目なのです。なぜなら書いてある通り
添付文書に書かれていない用法だからです。

外にもあります。てんかんの薬であるバルプロ酸は
認知症症状の1つであるせん妄に対して使われます。
とある論文の切り抜きでもこんな感じ

カルバマゼピンやバルプロ酸などの抗てんかん薬も BPSD に対する効果が報告されている。
副作用の面から,臨床場面ではバルプロ酸(デパケンⓇ,セレニカⓇ)が用いられることが多い。
このBPSDというのは認知症における周辺症状です。

ところがこの使い方もダメだしされるそうです。
やはり添付文書とは違う使い方だから。

どちらかと言えば添付文書の情報って承認する段階の情報で
現場レベルからしたら、日常診療では違った形で広く使われているのですが、
京都はOKでも鹿児島はNOという事例があることに驚かされました。

これって地味に医療格差であると私は思うワケなんですがどうなんでしょ?
確かに添付文書外の使い方をしてしまって、何かがあった時に責任をとるのは
処方した側になるのですが、もうちょっと日常診療に沿った在り方をしてくれても良いと思います。
このマイナーブログに書いたところで何もかわらないでしょうがね。
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