少し偏った読書日記

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公孫龍

2024-01-05 22:08:52 | 読書ブログ
公孫龍 巻三 白龍編(宮城谷昌光/新潮社)

宮城谷昌光氏の新シリーズが第三巻を迎えた。

舞台は古代中国。宮城谷氏が最も愛する戦国時代。周の王子が陰謀によって命を狙われ、死を偽装して商人・公孫龍として生き延びる。貴種流離譚の形をとりつつ、楽毅や平原君が活躍した時代を縦横に描いている。

宮城谷氏は、この時代が中国の歴史上、人々が最も自由に思考し、行動することができた時代だと考えている。それを体現するように、主人公は、信義を重んじ情に厚く、ものごとの本質を見抜く目を持っている。商人として成功するだけでなく武力も蓄え、超の王位継承争いで重要な役割を果たし、燕の国力増進に心を砕く。まさにスーパーヒーローとして活躍する様子を、この作者独特の文体で軽快に描いていく。

第一巻や第二巻を読んだ後で紹介することもできたのだが、少し気になっていたのが、この作品で描かれている公孫龍が、諸子百家の一派である名家のイメージとずいぶん違っていたこと。第三巻の巻末にいたって、両者の関係が一応、明らかにされる。

第四巻以降、物語の行方だけでなく、両者の関係がどうなっていくのかも楽しみだ。

画像は、書影とは関係のないイメージ。


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