ピンクの花はモッテノホカといっていた食用菊。
くせのない上品な味だ。黄色は香りが強いが、
母が初めて手掛けた食用菊。栽培が容易だったようだ。
雪の降る前のすこしの季節、我が家は菊の香りで息がつまるほどだった。
母が取り寄せ育てた菊が増えた。収穫した菊を
余さず始末して私に渡した。私は
せっせと料理したり冷凍保存していた。
そのうちに冷凍庫も冷蔵庫も菊でいっぱいになった。
なますやてんぷら、菊寿司にも飽きて
悪いと思ったが「もうたくさんでいらない」という意味のことを
言った。それからも母は菊作りを続けていた。
今までと違うことは収穫した菊を、すぐ食べられるように始末してから
ご近所や知り合いにもらってもらっていた。
そうしていると、苗をほしいと言われプレゼントする。
我が家の食用菊は減りつづけた。そんなとき、母は倒れて
菊作りはできなくなった。
昨日冊子で偶然、菊料理を目にする。懐かしさで胸が締めつけられた。
もっともっと優しくできなかったのか・・・
春になったら食用菊の栽培をして、あの食味をまた確めたい