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第58話 黄山伐を越えて
新羅(シルラ)軍と百済(ペクチェ)軍の戦いは 明け方まで続いた
決死の戦いの中で 百済(ペクチェ)陣営の門が破られる
続いてサムグァンが 左右の門を中から開け 味方を率いれた…!
サムグァンを間者と知ったファシが 背後から襲いかかると
サンヨン公が サムグァンを庇い ファシに斬りつけた!!!
すべての門が破られ 裏切った奸臣らが兵糧に火を放つ!
ケベクは トチュンに 泗沘(サビ)城へ行けと命じる
しかし 最期まで共に戦うと言って聞かないトチュン!
『私は この黄山ヶ原で命尽きるだろう!
しかしお前は ここで死んではならぬ!
必ず生き延びて泗沘(サビ)城へ行き 大王陛下をお守りするのだ!』
ここで死すると決めた ケベクの反撃は 凄まじいものであったが
新羅(シルラ)軍の弓隊に四方を囲まれた時 命運は尽きた…!
ユシンは 射手の構えを解かせる命令を出す
そして ケベクの前に進み出て 殺したくないという
『ケベク 私と共に三韓一統を成そう!』
『この戦いには負けたが 衷情の心までは負けたくない』
『お前が 命乞いをする人間ではないと分かっている
だからこそ…! お前の命を奪いたくないのだ』
※三韓一統:新羅(シルラ)・高句麗(コグリョ)・百済(ペクチェ)の三国統一
今ここで死ぬことに悔いはないが 唐軍に三韓を奪われはしないかと
それだけが心残りであるというケベク
必ずや唐軍を退け ユシン公の手で三韓一統を成すと
その確約を得て死にたいというケベクであった
将軍ケベクは たった5千の決死隊を率い 5万の新羅(シルラ)軍と戦い
4度の戦いで勝利した後 5度目の戦いにおいて絶命した
この戦いで生き残った百済(ペクチェ)軍は 寝返った臣僚20余人のみである
その後 サンヨン公らは 武烈王に許され官職と財を与えられた
まさに今 百済(ペクチェ)は 国家滅亡の危機に陥っていた…!!!
百済(ペクチェ)のウィジャ王は ケベクの死を悲しみ
一体 太子や王子たちは何をしていたのだと怒り狂う…!!!
太子プヨ・ヒョは 自らの失態を民に着せ皆殺しにしている
プヨ・テは 勝てる戦と楽観し ケベクを置いて戦場離脱した
太子を廃された長子プヨ・ユンだけが 父王に進言する
決してケベクの死は無駄死にではないと…!
唐軍との合流に足止めしたことで きっと敵は内紛を起こす
その背後を 加林(カリム)城と辺境の兵士に追撃させれば
まだ十分に勝機はある! と明言したのだ
この進言に満足したウィジャ王は プヨ・ユンに兵権を与える
新羅(シルラ)では
見事に黄山ヶ原を脱出したユシンに 称賛の言葉を贈る武烈王
そして この勝利のために命を落とした名も無き兵士たちの功績を称え
その遺族に対し 十分な恩給を贈るよう命じるのだった
その一方で 浮かぬ表情で深く考え込む武烈王
この勝利のために クァンチャンをはじめとする尊い命が失われた
そしてまた 戦乱に巻き込まれた 多くの百済(ペクチェ)の民もまた
三韓の民であり 武烈王が守らねばならない尊い命であったと…
その心情を 痛いほどに理解している文明王妃が
三韓が互いに争っている限り 悲しみは消えないと言い
だからこそ三韓一統を成さねばと 悩める夫を励ますのだった
太子妃もまた 失われた多くの命を慰めるため 慰霊祭を行いたいと言い
武烈王は 敵将ながら勇敢に戦って死んだケベクの霊も弔い
その忠心を正史に記し 三韓の民の模範にせよと命じた
とはいえ これで戦いが終わったわけではない
羅唐同盟を破棄することなく 百済(ペクチェ)を滅亡させるためには
まず 指揮権を独占しようとする蘇定方と 対峙しなくてはならないのだ
蘇定方は 合流期日に遅れた罪を厳しく問い 軍紀将の首を出せと言い出す
その軍紀将とは ユシンの息子サムグァンを指していた
フムスンは 我が息子パングルの敵を討つためにも
唐軍など無視し 単独で百済(ペクチェ)を攻め落とせばいいと喚く…!
しかし太子ボムミンは 羅唐同盟を無視するわけにはいかないという
キム・ユシンは 息子の首を差し出しても 同盟を維持すると言い出す
それでは兵士たちの士気が下がると 側近たちは猛反対するが…!
ユシンの意思は固く 誰の進言も聞こうとはしなかった
単独で 泗沘(サビ)城を陥落させることは容易いが
百済(ペクチェ)を滅亡させた後 高句麗(コグリョ)へ侵攻する時にも
羅唐同盟は 生かされねばならないのだと…!
この新羅(シルラ)軍の葛藤を 十分に予測し 高笑いする蘇定方
果たしてユシンが どんな結論を出すのか 高みの見物を決め込んでいる
『さすがにユシンも 息子の首を斬ることは出来ないだろう
その誇り高い鼻をへし折り 新羅(シルラ)軍を率いて進撃するのだ!』
そこへ ユシンが軍紀将の首を斬るとの報告が入る…!!!
蘇定方は 息子を斬れるわけがないと 刑場の場へ赴く
キム・ユシンは 我が息子の背後で剣を構えており
息子サムグァンは 怯える様子も見せず 堂々と座り首を差し出していた
軍紀将を処刑するにあたり 蘇総官に問う! と叫ぶユシン
上陸して葦のムシロで砂州を脱出した後 蘇総官は何をしていたのかと…!
新羅(シルラ)軍が 黄山ヶ原を突破しようと 必死にもがいていた時
加林(カリム)城を陥落させるでもなく ただ合流の期日を待っていた
統帥権を握ることだけに拘り 援軍も送らずただ見物していたのだ!!!
『援軍もなく 自力で黄山ヶ原を突破した“仲間”を労うことすらせず
ただ遅れたことを責め 統帥権を握ろうと 同盟の大義を無視したのだ!』
キム・ユシンは 息子をこの場で処刑すると同時に 唐軍への宣戦布告をした
泗沘(サビ)城に攻め入る前に まずは唐軍と一線を交えると…!!!
『サムグァン! お前の死は 新羅(シルラ)軍としての誇り高き名誉だ!
お前の首を斬った後 唐軍の首をすべて斬り お前の御霊に捧げるぞ!!!』
キム・ユシンという男は 決して脅しでハッタリをかけたりはしない
それを知っているからこそ 蘇定方と側近らはたじろいだ
構えた剣を振り下ろしたと同時に 新羅(シルラ)軍は攻めて来る!!!
いかに粗暴で傍若無人な蘇定方であっても それがどういうことかは分かる
今にも剣を振り下ろそうとするユシンを止め 遅延の罪は不問に付すと言い
一触即発の状況から一転し 両者は 和解の握手をするのだった…!
こうして“羅唐軍”として 泗沘(サビ)城へ進撃することとなったが
ユシンから受けたこの恥辱で 怒りに震える蘇定方であった
そんな蘇定方を 百済(ペクチェ)のプヨ・ユン王子が訪ねて来た
高句麗(コグリョ)の援軍が到着するまでの 時間稼ぎである
これを口実に 進撃を遅らせるという蘇定方
ユシンに進撃を請わせてから 余裕で重い腰を上げてやろうと…!
百済の使臣と蘇定方が会談したことは ユシンの耳にも入っている
いずれは百済(ペクチェ)を滅ぼし 唐軍との戦闘は避けられないだろう
結局 三韓一統の大業は 新羅(シルラ)の力だけで成し得ねばと…!
百済(ペクチェ)の妓女を呼び 宴に興じる蘇定方
しかし その妓女の中には あのファシが…!
ファシは 亡きケベクの敵を討とうと 舞いながら蘇定方に近づく!!!
蘇定方に剣を突き刺したファシだったが その場で斬り殺されてしまう
しかも蘇定方は 強靭な鎧を身に着けており 致命傷にはならなかった
刺客に襲われたことを名分に 黒幕を暴くまでは動かぬと明言する蘇定方!
そして黒幕の正体が キム・ユシンかもしれないと 疑念を投げかけた
もはや 泗沘(サビ)城へ攻め入る前に
唐軍と新羅(シルラ)軍が一戦を交えることは避けられないという参謀カンス
報告を受けた武烈王は 怒りをあらわに言い放つ!!!
『三韓一統の大業を阻む者は この剣で罪を問う!!!』