昨年7月に紹介した『レンブラントをとり返せ』から始まるシリーズの第二作。
昨年12月に発行されたが、読むべきかどうか少し迷っていた。この人の何巻にもおよぶ年代記は、これまで敬遠してきたから。
しかし私は考えた。ジョン・ル・カレはすでに故人となり、フレデリック・フォーサイスにももう多くを期待できない。80歳を超えてなお、創作意欲の衰えない大家の作品、しかも私の好物のひとつである警察小説を、現在進行形で読まなくていいのだろうか。(読書にも、やはり旬があるのだ。)
で、今回、主人公は、麻薬捜査班に異動になり、闇の麻薬王を追い詰める特命に従事する。彼の上司は、次々と分野を変えて特命捜査に当たらせる方針のようだ。予想どおり、第一作の敵役もからんできて、そちらのほうは法廷ものの様相を呈する。で、いずれの事件も何とか解決にいたるのだが、やはり敵役は次作でも登場するだろう、という結末に。
巻末の「訳者あとがき」で、作者が自分に対して言っている言葉が紹介されている。
「おまえはスコット・フィッツジェラルドにはなれない、彼は作家だが、おまえはストーリー・テラーに過ぎない」
前にも書いたことがあるが、私はストーリーテリングが大好きだ。そして、どれほど村上春樹が肩入れしようが、フィッツジェラルドを読むことはないだろう。(たぶん)