どこまでも、労働者をいじめる政策に狂奔する安倍、自民党政権です。世界で企業が一番自由に活動する国とは何かがあきらかです。
それは、労働者の首を切ることが自由になることであり、正規労働を減らし、派遣労働、非正規労働をあらゆる分野に拡大することです。週四十時間労働の基準を取り外し、長時間労働を解禁し、残業時間に対する報酬を0にすることです。また、企業が支払うべき失業保険、社会保険料などの企業負担を0化することで、経費を極限まで低減化することを目指しています。このようなことを許せば、限りなく低所得者層の拡大、増加を招きます。しかも、そのことによる貧富の格差が固定化、拡大を招き、社会不安の要因を一層増すこととなります。
今必要なことは、社会保障制度を充実させて、低所得者層が安心して働き、生活を立て直すことができる安心感を保障することです。その上で、非正規労働の規制を通じて、正規労働を拡大し、低所得者を減らすことです。そのことにより消費の拡大、経済の活性化も可能となります。
<琉球新報社説>
労働者派遣法で上限3年と定める派遣受け入れ期間を廃止し、働く人を入れ替えれば企業は同一職場で派遣を無期限に継続できる-。厚生労働省の労働政策審議会の部会がこうした報告書をまとめた。
民主党から自民党への政権交代を受け、規制強化から緩和へと大転換を迫るものだ。成長戦略で「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指すという、安倍政権の意向をくみ取ったものとも言える。
この方向性には強い違和感を覚える。
総務省調査で2012年の日本の非正規労働者は推計2042万人に上り、正社員中心の日本型雇用が不安定化。雇用者全体に占める非正規の割合は38・2%と過去最高を更新、沖縄も全国一高い44・5%と、状況が深刻だからだ。
従来の規制の背景には、1990年代後半からの労働市場の急速な規制緩和で、企業が低賃金や解雇の容易性という利点から安易に非正規労働者を増やすことへの歯止めの意味があった。それなのに、雇用の不安定化につながる可能性が否めない法改正をなぜ行うのか。
報告書では専門26業務の区分も廃止。人材派遣会社が無期雇用している人などは、同じ職場で制限なく働き続けられるとした。
部会で労働側委員は、派遣をめぐり、同じ仕事をする正社員と同水準の賃金を支払う「均等待遇」の導入を訴えた。派遣労働者の賃金引き上げや派遣労働拡大の抑止効果を見込んでのことだ。だが支持が広がらず盛り込まれなかった。
報告書の労働者保護の取り組みは現行法に比べ進むとされるが、派遣企業頼みで十分機能するのか。政府は通常国会に改正案を提出し15年4月の実施を目指すが、丁寧な国会審議や国民論議を欠いたまま改正を強行してはならない。
雇用問題に詳しい神野直彦東大名誉教授はかつて「製造業で派遣従業員を創り出し、非正規従業員を大量に形成してしまえば、必ず訪れる好景気の終わりとともに、こうした非正規従業員の大量解雇という地獄絵を見ることは自明の理である」と指摘した。08年のリーマンショック後、国内で横行した非正規労働者の大量解雇「派遣切り」を今こそ教訓にすべきだ。
派遣労働規制の緩和は、雇用者所得全体の減少、消費と企業売り上げの低迷など悪循環を招きかねない。政権の目先の利益にとらわれ、この国の雇用を破壊してはならない。