福島第一原発事故を引き起こしたのは東京電力であり、その事故による補償するのは当然のことです。また、広範囲に放射能を撒き散らし、生活できない地域にしたのは誰でもなく、東京電力そのものです。その東京電力が勝手に、賠償基準を変更し、打ち切るなどはあってはならないことです。そもそも、地震災害、津波への対策を地元の住民から行うように求められていたのにも関わらず、無視して、メルトダウン、放射能汚染を発生させた責任は東京電力経営者がすべて取るのが道理です。
東京電力は、政府から税金を投入され、救済されています。国民の多くが原発に反対しているのにも関わらず、その税金を投入されて延命されている企業の言うことかと怒り心頭です。
被災者、被災自治体が故郷に帰還できる条件を全力で実現するのが東京電力の義務です。政府はその東京電力を指導する責任があります。本当は東京電力を破たん処理し、資産を売却し、すべて賠償、事故対策費用にあてるべきです。同時に、東京電力から巨額の貸付金利を徴収している大手金融機関にも応分の資金負担をさせるべきです。それらを行っても廃炉、除染費用をまかなえない場合は、税金の投入もありえます。当然にも、その場合は、発電、送電の分離、原子力発電の再稼動はありえません。
<東京電力の賠償打ち切り基準>
福島第1原発事故の被災者に対し、東京電力が立ち入り制限区域から転居した時点で賠償を打ち切る独自の基準を作成していることが、毎日新聞が入手した内部文書で分かった。国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が定めた指針では、転居後も賠償を継続し「立ち入り制限の解除から約1年後」まで支払うとしており、基準はこれに反する。東電は一般には公表していないこの基準を経済産業省資源エネルギー庁に提出。エネ庁は内容を容認しており、不当な賠償額の減額に「お墨付き」を与えている実態が明らかになった。
指針に反する基準の作成が発覚したのは初めて。毎日新聞の報道で、東電は少なくとも15人の社員に対し支払った賠償金を返還請求している実態が明らかになっているが、この基準を適用したためとみられる。
内部文書は2012年12月作成の「本賠償の終期の考え方」。A4判3枚で、事故前の居住形態を(1)持ち家(2)借家(3)実家に同居−−で3分類し、それぞれの精神的損害に対する賠償(1人当たり月10万円)の終了時期を示している。(1)の場合は国の指針通りだが、(2)と(3)は、転居した時点ですぐに賠償を打ち切る独自の基準になっている。
エネ庁原子力損害対応室によると、東電は13年1月、この文書を同室に持参し内容を説明した。同室は毎日新聞の取材に「(基準は)避難生活を余儀なくされた期間の考え方を整理したもので、内容に納得している」と話す。一方、原賠審の委員の一人は「文書の存在は知らないし、東電から説明も受けていない。賠償を避難指示の解除前に打ち切ることや、居住形態で被災者を区別することは指針に反する」と批判した。
東電はこれまで一般の被災者に関しては、社員に対するような賠償金の返還請求はしていない。しかし関係者によると、東電はエネ庁に対し「基準は社員だけを対象にしたものではない」と説明しているという。
原賠審を所管する文部科学省原子力損害賠償対策室は「一般の被災者も(社員同様)後になってから返還を求められると、大変な騒ぎになる」と懸念を示した。
東電広報部は基準について「公正かつ適切」と主張。そのうえで、「社員か否かで賠償の考え方を変えていない。事故前の居住実態や事故後の居住状況などを確認し、適切に対応している。(一般の被災者でも)事実関係に誤りがあれば精算(返還)をお願いする」と回答した。
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◇ことばの説明 原発事故の賠償と指針
専門家ら10人以内で構成される原子力損害賠償紛争審査会が、賠償範囲を定めた指針を策定する。福島第1原発事故では、7回にわたり指針が改定され、指針は避難に伴う損害を、精神的損害▽一時立ち入り費用▽避難費用▽営業損害−−など8項目に分類し「合理的かつ相当な」金額を支払うなどと定める。東京電力の清水正孝社長(当時)は2011年5月、国会の参考人質疑で「指針に基づいて公正・迅速に対処する」と述べている。