名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(566);四間飛車に居飛車穴熊模様(加藤一二三)

2017-06-30 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番二上先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170630
昭和55年11月、加藤一二三先生と第37期棋聖戦です。


大山先生は四間飛車、加藤先生はまだ居飛車穴熊にこだわっているようです。

44銀~42角を先にしました。いつもの大山先生なら88飛ですが

角筋を生かして穴熊をけん制します。

加藤先生はそれでも穴熊にするのですが怖いです。12玉とか24歩なら穏やかでした。(12玉の将棋が出現するのはもう少しあとです。)

角筋を止めて

銀を追って少し安心ですが、大山先生は55歩をとがめるべく動きだします。

加藤先生は32銀とか穏やかに構えずに、8筋を攻めて

大山先生は反撃して

加藤先生も飛を使います。

角は狭い方に引きましたが

やっと美濃囲いに収まり

角を73に使えばまとまってきました。大山先生はまた8筋を攻めます。

角を交換して

打ち込んで

竜を作りました。駒損ですが先手玉のほうが堅いです。81桂は取れるかと思ったら75歩(94角狙い)に63竜から

ちょっとおとなしく指したので、加藤先生に馬を作られました。ここでは互角。

と金を作ってみると先手を持ちたいですね。加藤先生のほうが忙しいです。何か攻めないといけませんが、

手厚く金を打たれて

79角から金と刺し違えて打ち込む、単調な攻めでは少し悪そう。

飛をさばいたのですが、55金に

飛を切って端攻めでは

38玉であまり効果がないです。馬を追われて

攻防に角を打たれると困っています。

金を呼びこんで銀を打つのは勝負手で

馬銀と角金の振り替わりです。しかし先手玉が広くて捕まえにくいから、形勢は先手よしです。

加藤先生の闘志はまだ衰えず、二枚飛車を受けて頑張るのですが

大山先生に駒得を主張されると困っています。

大山先生は入玉で勝つよりは、(自玉を安全にしておいて)寄せてしまうほうを好みます。端を攻めて
と金を作れば受けが無くなります。

先手玉に詰めろはかからず

35桂を消されましたが、確実に迫ります。

63角から金を取って投了図。

7月の名将戦では44歩~43金の形の穴熊を強いられたので、それでは薄いと反省して、4枚穴熊に組もうという加藤先生の工夫でした。でもおかしな序盤だと思うと、大山先生はしっかりとがめるのです。序盤から優位に立ちました。
加藤先生も指し盛りですから、悪いなりにうまく指しているのですが、逆転はありませんでした。加藤先生の居飛穴はいつまで続くのでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:加藤一二三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5三銀(62)
15 6七銀(78)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 5八金(69)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 4四銀(53)
23 4六歩(47)
24 4二角(33)
25 6五歩(66)
26 3三銀(44)
27 5六銀(67)
28 5二飛(82)
29 4七金(58)
30 1二香(11)
31 4五銀(56)
32 5五歩(54)
33 5六歩(57)
34 4四歩(43)
35 3六銀(45)
36 5六歩(55)
37 5八飛(68)
38 8六歩(85)
39 同 歩(87)
40 8八歩打
41 同 角(77)
42 8六角(42)
43 6六角(88)
44 6四歩(63)
45 8八飛(58)
46 8五歩打
47 6四歩(65)
48 6二飛(52)
49 5六金(47)
50 6四飛(62)
51 6五歩打
52 7四飛(64)
53 8七歩打
54 5五歩打
55 5七金(56)
56 9五角(86)
57 6七金(57)
58 5四飛(74)
59 5八飛(88)
60 3二銀(31)
61 7七桂(89)
62 7四歩(73)
63 4七銀(36)
64 7三角(95)
65 8六歩(87)
66 同 歩(85)
67 8八飛(58)
68 7二金(61)
69 8六飛(88)
70 8三歩打
71 9六歩(97)
72 1四歩(13)
73 1六歩(17)
74 2四歩(23)
75 8四歩打
76 同 歩(83)
77 同 角(66)
78 同 角(73)
79 同 飛(86)
80 8三歩打
81 8六飛(84)
82 3五歩(34)
83 6一角打
84 8二金(72)
85 8三角成(61)
86 同 金(82)
87 同 飛成(86)
88 7五歩(74)
89 6三龍(83)
90 8四飛(54)
91 8五歩打
92 8二飛(84)
93 7四龍(63)
94 7八角打
95 6八金(67)
96 3四角成(78)
97 6四歩(65)
98 5六歩(55)
99 6三歩成(64)
100 7六歩(75)
101 同 龍(74)
102 4五歩(44)
103 同 歩(46)
104 4二飛(82)
105 4六金打
106 7九角打
107 6六龍(76)
108 6八角成(79)
109 同 龍(66)
110 5七金打
111 6五龍(68)
112 4七金(57)
113 同 金(46)
114 5七歩成(56)
115 同 金(47)
116 4五飛(42)
117 5五金打
118 4九飛成(45)
119 同 銀(38)
120 1五歩(14)
121 3八玉(28)
122 1六歩(15)
123 4五金(55)
124 2五馬(34)
125 1三歩打
126 同 香(12)
127 5六角打
128 4四歩打
129 3五金(45)
130 4五銀打
131 2五金(35)
132 同 歩(24)
133 4二歩打
134 同 金(41)
135 7一飛打
136 5六銀(45)
137 同 金(57)
138 6一歩打
139 5三と(63)
140 同 金(42)
141 6一龍(65)
142 2三角打
143 4五歩打
144 4一金打
145 8一飛成(71)
146 5一歩打
147 9一龍(81)
148 7六歩打
149 5二歩打
150 同 金(53)
151 3五桂打
152 3四角(23)
153 1四歩打
154 同 香(13)
155 1五歩打
156 同 香(14)
157 1四香打
158 7七歩成(76)
159 1一銀打
160 3一玉(22)
161 5三歩打
162 4二金(52)
163 7二龍(61)
164 2六歩(25)
165 同 歩(27)
166 1七歩成(16)
167 1三歩打
168 1六角(34)
169 4七玉(38)
170 2三桂打
171 同 桂成(35)
172 同 銀(32)
173 1二歩成(13)
174 5四桂打
175 6三角打
176 4九角成(16)
177 4一角成(63)
178 投了
まで177手で先手の勝ち


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20170630今日の一手(その532);自陣角の受け方

2017-06-30 | 今日の一手
20170630今日の一手

6月10日の名南将棋大会から、SさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
早石田の変化で

実際は先手の36歩(74歩)で、48銀と上がってしまったために、37歩成同銀88角成同銀37飛成

と強襲されてしまいました。37同桂36歩38歩64角で問題図


なんですが、36歩には同歩同飛45角54角

というのが鈴木大介先生の新手(実際は先後逆)で升田幸三賞をもらいました。2004年の話(先手のIさんは小学生なので生まれていなかったかも)です。だけど研究されて少し無理ということになり、指されなくなりました。
対局者2人は多分どちらも知らなかったのだと思いますが、36歩に48銀が妥協した感じで、かえって受けにくくなってしまいました。

36歩に同歩

というのが少し手が見えるようになると取りにくくなるかもしれません。でも88角成同銀55角には77角

で飛を取られてもよいのです。28角成同銀22銀に65角

で馬を作れば先手有利です。飛にひもがついていれば、この筋は怖くないです。

さてもう一度問題図です。

☆ 形勢判断をします。
銀飛交換で先手の駒得ですが、桂は逃げられないので、歩と交換するとして、銀桂と飛歩の交換と見たほうが良いでしょう。通常はこの2枚換えは先手の損なのですが、序盤は飛より角、といいますね。馬を作られないように駒組みできれば、次第に飛のほうが使いやすくはなります。終盤では2枚もったほうが良い場合も多くはなりますが、まだ序盤(というか長い中盤に戻りそう)ですし、長い目で見れば飛のほうが使いやすいかも。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒飛角2枚。
後手の攻め駒は64角と持ち駒銀で2枚。37の桂を取って3枚目です。

総合すれば互角です。

☆大局観として
先手としては悪手を指していないはず。48銀は最善を逃がしてはいますが、最低評価しても疑問手くらいです。
桂馬は取られますが、それ以上は駒損をしないこと。37に と金や馬を作られてはいけません。
そして後手の攻めを受け止めること。馬を作られるのを含めて、駒得にさせてはいけません。できれば持ち駒の飛角は温存しておいて、後で反撃を考えたいのですが、そこまではうまくいくかどうか。1枚は使わざるを得ないかもしれません。自陣角はまだしも、自陣飛車は序盤では使いたくはないのですが。


× 持ち駒を使わないとすれば、48玉は一応ありますが

37歩成同歩に36桂が王手飛車。38玉28桂成同玉

これは銀と歩の交換で駒損ですからだめな受け方です。


× 48金が常識的ですが

37歩成に同歩は36桂が両取りです。37同金と取って45桂

には48玉くらい。37桂成同歩の時点で飛歩と金銀の交換で得だとは言えなくなるのですが、39銀

と強襲されて、39同玉37角成48銀に49金

28飛、19香を取られることになり、駒損で攻められていますから後手有利。


×27飛は軽い受けですが

37歩成同歩35桂

ではまずいです。

37歩成を飛で取って、同角成同歩29飛39飛25飛成

というのも後手のほうが良いです。竜を作った分だけ駒得でしょう。


× 角を使う受けは86角

これは86同角同歩64角とされても得かどうかわからないです。37歩成64角28と同角

で銀桂と角の2枚換えですが、27飛から竜を作られたら駒損です。


○ 46から角を打てば

同角同歩なら受けやすくなります。55銀35角37歩成同歩44銀

として、46角55銀35角44銀の千日手、実際は先後逆ですから、後手番の千日手は歓迎、と思っていれば正解です。
間違って26に逃げると、34桂15角62玉

で14歩の角取りをうまく受けられませんから失敗です。


× 実戦は15角と打ちました。

王手で入るので気持ちはよいのですが、62玉24歩に14歩26角15銀

35角と逃げるわけにはいかないのです。34飛に37歩成と取ってもらえたので、37同角同角成同歩24銀

で少し落ち着きました。この図は銀桂と飛の2枚換え、少し先手が得ではありますが、34の飛を目標にされやすいのです。玉が安定していることもあって、じりじりと後手が良くなっていきました。

途中37歩成ではなくて26銀のほうが嫌な手で

角を取られ、26同飛37歩成同歩55角打

をうまく受けられません。

もう少し戻って、後の55角を避けて24歩ではなく77銀

のほうが良さそうですが、14歩26角15銀48金26銀同飛37歩成同歩

のほうが、角桂と飛歩の交換で損でもすっきりしていて、まだ良かったか。後手よしだとしても差は小さいです。

あるいは角が死なないように16歩

を考えるのが本手なのですが、14歩26角に35銀と捨てて同角37歩成

というのが気になります。37同歩同角成48飛36桂

は後手優勢。

26飛とかわして

47と45飛57と同角19角成

というのは香の田楽刺しを食らいそうです。


○ 実は77銀と待っておいて

37歩成に15角62玉37角

という受けが手順です。切り札の15角は37歩成の瞬間に打つ方が良いわけです。角交換ではつまらないので、55桂58金右36銀48玉

というのも受かっています。将来55桂を取れそうなので駒損にはなりません。


○ 飛を打って受けるなら34飛

37歩成同歩45桂と攻められたら、64飛同歩48玉

で受けます。


△ 35飛でも悪くはなく、

37歩成同歩45桂には15角62玉45飛

です。

結局は37歩成同歩に32銀くらいで

持久戦になるのですが、この時に34に飛があったほうが、64の角と交換できます。


△ 39飛でもよいですが

37歩成同歩33桂

から、45桂~65桂打で攻める筋があって、対応に悩まなければいけません。
この3つの飛打ちは34が良いのだと思います。



☆ まとめ
自陣角の筋は受けにくいのですが、狙われている駒をかわすことができれば一番良いです。でもここでは(18飛か29飛ですが)37を守れません。

37の地点に駒を足して受けるしかないのですが、
27飛は角と交換すると29飛の打ち込みがあります。
48玉も36桂の王手飛車が生じます。
48金もかなり味が悪く、結局は飛か角を使わないといけません。

であれば角には角、46角が常識的な受けで、正解です。

ちょっとひねると15角の王手で守るのですが、これは1手待っておいて、37歩成の時に打つのが良いです。
実戦はすぐに打ってしまったので、37歩成の前に角を殺されてしまいました。(飛を打って逃げられたのですが、本当は逃げ切れていない。)

飛を打つなら34、35、39の比較で、これは少し読まないとわからないです。角をとれる34飛が最善でしょう。
自陣飛車(34は自陣ではないですが)は少し打ちにくいと思いますが。


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大山将棋研究(565);三間飛車に二枚銀(二上達也)

2017-06-29 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番桐山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170629
昭和55年11月、二上達也先生と第30回NHK杯です。


大山先生の先手三間飛車に二上先生は右桂を使う急戦ですが

88飛~47金まで備えられると、55歩同歩65歩と攻めていくのは無理です。ここまでは知られていたはずですが、仕掛けられずに待機することになりました。

25歩を見て二上先生が動きました。

25桂と捨ててから取り返しに行く筋です。

大山先生は左金を繰り出して、玉頭を制圧します。

二上先生は34桂の両取りを避けて端角ですが

桂で殺されました。でも辛抱します。

玉を後手の右翼に逃げ出したのはよい判断です。

大山先生は少し手順を間違えました。35飛と歩を払うほうが先です。角を取った瞬間に36桂が入って

銀を追いかけていくのですが、捕まりません。

飛角をかわしましたが

縦に飛を移動すると48桂成があります。

8筋は破られました。

ゆっくりできないので と金を使って攻めます。

金を取っても手がなくて、ここに金を使うのではもったいないです。

その金を活用して

竜を圧迫していきます。ここで二上先生の33桂が好打。

桂を跳ね、香を打ち、攻め駒は4枚になりました。

竜を切って銀を打ち込めば寄り筋です。

投了図。

作戦負けでも玉を移動してみると景色が変わる、という好例です。二上先生の対振り飛車は作戦勝ちにならないことが多いのですが(大山戦を見ているせいでしょうか)、ちょっとしたところから急によくなることがあります。中盤後半から終盤の強さが特長です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 5四歩(53)
17 3八銀(39)
18 7四歩(73)
19 5八金(69)
20 6四歩(63)
21 5六歩(57)
22 4二銀(31)
23 4六歩(47)
24 7三桂(81)
25 8八飛(78)
26 5三銀(42)
27 4七金(58)
28 1四歩(13)
29 1六歩(17)
30 9四歩(93)
31 6七銀(68)
32 9五歩(94)
33 3六歩(37)
34 6三銀(62)
35 2六歩(27)
36 4二金(41)
37 3七桂(29)
38 8一飛(82)
39 2五歩(26)
40 3三桂(21)
41 2七銀(38)
42 2五桂(33)
43 同 桂(37)
44 2四歩(23)
45 3五歩(36)
46 2五歩(24)
47 3六金(47)
48 3五歩(34)
49 2五金(36)
50 1三角(22)
51 2四歩打
52 4四銀(53)
53 1四金(25)
54 2二歩打
55 2五桂打
56 1二歩打
57 3四歩打
58 4一玉(32)
59 1五金(14)
60 5一玉(41)
61 3八飛(88)
62 6二玉(51)
63 4五歩(46)
64 同 銀(44)
65 1三桂成(25)
66 3六桂打
67 1七玉(28)
68 1三歩(12)
69 2五金(15)
70 4六銀(45)
71 6八角(77)
72 4七銀(46)
73 3五角(68)
74 5三金(42)
75 8八飛(38)
76 8六歩(85)
77 同 歩(87)
78 7二玉(62)
79 3三歩成(34)
80 8七歩打
81 1八飛(88)
82 8六飛(81)
83 4五歩打
84 8八歩成(87)
85 3一角打
86 6一桂打
87 4二と(33)
88 8七飛成(86)
89 5二と(42)
90 同 銀(63)
91 7七金打
92 8五龍(87)
93 7五歩(76)
94 3四歩打
95 5七角(35)
96 9九と(88)
97 7四歩(75)
98 同 龍(85)
99 8六金(77)
100 8九と(99)
101 7六銀(67)
102 3三桂打
103 3四金(25)
104 4五桂(33)
105 6八角(57)
106 2五香打
107 3五金(34)
108 7六龍(74)
109 同 金(86)
110 2八銀打
111 同 飛(18)
112 同 桂成(36)
113 2五金(35)
114 2七成桂(28)
115 同 玉(17)
116 3七飛打
117 2六玉(27)
118 3六銀成(47)
119 投了
まで118手で後手の勝ち



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大山将棋研究(564); 三間飛車に位取り(桐山清澄)

2017-06-28 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番米長先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170628
昭和55年11月、桐山清澄先生と第13回連盟杯争奪戦です。


桐山先生が三間飛車で

大山先生は6筋の位取りです。

いつもなら平気で飛車先を切らせるのですが、今回は38飛。

桐山先生の34銀がおかしい手で、手順に銀を出られて

43銀と引いて2手損、大山先生は銀を出て、34歩には33歩で銀交換できます。それで指しやすかったのだろうと思いますが

最初のチャンスは見送る、で銀を引いたのですが、桐山先生の方から仕掛けました。

歩を突きだされて

大山先生の飛は2筋へ。

自陣角から46歩は強い反撃です。

でも金が浮いているので馬を作られて

馬のほうが大きそう。1筋の位を取るのも働いた手で

歩を垂らされても我慢して馬を引きます。

大山先生は激しくいくのですが、66角の位置が悪かった。

角を取られて駒損です。

大山先生は歩切れなのも痛くて、飛交換に応じるしかありません。

角歩3と金の交換で馬も作られています。右桂は使えたのですが、手を作りにくいです。

桂取りを心配しつつ攻めねばなりません。

べたべた打って

桂は取り合い

4枚で攻めているのですが、馬と竜の利きがあるので攻めにくいです。底歩も利いて

馬を取っても成銀を払われて攻め駒は3枚になりました。

手は続くのですが

先手玉にも手が付きました。

素直に寄せ合って、投了図。金を取れば詰みで、98玉に62歩くらい。後手玉に詰めろが続かないということで投了です。

互いに序盤がおかしいのではないかと思うのですが、馬を作ったところでは桐山先生が少し良いでしょう。行きがかり上大山先生は激しく動いたのですが、66角の位置が悪いとは。
後手をもって受け方を学んでおくところでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:桐山清澄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 7一玉(62)
15 5八金(49)
16 5二金(41)
17 2六歩(27)
18 4四歩(43)
19 6五歩(66)
20 4三銀(42)
21 6七金(58)
22 1四歩(13)
23 6八銀(79)
24 3六歩(35)
25 3八飛(28)
26 3七歩成(36)
27 同 銀(48)
28 3四銀(43)
29 4六銀(37)
30 4三銀(34)
31 3五銀(46)
32 3四歩打
33 4六銀(35)
34 8二玉(71)
35 2五歩(26)
36 4五歩(44)
37 5七銀(46)
38 8八角成(22)
39 同 玉(78)
40 3五歩(34)
41 7七角打
42 4四角打
43 同 角(77)
44 同 銀(43)
45 2四歩(25)
46 同 歩(23)
47 2八飛(38)
48 2二飛(32)
49 6六角打
50 4三金(52)
51 4六歩(47)
52 同 歩(45)
53 同 銀(57)
54 4七角打
55 7八金(69)
56 3六角成(47)
57 4五歩打
58 3三銀(44)
59 5七金(67)
60 4二飛(22)
61 3七桂(29)
62 1五歩(14)
63 3二歩打
64 4一飛(42)
65 4八飛(28)
66 1四馬(36)
67 4四歩(45)
68 同 銀(33)
69 3一歩成(32)
70 同 飛(41)
71 5五銀(46)
72 同 銀(44)
73 4三飛成(48)
74 6六銀(55)
75 同 金(57)
76 3二馬(14)
77 4六龍(43)
78 4一飛(31)
79 同 龍(46)
80 同 馬(32)
81 4五桂(37)
82 3一馬(41)
83 4三飛打
84 5二銀打
85 2三飛成(43)
86 4九飛打
87 3二銀打
88 4二馬(31)
89 4三金打
90 5一馬(42)
91 2一龍(23)
92 4五飛成(49)
93 4四桂打
94 4三銀(52)
95 同 銀成(32)
96 4一歩打
97 5二銀打
98 同 馬(51)
99 同 桂成(44)
100 4三龍(45)
101 6一成桂(52)
102 同 銀(72)
103 3二角打
104 4七龍(43)
105 4一龍(21)
106 同 龍(47)
107 同 角成(32)
108 7四桂打
109 6七金(66)
110 6六桂打
111 7九金(78)
112 4九飛打
113 3二飛打
114 7二銀打
115 6三馬(41)
116 7八金打
117 投了
まで116手で後手の勝ち

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20170628今日の一手(その531);中央を厚く構える

2017-06-28 | 今日の一手
20170628今日の一手

6月10日の名南将棋大会から、IさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と金の交換で、わずかに先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は36飛97角と持ち駒金で3枚。
後手の攻め駒は55角と持ち駒銀で2枚。52飛もすぐに働きそうです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手のわずかな駒得ですが、持久戦にしてよし、と言えるほどの差ではないです。もう少し戦果が欲しいです。
先手の鳥刺しで、直前に79の角を端に使って、後手に持ち駒の銀を打たせました。また、3筋の歩を切って33に歩を打たせていること、右桂を跳ねたことは先手の得です。
後手は56の垂れ歩が主張、中央からの攻めを狙っています。今すぐ57銀と打たれるのならまだ対応できますが、何かの拍子に中央から攻められて受けがない、ということも考えられます。中央を何とかしておきたいです。
なお、95歩同歩同香は、64角同角95香で2枚換えなので、怖くはないです。


× 56飛がうまそうですが、77角成

で飛角交換ではまずいです。


△ 57歩と合わせるのが第一感です。

57同歩成同銀に56歩

先手を持ったら、この歩をうっかりしそうで、56同銀には37角成同飛56飛

で、歩を入れたら駒損でもないですが、後手に飛をさばかれていますから、やや苦しいです。

56歩には同飛と取って

37角成52飛成同金22飛61銀打21飛成

でどうにか互角。後手玉は堅いですが、76桂から銀を取って53歩の筋で寄せを狙います。

後手は56歩と打つ以外にも95歩同歩96歩と角を追っておくのもありますし、何か待っていても互角です。


× 攻めるなら24歩同歩26飛

が軽い攻め方なのですが、57歩成同金37角成

で2枚換えで竜を作られたら悪いです。36飛は3筋から動かしにくいのです。

飛を動かせないなら22歩

として、22同飛なら54金

でまあまあ指せそうです。

22歩には13桂21歩成25桂

として、25同桂に19角成で後手が指しやすいでしょう。56歩が光っています。


× 実戦は53歩と叩いて

53同飛に気持ちよく45桂と跳ねましたが、54飛に46歩と手が戻ります。

ここで57銀同銀同歩成同金77角成

飛の横利きがあれば他の受け方もできたのですが、この順は避けにくいです。77同桂57飛成79角27竜39飛76銀

先手玉がかなり薄くなったので後手有利。ただし寄せを少し間違え、先手玉が上部脱出してかなり紛れましたが、どうにか勝ち切りました。


× 54歩のほうが難しくて

54同飛に57歩同歩成同銀

ならば、飛が浮いているので、56歩には同飛と取れます。後手は歩をもらったので端を攻めて角を追っておく

のもあるのですが、美濃囲いなのでリスクもあります。

後手はあえて56歩を打って同飛65銀打36飛56歩48銀

と抑え込んでしまうのが良さそうです。34歩68金上33桂

で遊んでいる駒が減っていきます。74歩~75歩~76歩とゆっくり攻めることができますね。


× 中央を守るなら79角と戻りますが、65銀

と使われるのがしゃくで、後手が指しやすいです。


○ ということで、じっと68金上が本筋。

65銀打ならば35飛

54銀36飛65銀左35飛・・・というのは千日手ですが、互いに動きにくいので仕方ないでしょう。

後手は千日手がつまらないと思えば、54飛と浮くくらい。

34飛とぶつけるねらいもあります。半面、57歩同歩成同銀56歩同飛

の時に、37角成とはできません。

互いに手が難しくて、全くの互角です。


× 後は持ち駒の金を打つ手ですが、35金は

45の歩を取ろうという狙いです。でも27銀26飛57歩成同金37角成

と強攻されて怖いです。竜を作られても銀を取れるので駒得にはなるのですが、かなり味が悪いです。
また、強攻せずに27銀26飛に38銀成というのも嫌な感じです。


× 66金は悪手で、66同角同歩57銀

でまるでだめです。


△ 43金も空振りになるとひどいのですが

51飛なら53歩でまあまあ。54飛とさせると飛にひもが切れるので、57歩同歩成同銀に56歩が利かず、34飛

とぶつけるのでしょう。ここでは飛交換はできず、35歩に27銀(これも34歩とできない)56飛35飛

これで後手よしにも見えるのですが、27銀よりは43金のほうが使えます。55飛同銀53角成37飛成52金

これは後手玉が危ないです。先手優勢か。26角と打つこともできますね。


☆ まとめ
後手が中央を狙っているので、中央を手厚くするのが本筋でしょう。

57歩と合わせて、56の歩を消去するのが第一感なのですが、57同歩成同銀56歩と打つ手があり、かなり難しいです。
とすれば68金上が本筋。一つ上がると中央が手厚くなります。ただし形勢は互角で、千日手かもしれません。

56飛や79角も中央に向かっていますが、悪手でした。
実戦の53歩や控えて打つ54歩も、後手に歩を渡すのが難点で、あまりうまくいきません。

24歩から攻めるのは歩しか渡さないのでリスクは小さいはず、でも36の飛を動かしにくい事情があり、反撃がきついです。

持ち駒の金を使うなら43金が一番のようなのですが、ここに金駒を打つのは(後続がないから)通常は疑問手です。後手が甘く見ていると実は難しい、という勝負手みたいな感じです。


もとは鳥刺しの将棋なので、厚みで指す戦型ではないのですが、歩を使う軽い攻めはうまくいきませんでした。中央から攻められているので、その弱点をカバーするのが最優先でした。

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大山将棋研究(563);四間飛車に玉頭位取り(米長邦雄)

2017-06-27 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170627
昭和55年11月、米長邦雄先生と第39期名人挑戦者リーグです。このカードの順位戦ですからかなりの楽しみ。


大山先生の四間飛車に米長先生は玉頭位取りです。これを見たかった。

大山先生は石田流への組み替えですが

これを米長先生は引き角で阻止。

57銀で45歩、角を戻して32金を誘い、ここから駒組みのやり直し。

大山先生は浮き飛車から34飛を狙いますが

米長先生は引き角に戻してけん制します。

大山先生の手損のほうが多いようで、少し立ち遅れています。玉頭の位にねらいをつけました。

75の位は保てず、米長先生は右から動きだします。

右桂を使えて、玉も堅いので米長先生の作戦勝ち。

玉頭の位は失ったものの、かなり良い形です。

72飛と回ったところなのに、7筋から動くというのは気が付きませんね。

銀をかわして75歩の狙い。

角が働きだし

左側を制圧します。対して大山先生はこちらに銀を使うのでは苦しいです。

桂馬は取ったものの、この厚みはとてつもないです。

角交換を避けるためだけに桂を使い

桂取りにもじっと成銀を引いて耐えておきます。

玉頭に圧力をかけられ

玉を逃げ出そうとするのはいつものことですが、米長先生は97玉から8筋に飛をまわって破ります。

この歩は取って飛成でも十分ですが

右に戻るのは入玉阻止して勝とうということですね。

2枚桂馬を取り、と金を阻止して

ここに歩を打てるのは大きいです。

あとは駒を取りつつ、ゆっくり迫ります。

大山先生も粘るのですが、後手玉が狭いですね。

これで飛交換は投げ場を求めたか。

投了図。

米長先生の会心譜です。序盤から積極的に揺さぶり、作戦勝ちから右左と好きなように指しました。玉頭の位をめぐる争いで優位に立てば、悪いところがありません。
先手をもってしっかり並べておきたいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄棋聖
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 5六歩(57)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 8二玉(72)
19 7五歩(76)
20 7二銀(71)
21 7七銀(68)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 7九角(88)
26 3四銀(43)
27 5七銀(48)
28 4五歩(44)
29 8八角(79)
30 3二金(41)
31 6六歩(67)
32 4四飛(42)
33 6七金(58)
34 4三銀(34)
35 7九角(88)
36 5四銀(43)
37 4六歩(47)
38 4二飛(44)
39 8八玉(78)
40 6四歩(63)
41 7八金(69)
42 6三銀(72)
43 2四歩(25)
44 同 歩(23)
45 3六歩(37)
46 同 歩(35)
47 2六飛(28)
48 7四歩(73)
49 3六飛(26)
50 7五歩(74)
51 3七桂(29)
52 7四銀(63)
53 5五歩(56)
54 6三銀(54)
55 4五桂(37)
56 4四角(33)
57 5六銀(57)
58 3五歩打
59 2六飛(36)
60 2三金(32)
61 5七角(79)
62 7二飛(42)
63 7六歩打
64 同 歩(75)
65 8六銀(77)
66 3四金(23)
67 2七飛(26)
68 2五歩(24)
69 7五歩打
70 同 銀(74)
71 同 銀(86)
72 同 飛(72)
73 6五歩(66)
74 7一飛(75)
75 7五銀打
76 6五歩(64)
77 同 銀(56)
78 3六銀打
79 2九飛(27)
80 4七銀成(36)
81 6六角(57)
82 4六成銀(47)
83 5三桂成(45)
84 同 角(44)
85 6四歩打
86 5二銀(63)
87 7四歩打
88 4四角(53)
89 5四歩(55)
90 6二歩打
91 7六金(67)
92 5五桂打
93 5三歩成(54)
94 同 銀(52)
95 5六歩打
96 4五成銀(46)
97 7七桂(89)
98 7二歩打
99 8六歩(87)
100 5二金(61)
101 8五歩(86)
102 4一飛(71)
103 9七玉(88)
104 7一玉(82)
105 8九飛(29)
106 6一玉(71)
107 8四歩(85)
108 5一玉(61)
109 8三歩成(84)
110 4二玉(51)
111 7二と(83)
112 8八歩打
113 4九飛(89)
114 4八歩打
115 同 飛(49)
116 4七歩打
117 4九飛(48)
118 3三玉(42)
119 4六歩打
120 同 成銀(45)
121 5五歩(56)
122 2四玉(33)
123 7三歩成(74)
124 同 桂(81)
125 同 と(72)
126 3六歩(35)
127 3八歩打
128 2六角(44)
129 5四歩(55)
130 4四銀(53)
131 2七歩打
132 4八角成(26)
133 同 角(66)
134 同 歩成(47)
135 同 飛(49)
136 4七歩打
137 4九飛(48)
138 5七歩打
139 6三歩成(64)
140 同 歩(62)
141 同 と(73)
142 4二金(52)
143 5三歩成(54)
144 3三金(42)
145 5二と(53)
146 4三飛(41)
147 5三と(63)
148 同 銀(44)
149 同 と(52)
150 同 飛(43)
151 6四角打
152 3五角打
153 6九飛(49)
154 5八歩成(57)
155 6六飛(69)
156 5七飛成(53)
157 6七金(78)
158 6六龍(57)
159 同 金(67)
160 6九飛打
161 2二飛打
162 2三金(33)
163 1五銀打
164 投了
まで163手で先手の勝ち



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大山将棋研究(562);四間飛車に中央位取り(森安秀光)

2017-06-26 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170626
昭和55年11月、森安秀光先生と第14回早指し選手権です。


どちらが振るのもあるのですが、森安先生の振り飛車も見てみたいです。四間飛車に大山先生が中央位取りです。

4筋の歩を交換するほうの指し方を選びました。

森安先生は安易に歩の交換を許さなかったのですが、圧力をかけられて結局は取ることになりました。

大山先生は玉頭方面からは動きにくく、右桂を使う指し方です。すぐに仕掛けようということではなくて、まだじっくりした展開を考えていたはず。

森安先生から動きました。端で1歩手に入れる含みで桂頭を攻めます。

大山先生も反撃して

駒がぶつかっていて右桂を跳ねる展開はまずまず。森安先生はすぐに77桂ではなくて

少し待ってぶつけました。

大山先生は2枚換えにすることもできますが、44桂が入るので飛は渡したくないか。

一度引いてから85の歩を取ります。

森安先生は飛を成らせてからぶつけ

ここは当然角を守って87竜か86竜とするところですよね。

それを角銀を捨てて、香を取るだけでは駒損がひどいです。秒読みでなにか錯覚したのでしょうか。まあ
と金を作れば勝負にはなるのですが

金を剥がされても香を打つのは、後で効いてきます。

桂を打つのでは戦力不足ですが、81飛61と44桂で3枚の攻め駒は使えます。案外に難しそう。

大山先生はあまり早い寄せがないので、受けに回りました。

飛取りで受けるのですが、これは危険です。62金と投入するほうが手堅かったでしょう。

44歩に同角しかないのかな。これで48の香が働いて

竜を切って31銀打が入り、あとは清算して

これなら逆転した感じです。(85角で両取り、38銀成を強制できるのでそれだけ持てば・・・と思うのですが、68飛が詰めろなのでだめなんですね。)74から角を打って

同竜同歩に68飛。これで先手玉が詰めろです。とすれば先に詰めろですから後手有利。

1回金銀を交換してから46飛は攻防のようでも(清算して46桂の筋を防いだ)

持ち駒が豊富なので、1,2筋から駒を捨てて18玉の形を作らせれば38飛成で詰みます。

投了図。

早指しだと何か起こるものですね。森安先生らしからぬ角銀を取られる順(竜を引いて粘りそうな棋風)はびっくりです。食いついて逆転したように見えましたが、どうやら逆転はしていなかったみたいです。もっと長い持ち時間での、この二人の将棋を見てみたいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森安秀光8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5二金(61)
17 3八銀(39)
18 5三銀(62)
19 6七銀(78)
20 5五歩(54)
21 5八金(69)
22 4二銀(31)
23 4六歩(47)
24 5四銀(53)
25 4七金(58)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 4四歩(43)
29 3六歩(37)
30 4五歩(44)
31 4八飛(68)
32 4三金(52)
33 2六歩(27)
34 5三銀(42)
35 4五歩(46)
36 同 銀(54)
37 4六歩打
38 5四銀(45)
39 2七銀(38)
40 4二金(41)
41 3八金(49)
42 7四歩(73)
43 3七桂(29)
44 6四歩(63)
45 9六歩(97)
46 9四歩(93)
47 9八香(99)
48 7三桂(81)
49 9五歩(96)
50 同 歩(94)
51 7五歩(76)
52 8四飛(82)
53 7六銀(67)
54 6五歩(64)
55 同 歩(66)
56 同 桂(73)
57 6六角(77)
58 6四銀(53)
59 4五歩(46)
60 8六歩(85)
61 7四歩(75)
62 同 飛(84)
63 7五歩打
64 8四飛(74)
65 7七桂(89)
66 同 桂成(65)
67 同 角(66)
68 8七歩成(86)
69 8五歩打
70 8一飛(84)
71 8七銀(76)
72 8五飛(81)
73 7六銀(87)
74 8九飛成(85)
75 4四桂打
76 3一玉(32)
77 8八飛(48)
78 7九龍(89)
79 8一飛成(88)
80 4一歩打
81 9五香(98)
82 7七龍(79)
83 9一香成(95)
84 7六龍(77)
85 6二歩打
86 4六桂打
87 同 金(47)
88 同 龍(76)
89 4八香打
90 6六龍(46)
91 6一歩成(62)
92 6九龍(66)
93 3九桂打
94 5三銀(64)
95 5一と(61)
96 6一歩打
97 5二桂成(44)
98 4九銀打
99 8二龍(81)
100 7二歩打
101 同 龍(82)
102 6三銀(54)
103 4四歩(45)
104 同 角(22)
105 4一と(51)
106 2二玉(31)
107 6三龍(72)
108 同 龍(69)
109 3一銀打
110 3二玉(22)
111 4二と(41)
112 同 金(43)
113 同 成桂(52)
114 同 銀(53)
115 同 銀成(31)
116 同 玉(32)
117 4四香(48)
118 4三歩打
119 7四角打
120 同 龍(63)
121 同 歩(75)
122 6八飛打
123 4八金打
124 3八銀成(49)
125 同 金(48)
126 4九銀打
127 4六飛打
128 3八銀成(49)
129 同 銀(27)
130 2九金打
131 同 玉(28)
132 1七桂打
133 2八玉(29)
134 2九金打
135 1七玉(28)
136 2八角打
137 2七玉(17)
138 1七金打
139 投了
まで138手で後手の勝ち
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20170626今日の一手(その530);疑問手を重ねない

2017-06-26 | 今日の一手
20170626今日の一手

6月10日の名南将棋大会から、TさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

後手の右四間飛車で、73桂を待って桂頭を攻めました。(77角としていないのに桂を跳ねたのがまずかったようです。後手はもっと早く65歩の仕掛けができなかったか。)
75同歩78飛65歩75飛72歩74歩

一度85桂と逃げるほうが良かったのだと思うのですが、66歩73歩成同歩同飛成67歩成22角成同銀

というのは振り飛車が良いでしょう。64歩、64桂などありそうですが、71竜61歩74桂66飛で問題図。

☆ 形勢判断をします。
歩と桂馬の交換で、竜と と金を作りあっています。持ち歩があるので歩を数えなければ、実質は89桂74桂+竜 VS 67と の対抗です。67とが金銀1枚と交換になれば後手の駒得、現状は先手が駒得です。駒得と言っても74桂89桂ですから働きが悪いです。ですから細かいことを考えれば先手がわずかに駒得ですが、主張はできないです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。ただし61歩の存在で、後手玉も横からの攻めには強くなっています。
先手の攻め駒は71竜74桂と持ち駒角で3枚。61歩を相手にしているので、71竜と74桂の働きが悪いです。1枚と数えるべきか。
後手の攻め駒は67と 持ち駒角で2枚。66飛も働きそうです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
形勢判断を細かく見ると、74桂というのがうまくなかった、というのがわかります。持ち駒の桂をここに使いたくはなかったです。ひとつ前の図で、どうせ戦力不足ですから、73角~91角成と香を拾っておくほうが良かったでしょう。
疑問手を一つ指してしまった、という問題図です。疑問手を重ねないというのが大事です。
後手からの攻めとしては、58と同金69飛成で金銀両取り。これをどう受けるか、あるいは寄せ合いで勝てるか、という判断をします。


× 実戦は62歩で

74桂66飛62歩まで3手一組で考えていたのでしょう。継続手です。けれど、58と39金69飛成

と金が好位置に移動し、竜を作られました。銀取りでもあるので88角と受けたのですが、75角
で金取りを受けられず、ここで投了になりました。


○ 受けるなら68歩が普通の手

と言っても1手パスのようですが、68同と に77角

から と金を取ってしまおうというわけです。

後手は68同と とは取りにくく、76飛で銀取り。これに88角

と受けておきます。68とには61竜

で22角成を狙い、51金寄に68竜74飛

は駒の損得が消えて、互角です。玉の堅さでは優っているので悪くはないはず。ゆっくり左の駒を使っていきます。

戻って78と ならば

22角成同玉67銀75飛78銀引

で二枚換えの図です。(88角には同銀78飛成62桂成か、76歩同飛77銀か。)


○ 82桂成はそっぽのようですが

79銀にひもを付けています。これなら58とは怖くないです。78歩に同銀同と同竜

で案外にすっきりしていて、歩成桂と銀の交換です。後手は歩切れなのでやや攻めにくく、67角くらいから攻めるのですが、そんなに怖くはないです。

あるいは78歩に88銀と逃げて

58と同金69飛成48金寄89竜77銀99竜

でもほぼ互角です。


△ 91竜と香を取っておくのもあり

58と に68香がぎりぎりの受けです。やはり68同と には77角で受けようという意味。(香を取られるのですが。)後手は76飛77歩

を入れるかどうかの選択はありますが、49と76歩の取り合いから、39角37玉48金

と寄せに行きたくなります。(39角37玉を入れないで48金もある。)
受けにくそうなのですが、49銀同金58飛

で一応は受かっています。形勢は互角、とはいえ選びにくい変化です。(76飛77歩を入れなければ66香の形なので、66角成で後手有利か。)


○ 88角は攻防で

77歩には68歩

として、68同と77角というのは何度も出てきますが先手よし。78と は同銀と取れます。

88角には65飛でしょう。

これは角を先手で打てた、ということになりますから、62歩58と39金69飛成61歩成78歩62桂成

で寄せ合いです。これは先手玉の堅さが生きそうです。(途中で実戦のように後手が75角と打つのは、61歩成の後なので66歩で受けられます。)

また、58と を同金と取ることもできます。

69飛成68金39角37玉

美濃囲いは崩れても、懐が広いので玉をかわして受けが利きます。これは先手よし。


○ 48角とこちらから角を打って受けるのもあり

76飛には77歩同と61竜

74飛には75歩~77桂です。

あるいは48角に65飛かもしれません。この時には82桂成

で79銀にひもを付けておきます。33角66歩同と91成桂

というくらいで互角。


☆ まとめ
問題図の少し前から、74桂66飛62歩というのが3手一組の悪手、あるいは、先手の連続疑問手でいっぺんに負けにしたのですが、74桂64飛のところで区切って問題図にしたら、2つ目の疑問手を回避できたか、という問題でした。(後手としたら65に飛を逃げておいたほうが変化が少なかったです。68歩など利かないので82桂成しかなかったわけです。)

実戦なら悔しくて指せないでしょうが、82桂成と軌道修正したら案外に大変で、まだ互角を保てたのだろうと思います。74桂がひどい、というのを緩和しています。

振り飛車の受けによく出てくるのですが、玉の堅さで優る時には、両取りの位置に誘っておいて、両取りに角や銀を打って取り返す、という受けの手筋があります。それが68歩です。ひねると91竜~68香というのもあります。

あるいは88角や48角を打って、飛を逃げるしかないなら(多分そうなりそう、というのは読むしかないですが)打った分だけ受けやすくなります。「攻めとは駒を剥がすものなり」と言われますが、裏を書けば、「受けとは駒を埋めるものなり」で、持ち駒は盤面、特に自玉のまわりに打っておくのが手堅いです。
48角は受けに利きますし、将来は84角から攻めに使うとか、84角~93角成から馬を引いて受けに使うとか。
88角は攻防になるので(22角成の攻め筋)、先手で入れば寄せ合いを考えることもできます。
これらは先手有利まで持って行ける可能性があります。

どれも振り飛車の粘りを考える問題でした。
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大山将棋研究(561);四間飛車に腰掛銀(芹沢博文)

2017-06-25 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170625
昭和55年11月、芹沢博文先生と第6期棋王戦です。


芹沢先生は46歩から右4間飛車か?理論派には珍しい指し方かも。

大山先生は四間飛車にして35歩で右桂を使わせないようにけん制します。

芹沢先生は2筋を伸ばし、3筋の歩を交換して37桂~45歩と攻めるほうを選びました。最初からこちらを考えていたのかもしれません。対して大山先生は早囲いから32金で仕掛けを封じる指し方です。

38飛は3筋交換の継続手ですが、手としては36歩の突き捨てが先です。45歩をみせられて

48飛を強いられては計画がとん挫しました。左銀を繰り出しましたが

目標の銀を引かれて攻められず、遅ればせながらの36歩同歩38飛です。

銀を転回して3筋を狙いますが、左銀を追われてしまいます。

かなり先手玉が薄く、この状態で3筋を攻めようというのは反動が大きそうです。

軽く角交換を狙われ

55角を食らい

桂香を先に取られて

馬を使われる。良いところがありません。

44香は見せ場を作ったのですが、桂を打たれて投了です。玉が薄すぎて戦えません。

芹沢先生は理論派で、序盤から指しやすくしてそのまま勝ち切る、というのを理想にしていたはず。大山先生のような実戦派には相性が悪いんですよね。少しうまくいかなくなると、本筋を追っても勝てないです。最初の38飛をなぜ指したのかが不思議ですし、その後は右銀で攻撃する前に中央を厚くしておかないといけません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
開始日時:2017/06/08 08:15:54
手合割:平手  
先手:芹沢博文8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 4六歩(47)
8 4三銀(32)
9 4七銀(48)
10 4二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 3三角(22)
17 5六銀(47)
18 3五歩(34)
19 2五歩(26)
20 6二銀(71)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 1六歩(17)
24 3二金(41)
25 3八飛(28)
26 5四銀(43)
27 4八飛(38)
28 6四歩(63)
29 6八銀(79)
30 7四歩(73)
31 7七銀(68)
32 4三金(32)
33 6六銀(77)
34 6三銀(54)
35 3六歩(37)
36 同 歩(35)
37 3八飛(48)
38 8二玉(72)
39 4七銀(56)
40 7三桂(81)
41 3六銀(47)
42 6五歩(64)
43 7七銀(66)
44 7二金(61)
45 8六銀(77)
46 8四歩(83)
47 3五銀(36)
48 4五歩(44)
49 3三角成(88)
50 同 金(43)
51 3四歩打
52 3二金(33)
53 4五歩(46)
54 5五角打
55 7七角打
56 1九角成(55)
57 1一角成(77)
58 2九馬(19)
59 3六飛(38)
60 1八馬(29)
61 4六飛(36)
62 4五馬(18)
63 4四香打
64 6六桂打
65 投了
まで64手で後手の勝ち




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第174回名南将棋大会(壱)速報

2017-06-24 | 名将会
今日は第174回名南将棋大会(壱)を行いました。結果速報です。

A級優勝
青木一さん

坪井康宏さん


B級優勝
伊藤巧さん


C級優勝
宮堂孔暉さん


D級優勝
浦野航さん






優勝おめでとうございます。
参加いただいた皆様ありがとうございました。



過去12か月分の優勝者のまとめです。
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