折れた竜骨(米澤穂信/東京創元社)
米澤穂信の旧著。この本は厚めなので手を出さずにいたが、作者が「この作品は『黒牢城』と同じ根から出た兄弟作だ」と言っているのをみて、読んでみようと思った。
舞台は中世ヨーロッパの、北海に浮かぶ孤島。「剣と魔法」をそのまま体現した世界で、殺人犯を探すミステリ。
ある条件による犯人の限定。魔法の性質から導かれる制約。寄木細工のように組み立てられた推理で犯人を絞り込んでいく。
謎解きの面白さだけでなく、剣と魔法の物語としても読みごたえがあり、事件の解決に伴い、島をめぐる、より大きな謎も解きほぐされていく。
ファンタジーとミステリの心地よい融合、と呼ぶにふさわしい作品で、『黒牢城』の兄弟作、という意味がよく理解できる作品だった。
なお、タイトルの意味が最後にわかる、という趣向も悪くない。
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