普天間基地をめぐる安倍、自民党政権の判断は日米関係、現在の日本における政治問題の重要な課題となっています。日本の政治、経済のありよう、基本構造に関する考え方に規定されています。
したがって、一部地域の政治経済問題ではありません。アメリカ政権、アメリカ軍の要求を無条件に受け入れるかどうかが問われています。なぜ、米軍の犯罪、暴挙に「ノー」と言えないのでしょうか。米軍基地の無条件返還を要求できないのか。外交交渉としてはその選択肢があるはずですが、なぜ、そのような要求、選択し検討を行わないのか。このことは問われているのだと思います。これが今の日米関係を正確に表しています。主権国家であれば、他国の軍隊が長期わたり地域の大半を占めて駐留することなどはありえません。常識では考えられません。
沖縄県知事が沖縄県民、名護市市民の民意を無視して、政治判断を下したことを認めることはありません。県知事は沖縄県民、名護市市民の意思を受けて、実現に奮闘することであり、沖縄県民の意思を踏みにじり、安倍、自民党政権に代わって、沖縄県民を抑圧することはその政治責任ではありません。出来ないのであれば、辞任するしかありません。
<琉球新報社説>
視界は一向に晴れない。県議会調査特別委員会(百条委)に仲井真弘多知事が証人喚問されたが、なぜ埋め立てを承認したか、証言に納得のいく人がいるだろうか。
環境悪化への懸念を払拭(ふっしょく)できないという環境生活部の意見をなぜ無視したのか。合理的な説明はない。知事は「申請が出た以上、最終的な形で終わらせないと」と述べた。行政手続きだから国から申請があれば承認するしかないという意味であろう。県庁は下請け機関なのか。
知事は、承認直前に東京で入院した際、病院を抜け出して官房長官らに会った事実を認めた。だが埋め立て承認に関する会話はなかったと主張する。県庁内の調整のメモもなく、首相との会談の記録もないという。行政としておよそ考えられない。説明を尽くすつもりがあるのだろうか。
百条委は知事を再度喚問すべきで、提案のあった菅義偉官房長官の証人喚問も必要であろう。承認過程を徹底解明してもらいたい。
知事は「法律にのっとって」と繰り返した。公有水面埋立法に照らせば国の申請は承認せざるを得ないという意味だ。だが同法によると「環境保全への十分な配慮」は必須要件だ。外来生物侵入の恐れが強く、ジュゴンやウミガメなど希少生物に影響を与える計画で、環境が専門の部局が懸念を拭えないと言っている以上、法律にのっとればむしろ不承認しかないのではないか。理解に苦しむ。
県は、申請書が環境について一定の配慮をすると書いたことを承認の理由に挙げる。これから配慮をするだろう、という推測を根拠にしているのだ。「環境保全の措置に先立つ承認」だ。転倒した理屈と言うほかない。推測が理由になるなら、審査する県の責任放棄でしかない。
県は行政手続き上避けられないかのように強調するが、経緯を知れば知るほど、知事の政治判断だと考えざるを得ない。それなら知事は堂々と政治判断だと説明すべきではないか。
環境への懸念があっても「言いっ放し」で済ませるのなら、県の環境部局など不要だ。政治判断で何でも決まるのなら、行政組織に意味があるだろうか。無責任県政ここに極まれり、と言うほかない。
環境への懸念をないがしろにした以上、知事は公有水面埋立法に抵触する疑いがある。百条委継続の理由は十分にあろう。