生物の中の悪魔 ~「情報」で生命の謎を解く~
(ポール・デイヴィス/SB Creative)
本書は、生命とは何か、という根源的な問いを解明するためには、情報理論が必須になっている、という生物学の現状を一般向けに解説した本。
7つの章で構成されている。いくつかの抜粋とその概要は次のとおり。
第一章 生命とは何か
生命は物質で構成されているが、それに情報が付加されることで非生命と区別される、という視点の導入。
第二章 悪魔の登場
熱力学の第二法則を出し抜くための思考実験として考えられたマクスウェルの悪魔は、結局、その後の情報理論の発達によって第二法則を破ることはできないことが確認された。しかし生物は、マクスウェルの悪魔並みの巧妙な仕組みで極めて効率的に働く仕組みをいくつも(進化を通じて)発明してきた。
第四章 進化論二・〇
遺伝子がすべて解析されても生物を理解したことにはならない。遺伝子の制御と操作がどのように行われているかが問題であり、進化論は大きく改造されつつある。
第五章 不気味な生命と量子の悪魔
生物は、量子力学がもたらす効果を活用している可能性がある。
などなど。
生命については、現在のような形に進化してきたのは、ほとんど奇跡(地球以外で存在することは考えにくい)という立場と、地球という、わりとありふれた惑星で誕生しているのだから、他にも必ずいるはずだ、という立場があるが、本書は生物学側なので前者の立場に近い。
量子力学や宇宙論だけでなく、生物学においても、情報が重視されるようになってきた、ということがよく理解できた一冊だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます