20151119今日の一手
先月10日の名南将棋大会からMさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは先手玉のほうが少し堅いです。大きな差ではありません。
先手の攻め駒は45桂と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は65桂1枚。
総合すれば互角です。
問題図の前、
ここから先手は66金後手は65桂で問題図なのですが、66金は自分から囲いを崩す手で疑問手。55銀とぶつけようということなのですが、勇み足。28飛から24歩とか、34歩と置いておくか。
後手の65桂もなにか技をかけられそうで怖い手です。31玉とか待つべきか。55銀なんて怖いことはありません。
で、問題図ですが、77銀を逃げるか、65桂を取るか、放置するか、ということになるのですが、考えるべきことは
自玉が堅いかどうかです。少しでも堅い形で残るような変化を考えます。受けて勝ちという局面ではありませんから、攻め合いの変化の中で、自玉が堅いのはどれか、という基準で選びます。それが一番勝ちやすいのです。
△ 実戦は68銀でした。
自然なようで意外な手です。十字飛車が見えます。実戦は後手が避けたのですが
86歩同歩同飛
87歩66飛67銀上同飛成同銀57桂成
ここまでは進みますね。15角31玉71飛
銀を取り返せば少し先手がいいと読んだのです。
ですから、68銀に86歩同歩85歩同歩86歩と
継ぎ歩に垂れ歩です。ここで55銀が強気。
まあほかにパッとした手もないのですが。55同銀同金87銀が怖すぎます。
79玉78銀成同玉87歩成69玉47金
ここから35飛45角15角
5段目に駒が横一列なんて初めてみました。びっくりしました。
41玉45金66桂
ここで32飛成から王手はあるのですが詰みはなく、後手の勝ちになりました。
敗着は35飛で、ここでは飛車取りは放置して15角(これも横一列)でした。
41玉54金同歩53銀
これなら先手の勝ちか。先手玉は詰まないですし、飛車を取られてもまだ詰みにくいです。
× 初志貫徹で55銀は
77桂成同金45銀
これで76桂を狙われます。これは後手優勢。
× 33歩は
77桂成同金33桂
55銀なら45銀
前の変化と同じようなものです。つまり銀取りを放置してはだめなのです。
○ 桂馬を取るなら65同金です。
65同銀に63歩成
56銀は52と同玉から銀を取り返されるので、63同金ですが、72角
71飛63角成同角65銀
角と銀桂の2枚換え、先手玉が安定していますし、攻めるにも困りませんから先手優勢です。
途中、63歩成では63角でも
同じかもしれません。63同金同歩成56銀は34桂31玉53と
ですから、56銀とはできないでしょう。
× 65同銀は
同銀63歩成に66銀と金を取られます。
52と同玉64桂41玉66銀86歩
これは後手有利か。先手玉が薄くて受けが利きません。
△ 有力なのは15角です。
31玉に65金同銀33歩同桂65銀
65同角33桂成同銀35飛
これで十字飛車なのですが。
後手が86歩の時に同歩は87歩
取れば79銀、逃げれば88銀があるので困ります。
86歩には同銀76桂77玉47角成で
33角成同金同飛成41玉
ここまで進んでみると後手玉は詰まないので先手の負けか。
問題図で実戦の68銀は十字飛車が大丈夫だとよく読んだ手です。ですが継歩に垂れ歩で少し苦しいかと思えます。その先は難解な終盤だと思います。
77桂成と取らせる手(55銀とか33歩とか)が大変だというのは気が付くでしょう。先手玉が薄くなるのは避けたいです。
65桂を取るときは(全部清算するつもりでも)金から取るものです。銀を取り返すところで別の手が指せるかもしれません。63歩成から72角か、63角か。その局面で少し考えれば見えるでしょう。
65銀とつい小さい方(玉より遠い方)で取りたくはなるのですが、どこかで手抜かれてひどい目にあいます。
15角は清算して十字飛車がみえれば指したくなるのですが、うまくいきませんでした。残念ですが、先手玉が薄い、ということに気が付けば避けられたかもしれません。
強豪の将棋を見ていると、あるいは指していると、玉の堅さは同程度だったはずなのに、気が付けば相手玉が堅くなっていて自玉だけ攻められているということが多いです。裏を言えば、
自玉を少しでも堅くして攻めるというのが終盤の大事な心掛けです。極意と言えるでしょう。
*20171119間違いを直しました。