悪しき正義をつかまえろ(ジェフリー・アーチャー/ハーパーBOOKS)
ジェフリー・アーチャーの<ウィリアム・ウォーウィック>シリーズの第三作。今作では警部補に昇進し、内務監察特別班を指揮する。原題は「見て見ぬふりをする」という意味の慣用句。内部腐敗の摘発という、警察小説の王道テーマをどのように調理するのか、また、これまで積み重ねた設定をどのように展開するのか。
第一作の敵役は脱獄中。第二作で捕らえられた麻薬王は裁判にかけられるが、それを弁護するのは、第一作からおなじみの悪徳弁護士。第三作の敵役は、主人公と同期の、実績のある花形警察官。捜査班はこれらの敵役に対応していくことになるが、彼らは互いに結託する傾向があり、一筋縄ではいかない。物語では、捜査と裁判が並行して進み、捜査が成功しても、裁判では、悪徳弁護士の狡知や陪審制の制約から、十分な成果が得られない、というのもこれまでと同様。そして、次々と予想外の事態が進行し、やきもきしながらも、結局、作者の思うままに翻弄されることになる。
このシリーズの魅力のひとつに、第一作で登場した、美術品窃盗詐欺師の妻の存在をあげることができる。悪ではないが、完ぺきな善でもない。そのあたりの加減が、物語に陰影を与えている。間違いなく、この人物は次作でも登場するだろう。
次作では、主人公は警部に昇進し新たな任務につくことが、作中で予告されている。訳者あとがきでは、第四作“OVER MY DEAD BODY”は、2023年冬に刊行予定、とのこと。これも慣用句のようだが、あえて直訳すれば『俺の屍を越えてゆけ』ということになる。(そういうタイトルのゲームがありましたね。)
ジェフリー・アーチャーの<ウィリアム・ウォーウィック>シリーズの第三作。今作では警部補に昇進し、内務監察特別班を指揮する。原題は「見て見ぬふりをする」という意味の慣用句。内部腐敗の摘発という、警察小説の王道テーマをどのように調理するのか、また、これまで積み重ねた設定をどのように展開するのか。
第一作の敵役は脱獄中。第二作で捕らえられた麻薬王は裁判にかけられるが、それを弁護するのは、第一作からおなじみの悪徳弁護士。第三作の敵役は、主人公と同期の、実績のある花形警察官。捜査班はこれらの敵役に対応していくことになるが、彼らは互いに結託する傾向があり、一筋縄ではいかない。物語では、捜査と裁判が並行して進み、捜査が成功しても、裁判では、悪徳弁護士の狡知や陪審制の制約から、十分な成果が得られない、というのもこれまでと同様。そして、次々と予想外の事態が進行し、やきもきしながらも、結局、作者の思うままに翻弄されることになる。
このシリーズの魅力のひとつに、第一作で登場した、美術品窃盗詐欺師の妻の存在をあげることができる。悪ではないが、完ぺきな善でもない。そのあたりの加減が、物語に陰影を与えている。間違いなく、この人物は次作でも登場するだろう。
次作では、主人公は警部に昇進し新たな任務につくことが、作中で予告されている。訳者あとがきでは、第四作“OVER MY DEAD BODY”は、2023年冬に刊行予定、とのこと。これも慣用句のようだが、あえて直訳すれば『俺の屍を越えてゆけ』ということになる。(そういうタイトルのゲームがありましたね。)