アメリカの主要マスコミの主張です。日本の政権翼賛新聞社、マスコミとは異なり、冷静にアベノミックスを評価すれば、このように見られていることは確かです。日本経済の問題は人口減少、労働者の賃金低下・購買力の低下、多国籍企業の租税回避、生産拠点の海外移転です。これらの分析をまともに行いもせずに、異次元の金融緩和と称して日銀による国債の買取、通貨の市中への垂れ流しを通じての円安誘導を行ったことが日本経済を改善することにならないことはあきらかです。円安で利益を上げたのは多国籍企業、大手輸出企業です。また、株価の上昇でもう得たのは大手金融機関、富裕層、海外の投資集団です。
国民は、円安により物価の上昇に苦しんでいます。ガソリン、灯油の価格は従来の1.5倍くらいの価格になり、生活資金の枯渇に苦しんでいます。その中で社会保障制度の改悪、解体に遭遇し、生活保護申請も拡大しています。このようなことを続ければ、国民は苦しみ、死に遭遇することは確実です。
<ウオールストリートジャーナル>
3日の東京市場で日経平均株価がまた2%下落した。わずか1カ月ほど前につけた高値から10%下落したことになる。その理由についてはさまざまな説明が聞かれる。例えば前週末の米国株下落、アジア地域での旧正月に伴う取引減少、不安定な為替相場、世界的に広がっているはっきりしない不安感などが挙げられる。安倍首相はすでに多くの課題を抱えているが、そこに株価下落が加わったことになる。
株式市場はこれまで、安倍首相の経済再生策、いわゆるアベノミクスを最も力強く支持してきた。2012年12月に安倍氏が首相に就任してから半年間で日経平均は60%近く上昇した。昨年5月にはいったん下落したが、再び上昇に転じた。
これはとりわけ海外の投資家が安倍首相の下で利益を伸ばす日本企業に注目している証拠だ。資産価格の上昇はアベノミクスに基づく戦略の一環で、安部首相や彼のチームは、株価上昇は実体経済をよみがえらせるために重要な前向きなセンチメントを後押しすると考えている。
しかし、投資家は安倍首相の政策を批判的にとらえ始めている。数週間後には今回の調整局面が昨年5月と同じ程度で終わるのか、あるいは永遠に風船がしぼんでしまうのかがはっきりするが、後者に備えるべきだと考える理由は十分にある。
企業利益が拡大したのは、アベノミクスで円が下落したため海外での売上高が円建てで膨らんだためにすぎず、輸出数量は減少している。また、企業利益の拡大はまだ賃金上昇につながっておらず、今後もそうはならない可能性がある。
しかもこのところ円は対ドルで反転しており、円安による利益押し上げ効果がいつまで続くのか疑問視する見方もある。4月の消費税率引き上げも企業利益に影響を与えるのではないかと懸念されている。
安倍首相の改革案はこうした懸念に満足に答えていない。いわゆる「第3の矢」はあまり期待されていない。というのも、労働市場の自由化など主な課題が見落とされているからだ。国内への投資を刺激して生産性を向上させるために、政府に守られている経済を開放して海外から財やサービスを受け入れる、という取り組みに焦点が当てられている。しかし、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を担うTPP対策委員会はもはや機能していないようだ。重要な交渉相手の米国で議会が大統領貿易促進権限(TPA)法案の承認を渋っているからだ。米国政府はTPAについて議会の承認を得られなければTPPをまとめることが難しい。
政府は株式市場の期待に沿って政策運営すべきではないが、安倍首相は株式市場からヒントを得ることができる。2013年が日本の経済見通しを引き上げた年だとすれば、今年はそれを実行に移すべき年だ。