韓国ドラマ 散歩ガイド~散る花と咲く花がいつもここにある~

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朝鮮国王の「祖」と「宗」の違い

2015-10-27 16:00:00 | 李子朝鮮歴代王

韓国ドラマの それも時代劇にハマっている方は
日本の歴代将軍や天皇の名前とか 歴代総理大臣の名は言えなくても
「朝鮮歴代王の名前なら言える!」という方も多いのではないでしょうか。

朝鮮国王は全部で27人

≪祖(ジョン)も宗(ジョン)もつかない2人の王≫

第10代国王 燕山君(ヨンサングン)
第15代国王 光海君(クァンヘグン)

この2人の王には「祖(ジョ)」も「宗(ジョン)」もついていません
それはなぜか… 廃位させられた王だからです

燕山君(ヨンサングン)は ご存知の通りの暴君として知られています
「仁粋大妃(インステビ)」などで描かれているように
母ユン氏が王妃の座から廃位されるばかりか 毒殺されたことを恨み
後世に残るほどの残虐非道を積み重ね 廃位されてしまいました

この時の反正(パンジョン)=クーデターが中宗反正(チュンジョンパンジョン)です
さまざまなドラマで描かれるとともに 王位継承争いの場面では
「燕山君(ヨンサングン)の轍を踏むのか!」などと、引き合いに出されます

一方 宣祖(ソンジョ)の庶子で次男である光海君(クァンヘグン)は
もともと王になるはずではありませんでした
しかし 光海君(クァンヘグン)もまた 暴君として廃位されてしまいます

この光海君(クァンヘグン)もまた 数奇な運命から
多くのドラマで描かれているのです

≪祖(ジョ)と宗(ジョン)の違い≫

そもそも 朝鮮国王の呼び名は 生きているうちにつけられるものではありません
正式には「廟号」といって 死後に先祖として祀る際につけられるのですが
韓国ドラマでは 分かりやすいように「廟号」を呼び名としています

○祖(ジョ)がつけられた7人の王

大乱を経験したり功のあった王には 祖(ジョ)がつけられています

1-太祖(テジョ)
王朝の創始者 李成桂(イ・ソンゲ)です
その功は 言うまでもありません

2-世祖(セジョ)
幼い甥から反正(パンジョン)によって王位を奪ったとされています
数々の功績がありながら どうしてもダーティなイメージを持たれてしまいます

世祖(セジョ)が王位に就かなければ 別の勢力が王統を奪ったのか…
その時代背景で 多くのドラマが作られています

3-宣祖(ソンジョ)
光海君(クァンヘグン)の父である宣祖(ソンジョ)は
豊臣秀吉の朝鮮出兵「壬辰倭乱」を経験した王ですが
亡国寸前まで追い込まれながら「滅亡しなかった」ことが功とされました

4-仁祖(インジョ)
宣祖(ソンジョ)の孫 仁祖(インジョ)は 王になるべき立場ではありませんでした
しかし光海君(クァンヘグン)を引き摺り下ろすため 擁立されたのです
即位してからは 度重なる侵略に苦しめられ 世子との対立に悩まされます
世子である昭顕世子(ソヒョンセジャ)は 結局 謎の死を遂げるわけですが
仁祖(インジョ)による毒殺説があるほどです

ドラマ「チュノ~推奴~」では
昭顕世子(ソヒョンセジャ)の長子を守ろうとする ソン・テハが素敵でした

※宣祖(ソンジョ)と仁祖(インジョ)は ともに「祖(ジョ)を拒んだ王」です
治世で起きたことを恥じたと言われていますが 結局は祖(ジョ)がつけられました

5-英祖(ヨンジョ)
みなさんご存知の ドラマ「同伊(トンイ)」の中で トンイの息子クムとして描かれています
「宮女の下人」といわれるほどに身分が低かった母親 同伊(トンイ)
英祖(ヨンジョ)は そのせいで蔑視されながら 党派同士の争いにも苦しめられます
息子 思悼世子(サドセジャ)を米櫃に入れ 死に追いやったことは あまりにも有名です

6-正祖(チョンジョ)
韓国時代劇ドラマファンなら外せない「イ・サン」です
亡き父 思悼世子(サドセジャ)と 祖父である英祖(ヨンジョ)との3代にわたる絆が
壮大なストーリーで描かれています

ドラマで描かれるように 身分を問わず能力ある者を登用しました
世宗(セジョン)と並ぶ好学の王として誉れが高く
ドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」でも その人となりが描かれています

7-純祖(スンジョ)
正祖(チョンジョ)の次男であり 正室孝懿(ヒョイ)王后の養子です
幼くして即位したため 英祖(ヨンジョ)の妃である貞純(チョンスン)王后により
摂政が行われることになります

第21代王 英祖(ヨンジョ)
第22代王 正祖(チョンジョ)
第23代王 純祖(スンジョ)

この3人の王には もともと「宗(ジョン)」がつけられていたのですが
後になって「祖(ジョ)」になっています

○「宗(ジョン)」がつけられた王たちの功績

「祖(ジョ)」がつけられなかった王たちは 基本形の「宗(ジョン)」になっています
どうしても祖(ジョ)がついた方が 立派な王のように思えます

しかし クーデターも大きな乱もなく 穏やかな治世を送った王たちが
だからといって何もしなかったわけではありません
むしろ そういった争いに時を費やす必要がない分 多くの偉業を成した王もいます

・太宗(テジョン)
朝鮮の始祖 李成桂(イ・ソンゲ)の5男イ・バンウォン
第一王子の乱 第二王子の乱を経て 兄弟や功臣を次々に排除するという暴君振りですが
息子世宗(セジョン)とともに 李子朝鮮の全盛期を築いた王として高く評価されています

・世宗(セジョン)
言うまでもなく「訓民正音(ハングル)」を作り上げた偉大な王です
1つの国に文字を生み出すことの困難さを描いたドラマとして
ハン・ソッキュが世宗大王を演じた「根の深い木~世宗大王の誓い~」があります

・成宗(ソンジョン)
幼くして王位に就き 李子朝鮮初の「垂簾聴政」を受けた王です
仁粋大妃(インステビ)の息子としてマザコン的に描かれたりもしますが
世宗(セジョン)から世祖(セジョ)へと受け継がれた朝鮮を さらに輝かせた王といえます

世祖(セジョ)が編纂した「経国大典」を完成させました
朝鮮王朝初期の文物制度は 成宗(ソンジョン)によって ほとんど完成され
建国以来 民衆は最も天下泰平の日々を味わったのです

・中宗(チュンジョン)
クーデターにより 暴君燕山君(ヨンサングン)から王位を奪ったにもかかわらず
「祖(ジョ)」をつけられなかった王です
在位中は クーデター勢力と燕山君(ヨンサングン)に弾圧されていた士林派など
勢力闘争が絶えず その中には 妃である文定王后とその外戚もいました

「朝鮮三大悪女」チョン・ナンジョンも暗躍します
ドラマ「女人天下」の中で あり得ないくらいのストーリー展開で描かれています

次王の仁宗(インジョン)が「祖(ジョ)」をつけようとしますが
成宗(ソンジョン)の直系であることで反対され つけることができませんでした


政治体制や派閥闘争などにより 「廟号」と功績については微妙に差異が生まれました
韓国時代劇ドラマを楽しむ上でも こういった背景を知るだけで見方も違ってきますね

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