中野のお父さんと五つの謎(北村薫/文藝春秋)
2023年3月に紹介した「中野のお父さん」シリーズの第4作。
このシリーズは、主人公が女性編集者であることや、出版時期に合わせて主人公が年齢を重ねるところなど、「円紫師匠と私」シリーズとの共通点も多いが、こちらは、本文中に出てくる「文学探偵」という言葉が示すとおり、文学周辺の謎に特化している。
タイトルのとおり、探偵役は中野のお父さんなのだが、今作では、他の古書好き二人との競演、という色合いが強い。
この作者の文章は、会話がとにかく楽しい。それを受けての地の文章でも、これは、と思うところが随所にある。
また、書かれている内容は、コロナ禍の影響のほか、大谷翔平や元A.B.C-Zの河合くんなども登場し、同時代を感じさせる。(作者の若さも)
冒頭の章は、「I love you」の奥ゆかしい日本語訳をめぐる謎。多くの人が(へえ、そうだったんだ)と思うはず。
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