横浜ネイバーズ5 ディテクティブ・ハイ
(岩井圭也/ハルキ文庫)
今年4月に紹介したシリーズの第5作。
今作も、フリーターの主人公が、周囲で起こる4件の困りごとに体当たりで立ち向かう。キーワードは、地下アイドルの押し活、闇金、合法(違法)薬物、特殊詐欺の闇バイト。はやりもの?の事件を取り上げるのも、これまでと同様。
しかし、漫然と巻を重ねるだけのシリーズではないようで、事態は大きく動いていく。
近隣の人々の役に立ちたい、という思いはあるが、事件を解決しても報酬が得られるわけでもなく、将来の見通しが立たない主人公だが、これまで積み重ねてきた人の縁から、少し方向性が見えてくる。
これまでも、少しあぶない方向に踏み出す傾向のあった主人公だが、今作では、かなり危険な領域に突き進んでいく。
そして、シリーズを通しての大きな謎である、母親との因縁がクローズアップされる。
クライマックスが近づいている気配があるが、果たしてどうなるのか。
これまで速いペースで新刊が出てきたが、次作も早めに出ることを期待したい。