第1問
作戦負けにならないために注意します。
A 45歩 B 54銀 C 72金
第2問
これで後手が指せるようです。
A 33桂 B 36銀 C 26歩
第3問
実戦的な手で後手有利です。
A 86桂 B 13歩 C 16歩
第4問
これがうっかりではなくて深い読みがありました。
A 26歩 B 17角成 C 46銀
今日の棋譜20180731
昭和63年11月、桐山清澄先生と第47期A級順位戦です。
大山先生の四間飛車に桐山先生は天守閣美濃です。
66歩から高美濃に移行して、引き角棒銀をみせつつ
銀を引き寄せます。65歩の位取りを避けているわけですが、角筋が止まる時間が長いので不安があります。
無事四枚美濃に組めて、22飛も利かせれば作戦勝ちになりやすいと思うのですが
角で歩を交換するだけでは作戦勝ちにはなりません。
さらに3筋も交換して
端に引くのですが、桐山先生独特の感覚です。
4筋に飛をまわりますが、端を取り込まれたのでは面白くないでしょう。
桂を跳ねればまあまあ、これに大山先生は堂々と25歩を突いて
45飛~25飛を指させるというのは不思議なやり取りです。
飛車が狭いということだったのですね。飛車の詰めろ。
45桂に36銀で
大山先生の桂得です。桐山先生は端を攻めれば代償がすぐに得られるのですが
85歩を手抜くのはどうなのでしょう。85同歩同桂86銀84歩ならば互角だけど、1歩手に入れられて15歩を嫌ったということでしょうか。端を攻めれば
駒得になりますが、先手玉に手がつきました。
角が使いにくくなって
桂香を使って暴れようとするのですが
角を取っても飛車を取られます。
15角も不発で投了図。早いですが勝ちにくい形です。これでも122手、細かい攻防でした。
桐山先生の将棋はわかりにくいです。うまい指し方には思えないのですが、これで指せるという感覚があるのでしょう。84手目85歩を手抜いたところがどうだったか。駒得よりも玉の堅さのほうが美濃囲いVS左美濃では大事です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1988/11/04
手合割:平手
先手:桐山清澄9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 8六歩(87)
18 8二玉(72)
19 8七玉(78)
20 7二銀(71)
21 7八銀(79)
22 5二金(41)
23 6六歩(67)
24 6四歩(63)
25 6七金(58)
26 7四歩(73)
27 3六歩(37)
28 8四歩(83)
29 2五歩(26)
30 3三角(22)
31 1六歩(17)
32 1四歩(13)
33 5七銀(48)
34 6三金(52)
35 6八銀(57)
36 7三桂(81)
37 7七銀(68)
38 4五歩(44)
39 7九角(88)
40 2二飛(42)
41 2七飛(28)
42 8三銀(72)
43 4六歩(47)
44 同 歩(45)
45 同 角(79)
46 5四銀(43)
47 2四歩(25)
48 同 歩(23)
49 3五歩(36)
50 同 歩(34)
51 同 角(46)
52 3四歩打
53 1七角(35)
54 1五歩(14)
55 4七飛(27)
56 1六歩(15)
57 2八角(17)
58 4五歩打
59 5五歩(56)
60 4三銀(54)
61 3七桂(29)
62 7二金(61)
63 1四歩打
64 2五歩(24)
65 4五飛(47)
66 4四銀(43)
67 2五飛(45)
68 2四角(33)
69 1六香(19)
70 3五銀(44)
71 1七角(28)
72 2六歩打
73 4五桂(37)
74 3六銀(35)
75 2六飛(25)
76 4五銀(36)
77 4四歩打
78 4二歩打
79 1三歩成(14)
80 同 桂(21)
81 1四歩打
82 2五歩打
83 2九飛(26)
84 8五歩(84)
85 1三歩成(14)
86 同 香(11)
87 1四歩打
88 同 香(13)
89 同 香(16)
90 8六歩(85)
91 同 銀(77)
92 8五歩打
93 7七銀(86)
94 8六桂打
95 3三歩打
96 1六歩打
97 3二歩成(33)
98 2三飛(22)
99 2八角(17)
100 3五角(24)
101 3七角(28)
102 2六歩(25)
103 4七桂打
104 4四角(35)
105 4六香打
106 3六銀(45)
107 5九角(37)
108 2七歩成(26)
109 4四香(46)
110 2八と(27)
111 1五角(59)
112 2五飛(23)
113 投了
まで112手で後手の勝ち
20180731今日の一手
3月24日の名南将棋大会から、HさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩がありますから損得なしと見ます。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。後手玉は22銀が壁ですね。
先手の攻め駒は64飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。86飛は使えそうですが。
総合すれば先手もちです。
☆ 大局観として
後手は対振り飛車でも32金型ですね。このため先手玉のほうが金銀2枚の守りでも安定しています。怖いところだと思うのですが桂取りに歩を取り込んで駒得を目指されました。
先手としてはちょっと玉が堅いだけで桂損では割に合いません。駒損を回避したいですし、後手玉が不安定なので強く戦いたいところです。
△ 桂馬を逃げる65桂が一番自然でしょうか。
65同桂同飛88歩成64桂
54同歩に64角が王手飛車。53桂86角78と同銀
金桂と飛の交換ですから後手の駒得、王手飛車はそれほど効果がなかったみたいです。駒損でも飛角を使えば悪くはなさそうで形勢互角でしょう。
後手が王手飛車を避けて64歩だと
64同飛88歩成同銀77歩成というのが攻めの手筋ですが87歩
78と86歩88と46桂
控えの桂で銀を取ったとして、やはり金桂と飛の交換です。これも形勢互角くらいです。
また65桂に63歩
には73桂不成が利くわけですが(64歩61桂成は先手よし)、51金(72金もある)34飛
54桂は狙えるけれど、王手飛車は角合で返されて角桂と飛の交換では今一つ。後手に選択肢がある局面です。形勢互角でしょう。
○ 74歩で桂取りにして対抗する
というのはすぐに思い浮かぶところでしょう。これが実戦の手です。73歩成同銀61飛成、というのがありますから先手の桂取りのほうが厳しそうです。後手は55角と打って、34飛77歩成73歩成同銀
というのも妥当なところでしょう。ここで35飛44角75飛74歩77金82飛76飛88歩成
飛車を転回して77と を払ったのですが、飛車を追われて後手を引いているので、88歩成とされたところでは少し悪いです。この と金で77金を取られることになり、じり貧から一手負けに終わりました。
さて35飛では75角
85飛54桂41玉32飛成同玉53角成
という厳しい手順がありました。31金には42金、33銀には31金22玉42桂成、3枚の攻めですが後手の守りが手薄なので攻め切れそうです。
後手が82飛として守ったら
54飛44角34桂
52玉44飛同歩22桂成同金31角
という攻めがあります。きれいに決まりました。
ということは後手としては55角ではなく63歩
のほうが正しかったということになります。これには66飛(77歩成に86飛のねらい)75角56飛
飛車にひもを付けて77歩成86飛同角73歩成
73同銀に81飛が両取りなので先手のほうが指せそうです。
△ 95角とすると(75角でも同じ変化になるか)
81飛と逃げると65桂(65同桂は62角成)63歩73桂不成
という調子で、桂をさばくことができます。73同銀は63飛成で受けにくいです。64歩に81桂成よりは61桂成同飛72金
とするほうが角を使いやすくて先手有利です。
後手は飛車を逃げる余裕がなくて77歩成
86角63歩66飛78と74歩44角
という進行が自然でしょうか。73歩成66角62と同金54桂33玉62桂成79と、と一直線に進んだとして
駒の損得も無く、玉の堅さも同等に近いし、形勢互角です。ということは一つ前の図でも形勢互角なのでしょう。
○ 63歩を打つと
51銀に95角77歩成86角78と74歩
先ほどは63歩で飛車を追われていたのですが、今度は追われにくくて73歩成~62とが厳しくなっています。これは先手有利。
後手が飛車を逃げるなら83飛で
74歩77歩成73歩成85飛77角
これは先手だけ と金が残っていますから、やはり62歩成を見て有利です。
後手は63歩に銀を逃げていられず55角
でどうなるか。62歩成64角61と77歩成同金
飛桂と金銀の交換は互角として、と金が働きそうですから先手よしのはず。ただ62と~51角31玉52と33銀というのが案外に寄せにくそうで、急いで寄せ合いではだめなようですが。86飛や64角をいじめつつ、寄せを考えるのでしょう。
△ 他には66飛
が前にも出ましたが77歩成に86飛を見ています。(これを狙うならば74歩63歩66飛というほうが先手にとって得です。)
75角56飛77歩成
86飛同角81飛78と
61飛成51金91竜77角成
最後の77角成で79と を急ぐと63歩同銀82竜があります。これは形勢互角です。
× 34飛として
33銀なら36飛
とすると77歩成を防げます。
だけど単に77歩成同金85飛
というのは先手の桂損です。少し苦しいでしょう。
☆ まとめ
ゆっくりしていると桂損ですし、後手玉が薄いというか不安定な状態ですから、強く攻める手を考えたいです。
今すぐにできないものもありますが、攻めるとすれば
95角~73角成同銀61飛成
74歩~73歩成同銀61飛成
桂馬をもって64飛をどかして54桂同歩75角
また、ちょっと受けるという感じの66飛77歩成86飛
という筋を思いつきます。それを思い浮かべておいて、有力な手としては65桂、74歩、95角の比較です。
65桂は王手飛車の筋になったとしても金桂と飛の交換くらいです。形勢互角。
実戦の74歩55角34飛77歩成73歩成同銀でも王手飛車の筋を狙えます。王手飛車ではなく75角~54桂のほうが厳しかったですが。74歩に63歩ならば66飛で、単に66飛よりも調子が良いということになります。
95角の方は77歩成86角63歩がちょっと難しくて、先に63歩51銀を入れて95角ではないか、と工夫します。
強く踏み込めれば互角以上に指せるのではないかという局面でした。後手の壁銀(や32金型も)を、もっとしっかり囲ってから攻めるべきだったなあ、と公開させるような激しい順になれば半分成功しています。
20180729今日の一手
3月24日の名南将棋大会から、SさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の3歩得です。後手に持ち歩がないのでカウントします。(3歩得は1歩得と同じように見ますが。)
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は54銀57角で2枚。
後手の攻め駒は44角1枚。
総合すれば先手有利です。
☆ 大局観として
3つの要素すべてで先手が少しずつ上回っています。
後手としては55角か37歩成で歩切れを解消できるので、先手の駒得というのは消えそうです。
銀がぶつかっていますが、これは互いに取ってほしいというところでしょうか。63銀成同金は後手が少し得、54銀同桂は先手の得です。
36歩と突きだされたところですが、玉の小びんは怖いです。36同歩55角、あるいは放置して37歩成を同銀か同金で取るべきか。桂や玉でも取れるのです。悩ましいところで突きだされたといえるでしょう。
基本的には先手有利ですから自然な手を考えたいです。でもどれが自然かというのは難しく思える局面です。
相手の駒を取る手、自分の取らせないようにする手、自分の駒の働きを良くする手、相手の駒の働きを封じる手、という四種類が自然な手です。
○ 36同歩が一番素直な手で、実戦もこれでした。55角
をどう応じるかが難しいのですが、37銀54銀同桂同飛
おとなしく指したら桂損になりました。これでも先手玉が堅いので形勢互角くらいですが、終盤で先手Kさんの勇み足で後手Aさんの制するところとなりました。
考えにくいのですが55角には46角
が正しいようです。これは飛車の素抜き筋が関係しています。46同桂55飛38桂成同玉
64角打のラインを避けて、43銀成同金51飛狙いです。後手が受けにくい形なので先手有利です。(34桂で38銀をはがされたというのはばからしいように思えるところですが。)
○ 68角は飛車を使えるようにした自然な手です。
37歩成同金65歩同銀55飛
飛車をさばかれたら、55同飛同角56銀82角55歩
と抑えておいて35歩ねらいか、
自陣飛車を打って(56飛82角35歩)
1手早く桂を取りに行くか。後手の36歩を避けつつ味の良い駒得を狙えます。どちらも先手有利です。
あるいは65歩の時に銀を取って
66歩62成銀同角
と踏み込めば駒得にはなるのですが、66同歩67銀というのが嫌味で、ちょっと選びにくい順です。
○ 79角と引いておいて
先ほどの37歩成同金65歩63銀成66歩62成銀同角とすると、66歩
と取り返して67銀が怖くないという違いがあります。
嫌なのは37歩成同金に76歩
からの と金つくりで、35歩77歩成34歩同銀36桂
22角63銀成同金73歩成67と56飛
と金で66桂を取られても大丈夫なように進めていれば先手有利ではあります。
歩を成り捨てて謝っても
35歩をねらえるので悪いことはないです。
△ 63銀成は
後手の銀(守りにも攻めにも入れにくい駒)を先手の攻め駒と交換したのですから少し損なのです。自然な手ではありません。でも63同金に54桂は自然な攻めの手で(66桂が攻め駒になった)、37歩成同銀54金
金と交換してもらえて、54同歩56銀75角54飛
先手が少し駒得になったけれど、後手の62金63銀をさばかれたと見るべきか、後手玉の薄さが目立つと見るべきか。先手が指しやすいのですが、少しつまらないのかなあという気がします。
△ 45銀と引くと守りが堅くなったようで
角取りですし、良い手のように見えるのです。37歩成同桂55飛
37同桂と取るのは銀にひもを付けているからです。ずいぶん働いた感じがするのですが、56歩45飛同桂65歩
(後手から36桂があるので)37歩66歩33桂成同桂66角24桂39玉
これならば駒得が大きくて51飛もあるので先手有利。だけど後手の攻め駒も多いしなあ、という感じです。(この図に自信ありと感じられる方ならば正解です。)
あるいは56歩ではなく35歩として
56歩68角45飛同桂55角
37銀36歩56飛37歩成同金44銀55飛同歩34歩
踏み込んでみても先手有利なのですが、先手陣がバラバラなので怖いところではないでしょうか。
△ 78飛と使ってみると
飛車を攻めに使う自然な手ではあります。37歩成同銀56歩79角55角45銀
65歩56銀37角成同金56飛73歩成
二枚換えにされても反撃がありますから悪くはありません。
× 46歩はおとなしい手で
守りを重視しました。でも55角(46桂や角を狙う)63銀成同金47金
37歩成同桂56歩68角65歩
高美濃にはなったけれど、駒損になりそうなのでは後手よしか。
× 何か待っていると、例えば39玉(とか59飛とか)
37歩成同銀56歩79角55角45銀65歩
駒損を避けにくいです。
☆ まとめ
どれが自然に思えたでしょうか。形勢が良ければ自然な手が一番です。
36同歩は55角に46角以下を読めたのならば正解です。(考えにくいと思うのですが。)
55角を許さない68角か79角は、その先を考えやすいと思います。自分の飛車の働きを良くして、後手の角の働きを抑えています。(それでも使ってくるのでしょうが。)
63銀成は相手の駒をさばかせるので不自然な手です。
取るよりも銀を引きたいのですが、すると後手の飛車が働いてくる(45銀と刺し違えられる)というのが難点です。もともと54銀は攻め駒として使えていたので、今動かす必要はないからということなのです。
あとは78飛をどう見るかですが、急所を外れているような、後手の歩切れを突いているような、悪い手でもないけれど最善ではないような気がします。