少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

いわいごと

2021-10-30 07:00:00 | 読書ブログ
いわいごと(畠中恵/文芸春秋)

デビュー作『しゃばけ』が大ブレイクしてシリーズ化され、本屋ではよく見かけてきた作家。

本作は『まんまこと』シリーズの第8弾で、私が読んでいるのはこのシリーズだけ。図書館で借りているが、人気作家だけあって3月に入荷し、借りられたのは10月になってから。よく売れている本を取り上げるのは私らしくないが、相手にしないと決めているわけではない。

江戸の町名主の跡取り息子が主人公で、町名主のもとに持ち込まれるさまざまな厄介ごとを裁いていく。1話完結の話をつないでストーリーを紡いでいくおなじみのスタイルだが、主人公麻之助の嫁とりも大きなテーマになっている。

謎解き、というよりは人情話だが、飄々とお気楽な割には行動力のある主人公のありようと、見習い同心、高利貸し、両国界隈の顔役、差札など多様な人とのつながりの中で、解決策をさぐる筋道がシリーズの魅力だ。

死別やら破談やらで中々おさまらない主人公の嫁とりも、ようやく成就したようだが、これでおしまい、という感じはしないので、続きを待ちたい。