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武士ペク・ドンス 第14話
キム・グァンテクは 夜が明けても ドンスを叩き続けた
振り上げられる棒を掴み 応戦の真似事をするまでにはなったが
ドンスの中に まったく闘争心は感じられない
見かねたジンジュが とうとう2人の間に割って入る!!!
この目は 狂っている目ではなく 何かを忘れようとしているのだと
それでもドンスを叩き続けようとするグァンテク!
『やめて!狂っていないというなら 私が元に戻す!!!
チョリプ! そっちを持って!』
ジンジュの剣幕に グァンテクも 黙って引き渡すしかない
2人がまだ 少年と少女だった頃
過ごした砦の あの火事になった場所へ連れて行き
チョリプに 外を見張るようにと言うジンジュ
ここで過ごしたことのないチョリプには
ジンジュが 何をしようとしているか見当もつかない
中から鍵をかけ 松明の火を持つジンジュ
『ドンス 覚えてる? 小さい頃に火の中から私を救ってくれた
あの時のように もう一度私を救ってよ
怖くなんかないわ 私はドンスを信じてる…!』
あの時のドンスは まだ四肢が自由ではなかった
それでも生きようとして 眠っている四肢の神経を目覚めさせたのだ
それは奇跡でも偶然でもなく 紛れもないドンスの意思だったから
ジンジュは ドンスの心に懸けてみようと思った…!
『朝鮮一の剣士になるって 言ってたでしょ
あなたはペク・ドンスだから きっと出来るわ! ……ドンス!』
小屋の外では チョリプが半泣きになり オロオロと待っている
そこへ グァンテクが駆けつけ 信じて待てという
燃え盛る小屋の前に 地(カオク)が現れ 中にいるのは娘だと叫ぶ!
こんな形で娘を失うわけにはいかないと 中に飛び込もうとする!!!
その時!
ジンジュを抱きかかえ ドンスが炎の中から出て来る…!
ドンスは 腕の中のジンジュに『この馬鹿!』と叫んだ
満足そうにドンスを見上げ ジンジュは気を失う
地(カオク)は 我が娘に会い 母と名乗ろうと決意し現れたのだ
もしや父親は…というグァンテクに それだけは話すことが出来ない
娘への手紙を託し その場を去る地(カオク)だった
黒紗蝋論(フクサチョロン)の砦では
あの沙彌尼が 生きてウンのそばにいた…!
天(チョン)に背負われ 砦に連れて来られ 一命を取り留めたのだ
世子を殺された恨みで 天(チョン)に斬りかかろうとさえしたが
か弱い沙彌尼が振りかざした剣では 傷跡さえ残せない
間もなく 黒紗蝋論(フクサチョロン)の使命を受け
ウンは 沙彌尼を連れ清国を目指すことになる
出発前に 何かドンスに伝えることはあるかと聞くウン
しかし沙彌尼は すでに自分は死んだ身であると答えるだけだった
沙彌尼が生きていることは 地(カオク)からグァンテクへ告げられたが
これ以上 何もしないことが 沙彌尼のためであるという地(カオク)
グァンテクは ドンスに この事実を伝えるべきか考え込む
そうとは知らず ドンスは 地(カオク)を追っていた
たとえ変わり果てた姿であっても その身を返してほしいと訴える…!
力ずくでも 沙彌尼の居場所を!と 剣を構えるドンス!
『女だからと 私を見くびっているのか?
お前に私は斬れない 愛する女も守れなかったお前が 何を守ると?』
斬りかかるドンスを 一瞬のうちに叩き伏せる地(カオク)
そんな実力では誰も守れないと言われ 返す言葉もないドンスだった
『悔しければ 強くなることだ』
『まだ終わりじゃない!!!』
尚も挑もうとするドンスを止めたのは 駆けつけたファン・ジンギであった
『“俺のジソン”のことは たとえ骨になっても守り抜く!』
『死んだ者の何を守るというのだ! ならば早く守るべきだった
強くなれ! 強くなって 二度と愛する人を失うな…!』
ジンギは 地(カオク)との関係について 初めて皆に語り始めた
それは 20年以上前にさかのぼる
地(カオク)は 黒紗蝋論(フクサチョロン)の先代天主の娘であり
ジンギは 地(カオク)の護衛を務めていたのだという
そして 身ごもった地(カオク)と共に黒紗蝋論(フクサチョロン)を去る
やがてジンジュを出産した地(カオク)が消息を絶ち
以来 ジンジュを娘として育ててきたのだ
ジンジュの父親が誰であるか それはジンギさえ知らない
まさか自分では…と思い 聞いてみたというグァンテクの言葉に
ドンスとチョリプは 信じがたい過去に 戸惑いを隠せなかった
その時 ようやくジンジュが意識を取り戻す
先に目覚めたドンスは さっそくジンジュに憎まれ口を聞く
ジンジュにはそれが嬉しかった
それでこそ ドンスが正気を取り戻したということだからだ
フクサモは 一同を追い払うように外へ出ろ!と言い
“父と娘”を2人きりにしてやろうという
ジンジュが 初めて出生の秘密を知る 大事な瞬間なのだった
実の母親が生きているという事実は 喜ばしいことではあったが
ジンギが 本当の父親ではないことが明らかになり 涙を流すジンジュ
『でもね 本当は小さい時から気づいていたの
他の人が話しているのを聞いたけど… 認めたくなかったのよ』
血縁ではないと分かっても それでも愛する娘であることは変わらない
涙ながらにそう言うと ジンギは 地(カオク)からの手紙を渡し外へ出る
黒紗蝋論(フクサチョロン)に 身を置いていたというジンギに
ドンスが 何としても沙彌尼を取り返そうと 砦の場所を聞く
果たして20年以上前の場所に 今もあるのかは分からない
そして 沙彌尼を殺したなら その皮膚を剥ぎ清国へ送ったはずだと…
そんな残酷な話を聞かされ 涙が止まらないドンスだった
一方 人(イン)テウンは
黒紗蝋論(フクサチョロン)の ある人物を懐柔しようとしていた
これまで 天(チョン)の腹心として仕えて来た者が
突然後継者となったウンに ひざまずく屈辱と不満を口にする
その不満を利用し 元仲間のよしみで…と擦り寄っていく
人(イン)テウンは 天(チョン)を亡き者にしようとしているのだ…!
この2人の密会を 芸妓クヒャンが目撃していた
黒紗蝋論(フクサチョロン)の砦にいる沙彌尼
しかしこのまま清国へ行けば 再びその命は絶たれるだろう
今度ばかりは救うことが出来ないと知り それでもどうにかしたいと考えるウン
沙彌尼ユ・ジソンは 助かりたいなどとは思っていなかった
むしろ自分が死ぬことで これ以上 多くの命が失われずに済むという
芸妓クヒャンが砦に現れ 人(イン)テウンの生存と 部下の裏切りを報告する
それを知ったうえで 天(チョン)は ウンを呼びつける
黒紗蝋論(フクサチョロン)の後継者として 自覚を持たせるため
いずれ天主となってすべきことを その心に刻んでいく
ウンは 天(チョン)の前にひざまずき 永遠の忠誠を誓うが
どうか沙彌尼の命を救ってほしいと 心から願い出る
ずっとドンスを応援する立場だったが ウンもまた 沙彌尼を想っていたのだ
冷酷なまでの厳しさを持つ天(チョン)だが 情も持ち合わせている
しかし いくらウンの切なる願いでも これだけは聞き入れられなかった
「北伐の計」は 皇帝が望んでいるものであり
沙彌尼ユ・ジソンは その体そのものが真の「北伐の計」なのだ
これはジソンの運命であり 救う手立ては何ひとつないのだと…
同じ時
ペク・ドンスは ジンジュと別れの挨拶をしていた
相変わらず そっけない言葉をぶつけながら ジンジュをそっと抱きしめる
恋心とは言い難いが ジンジュは ドンスにとって特別な存在なのだった
ドンスと別れた父娘は 山砦へ戻る途中 川原で地(カオク)に会う
出生の秘密を知り 初めて会う“母”である
黒紗蝋論(フクサチョロン)の砦では
天(チョン)が 腹心の部下に質問をぶつけている
いつものように受け答えをしながら 裏切りの心を見抜かれまいとする部下
その動揺を見抜きながらも 敢えて追及しない天(チョン)だった
フクサモの肉屋では
ドンス以外の者たちを集め グァンテクが 沙彌尼の生存を知らせている
そしてもうすぐ ウンが 沙彌尼を連れ清国へ旅立つという
沙彌尼を救うとすれば その船着き場で待ち伏せるしかないと…!
グァンテクは ドンスには言わないよう 固く口止めした
知れば当然のごとく 大暴れするに違いないと 一同も頷いた
しかし… 外で立ち聞きしているドンスの気配に気づく者はいなかった
ホン・デジュの屋敷では
長い滞在を終え ようやく帰国となる清国の使臣が 酒席に招かれていた
その席に 人(イン)テウンが現れ 「北伐の計」について話し始める
今回 「北伐の計」である沙彌尼を清国に連れて行くのは
ヨ・ウンという若造であり 旅立ちの船着き場には
天主も地主も 見送りにさえ来ないのだと…!
『使臣殿に沙彌尼を引き渡した瞬間 天主の部下が襲いかかり沙彌尼を奪う
使臣殿は 「北伐の計」を奪われるという大失態を犯し帰国することになる』
翌朝の船着き場
すべてが 人(イン)テウンの言葉通りになっていく
ヨ・ウンという若造が 自らを人主と称し 沙彌尼に同行するという
まさに予告通り 天主の姿も 地主の姿もなかった
使臣は 沙彌尼に対し『服を脱げ!』と命ずる
自分は皇帝への献上品であると 無礼は許さないという沙彌尼だが
それを“検品”するのが自分であると 使臣は一歩も譲らない!
ウンは 沙彌尼の服を斬り 背中をあらわにして入れ墨の絵を見せた
沙彌尼が辱めを受けなくても済むように 何とか切り抜けたが…
さらに 天(チョン)の腹心が沙彌尼を襲う!!!
その沙彌尼を救うかの如く 腹心に斬りかかる人(イン)テウン…!
(お前の役目はこれで終わった! ヒャーハッハッハ…!!!)
腹心は 人(イン)テウンの命令で動いただけなのだ
結局は不満の心に付け入られ 裏切りをそそのかされ 使い捨てられた
黒紗蝋論(フクサチョロン)の現状がどんなものであるか
使臣にしっかりと認識させ 皇帝に報告してもらう
そこで 天(チョン)に代わり 天主に昇り詰めるという
人(イン)テウンの壮大なる野望があったのだ
今にも船が出発するという時
息を切らして馬を馳せるペク・ドンスの姿があった…!!!
『行ってはなりません! きっと後悔するはずです!!!』
『来ないで… 来ないでください…! 私はもう死んだ身なのです
これは運命なのです 誰にも変えられない… 運命です』
『そんな運命! 無視すればいいんです! 俺が守ってみせます!!!』