名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(689);中飛車に位取り(加瀬純一)

2017-10-31 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20171031
昭和57年11月、加瀬純一先生と第23期王位戦です。


相振り模様で中飛車は珍しいですが、大山先生は相振りをやらないので困らないのでしょう。

大山先生は居飛車で、加瀬先生はツノ銀中飛車か風車か、62銀と早囲いです。

大山先生は65の位を取りました。今は角交換振り飛車が流行るので突きにくいかもしれませんが、当時は振り飛車が角交換を避けるのが常識でした。加瀬先生は22角成同飛ならば構わないというのですが

大山先生の方から避けました。

35歩に46歩というのは石田流に47金ということなのでしょう。

加瀬先生は金を繰り出して

四間飛車にするのですが、大山先生は4筋を受けません。実際に受けにくいのですけど。

45歩同歩同金には銀を引いて

47に歩を謝ります。

65の歩を取られてはいけないと思うところなんですが、大山先生は歩損を気にしない時が多いです。

取らせて銀を繰り出して攻めました。

と思えば歩を打って角交換を避け

加瀬先生は翻弄されている感じです。25歩は損な手なので25銀と使うほうがましだったか。

桂を取られて飛の空成りでは悪いです。

桂と底歩の打ちあいになれば大きな差ではないですが

大山先生は大好きな馬を作りました。

歩切れにはなりますが桂交換をして、86桂が急所になり

加瀬先生の85銀が悪手なのですが、桂を跳ねられて投了図。

大山先生の不思議な指し方が見られました。歩の価値を低く見ているんですよね。馬の価値が高く、敵陣1段目の飛を嫌い、3、4段目を好みます。
加瀬先生はプロになってからさっぱりでしたが、引退しても普及活動にいそしまれているようで、ブログがあります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:加瀬純一4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 5四歩(53)
5 5六歩(57)
6 5二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5七銀(48)
10 6二玉(51)
11 6八玉(59)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 6二銀(71)
15 6五歩(66)
16 5三銀(42)
17 6六銀(57)
18 3五歩(34)
19 4六歩(47)
20 4四歩(43)
21 7八玉(68)
22 3二金(41)
23 2六歩(27)
24 4三金(32)
25 6八銀(79)
26 3四金(43)
27 6七銀(68)
28 4二飛(52)
29 9六歩(97)
30 3三角(22)
31 2五歩(26)
32 8二玉(72)
33 9五歩(96)
34 7二金(61)
35 7七角(88)
36 4五歩(44)
37 同 歩(46)
38 同 金(34)
39 5七銀(66)
40 5五歩(54)
41 同 歩(56)
42 同 金(45)
43 5六歩打
44 5四金(55)
45 4七歩打
46 4四銀(53)
47 2六飛(28)
48 6五金(54)
49 6八金(69)
50 6四金(65)
51 3六歩(37)
52 7四歩(73)
53 2四歩(25)
54 同 歩(23)
55 4六銀(57)
56 7三桂(81)
57 3五歩(36)
58 4五銀(44)
59 6六歩打
60 4六銀(45)
61 同 歩(47)
62 2五歩(24)
63 同 飛(26)
64 4六飛(42)
65 2一飛成(25)
66 4九飛成(46)
67 6九桂打
68 5一歩打
69 3二龍(21)
70 2四角(33)
71 6五歩(66)
72 同 金(64)
73 1一角成(77)
74 2九龍(49)
75 7七桂(89)
76 3一歩打
77 3四龍(32)
78 6四金(65)
79 6五歩打
80 同 桂(73)
81 同 桂(77)
82 同 金(64)
83 8六桂打
84 8五銀打
85 7七桂(69)
86 投了
まで85手で先手の勝ち
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大山将棋研究(688);三間飛車に65歩急戦(中原誠)

2017-10-30 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜20171030
この将棋、大山将棋研究(20)で並べていました。どこかで見たことがあるなあとと思いつつ、2年前では忘れていますね。大山全集は自戦記がいくつかあり、最後に棋譜だけのページ、重複があるのです。書いてしまったのでそのままにしておきます。


昭和57年10月、中原誠先生と第3回日本シリーズ決勝です。

大山先生の先手三間飛車に中原先生は急戦です。成立は難しいのですが

大山先生は研究を避けて古い形にしました。

中原先生は44歩と止めてから65歩のチャンスを得て、局面がほぐれだします。

48銀に歩を取り込んで66同角。

少し陣形整備の後、27銀を見て動き出します。

タイミングよく角筋を通せたので中原先生ペースですが

46歩は取り込んでおくべきだったかと思うのです。大山先生はここに位を得たのは大きく

桂馬を打ち込んで逆にペースをつかみました。

中原先生は玉をかわしてから桂馬を跳ね、45桂から

桂馬を取り返すのですが、うまく角筋が通りません。

と金を作ったところは大山先生が有利です。

と金を生かす桂打ちがあり

成桂も作れました。

中原先生の反撃は角筋を通し

55角から46歩。これを28角と返せるのが大きくて

47歩成とできないのです。

桂を成り捨てて(取れないのですが)56銀から

飛角の取り合いです。

58飛から金を取ったところでは中原先生が良さそうにも見えますが、と金を寄るのが大きな手で、やはり大山先生有利のようです。(75角の王手飛車よりも筋が良いです。)

中原先生は15香から端を攻めて16歩と合わせます。これは詰めろか?というのがパッとわからなかったのですが、ソフトにかけると詰んでいました。ここで大山先生が43と、金を取ったのが敗着になるはずでしたが(何か受けなければならかった、18香で千日手か、ならば17歩ではなく18歩と受けるべきだったか)

中原先生は と金を取ってしまったので、13角で金打を強要して、大山先生は難を逃れました。

金が無いと先手玉は詰まないです。後手玉は詰めろ(なんですがちょっとややこしいです)。

32香を取るほうは少しやさしくて角を取れば詰みです。21玉には12金打32玉22金寄同角43銀成という順。

中盤は難しくて、44桂が入ったところからは大山先生が良さそうです。でもその差のまま終盤に入り、大山先生の受け間違えか、詰み筋があったのですが、30秒将棋では難しいですね。それ以外は早指しにも関わらず、見ごたえのある将棋でした。どちらから並べてもよいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:中原誠前名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八銀(39)
14 5二金(61)
15 3九玉(48)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5四歩(53)
19 5六歩(57)
20 7四歩(73)
21 2八玉(39)
22 4二銀(31)
23 5八金(69)
24 5三銀(42)
25 5七銀(68)
26 6四歩(63)
27 6七金(58)
28 7三桂(81)
29 8八飛(78)
30 4四歩(43)
31 4六歩(47)
32 6五歩(64)
33 3六歩(37)
34 4二金(41)
35 4八銀(57)
36 6六歩(65)
37 同 角(77)
38 6三銀(62)
39 4七銀(48)
40 4三金(52)
41 3七桂(29)
42 6四銀(63)
43 7七桂(89)
44 8一飛(82)
45 2六歩(27)
46 9四歩(93)
47 2七銀(38)
48 6一飛(81)
49 6八飛(88)
50 8一飛(61)
51 8八飛(68)
52 6五桂(73)
53 3八金(49)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 7七桂成(65)
57 同 金(67)
58 6五歩打
59 3九角(66)
60 4五歩(44)
61 6六歩打
62 同 歩(65)
63 8九飛(88)
64 6五銀(64)
65 4五歩(46)
66 7六歩打
67 7八金(77)
68 6一飛(81)
69 4四桂打
70 3一玉(32)
71 6九飛(89)
72 3三桂(21)
73 7四歩(75)
74 4五桂(33)
75 同 桂(37)
76 4四銀(53)
77 4六歩打
78 5五歩(54)
79 6二歩打
80 同 飛(61)
81 7三歩成(74)
82 6四飛(62)
83 5五歩(56)
84 5六歩打
85 7五桂打
86 5七桂打
87 6三桂成(75)
88 8四飛(64)
89 5九飛(69)
90 8六歩(85)
91 同 歩(87)
92 3二金(42)
93 5二成桂(63)
94 4五銀(44)
95 同 歩(46)
96 5五角(22)
97 1八玉(28)
98 4六歩打
99 2八角(39)
100 5四桂打
101 6三と(73)
102 1五歩(14)
103 同 歩(16)
104 1六歩打
105 同 銀(27)
106 2四桂打
107 2五銀(16)
108 6九桂成(57)
109 5六銀(47)
110 5九成桂(69)
111 5五銀(56)
112 5八飛打
113 2七銀打
114 4七歩成(46)
115 同 金(38)
116 7八飛成(58)
117 5三と(63)
118 1五香(11)
119 2九玉(18)
120 1九香成(15)
121 同 玉(29)
122 1五香打
123 1七歩打
124 1六歩打
125 4三と(53)
126 同 金(32)
127 1三角打
128 2二金打
129 1二金打
130 1三金(22)
131 同 金(12)
132 3三角打
133 4四銀(55)
134 1七歩成(16)
135 3二香打
136 同 玉(31)
137 3三銀成(44)
138 投了
まで137手で先手の勝ち

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20171030今日の一手(その593);飛角桂をさばく

2017-10-30 | 今日の一手

20171030今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、TさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
少し前から。

先手の石田流に対して後手が棒金で仕掛けたのですが、これが危険な手です。棒金で攻める前に64の地点を手厚くしておきたいですし、72飛~74歩同歩同金75歩~95歩同歩96歩、と1歩持って96歩を狙うべき。単純に95同金で良くなるというのはまれなケースです。

さて、95同歩同金74歩同歩というのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
後手の1歩得ですが、先手に持ち歩があるのでカウントせず。損得なしとします。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は76飛97角で2枚。99香も働きそうで3枚に近いです。
後手の攻め駒は95金ではありますが、今は先手陣に届いていないです。現状は0枚か91香の方を数えて1枚か。

総合すれば先手が指しやすいです。

☆ 大局観として
後手の95歩同歩同金というのは攻め駒を増やそうということなのですが、金が離れて行くのが不安です。96歩79角86歩同歩同金というのが狙いではあります。
先手はその前に飛角プラス左桂をさばきたいところです。残念なのは67銀で、56歩を突いていなければ56に出て使えた(逃げられた)かもしれなかったのですが。


○ 一番自然なのは65歩です。石田流本組ならばこれが攻めの筋。

65同歩には42角成同玉65桂

角桂をさばきました。金の質駒はあるし、53金や64歩同銀74飛と攻められますから先手優勢です。

後手は96歩なら64角

64同銀同歩と進み、63歩成や65桂や74飛を狙って先手有利です。

64歩と取り込んで

52銀右79角

でも悪くありませんし、

63歩成と踏み込んで

97歩成に64歩が好手、74飛を見ているので84飛52と同銀63銀

という攻め方もあります。

後手としては86歩が最善で

86同角同金同飛同飛同歩99香成61飛

52銀右に81飛成くらい。左桂は85~73と使うことになるでしょう。角香と金桂の交換で玉が堅くて攻め駒は将来4枚にすることができます。後手にどれだけの攻めがあるかですが、先手有利です。


× 実戦は64角と捨てて

64同銀95香同香74飛

とさばきました。角香と金の交換でもこの飛がうまくさばけた感じがするのです。でも73銀と引かれて、94飛には93香で失敗。76飛と引いたら

75歩同飛74香85飛84銀

65飛77香成61飛成73銀

飛を成れても67銀を取られる形が嫌です。これはうまくいかず。銀が逃げられる形ならばまあまあだったのですが。

ということで実戦は73同飛成

と切りました。73同桂74歩で桂馬を取れます。64角と打たれて37銀打

は長期戦で頑張ろうということですが、桂を取っても飛角香と金銀桂の交換で駒損です。銀を打たずに73歩成と突っ張るほうが優りましたが、それでも少し苦しいでしょう。
72歩73歩成同歩65桂79飛

55歩同歩53歩98香成63金97角成64桂51香73桂成

という進行です。大駒はないけれど攻めが続きそう、でも先手玉も安泰ではないです。実戦は馬と飛で受けられて攻めが細くなり、王手で駒を取られる展開になり、後手玉を(後手の)右翼に逃げ出されて負けました。
上の図はまだ難しいのですが後手のほうが良いのでしょう。


△ 74同飛と飛を切ると

74同銀64角73歩95香同香65桂

飛(というか香というか)角桂をさばけます。65同銀同歩61香

42角成同玉72歩同飛64歩

大駒が無くなってしまうのは同じでも、後手玉が薄くなって馬も作られていませんから、実戦の順よりも優ります。攻め駒3枚ですがうまく歩を使って食いつけば良くなるかもしれません。
この図は互角でしょう。

後手は64角に92飛

とかわすことができます。これは95香と取られにくいわけです。93歩同飛42角成同玉84金

この図の形勢判断が難しいですが、飛を取れば金も取れるということになります。92飛74金という進行は後手を持っても嫌でしょう。これも互角に近い(どちらかが良いのでしょうが)です。


× 75歩と合わせると

75同歩同角74歩に95香同香

までは入ります。結局64角しかなさそうで、それは最初に64角としたのと同じことになります。後手よしでした。


○ あとは角を転回する順で、79角

96歩に65歩同歩57角

これは56歩の形を生かしました。64歩同銀74飛を防ぐには72飛しかないか。84角に64銀

と返されて、73歩同銀同角成同飛65桂

と進みそうです。71飛には62銀~53桂成があるので、72飛に63銀82飛、74飛か73歩か。結構先手が指せそうですね。後手の95金が遊んでいるのが大きいです。


△ 88角だと

96歩(まだ86歩は無理か)65歩同歩64歩同銀74飛

73銀76飛75歩同飛74歩76飛45歩

先に角筋を通されると少し失敗ですが、79角と引いておけば悪くもないです。


☆ まとめ

飛角桂をさばく(この場合は99香をさばくというのも入っているかもしれません)順を見つけられたでしょうか。

石田流本組では当然の65歩が本筋で(後手としてはこれが怖すぎるので95同金と出る手が指しにくいのです)、65同歩は角を切れば圧勝です。
96歩の時には64歩か64角か悩みますが、どちらも指せるようです。後手は95金が遊んでしまうのが痛いです。
金が遊ばないように86歩で後手も飛金をさばくのですが、駒損でも玉の堅い先手の方が指しやすいです。

実戦の64角と捨てるよりは74飛と捨てるほうが優りそうですが、どちらも少し焦りすぎか。もう一手後手に指させておいて切りたい感じです。ただ74同飛と捨てるのは先手も結構指せました。角を使うと42角成と切る手があるためです。

先手陣を見ると、97の角が57にあったら楽だなあ、と思いませんか。79角~57角の転回はかなり有力です。後手の6筋がかなり手薄なので、97角の利きがなくなっても飛をさばけました。

振り飛車党にもいろいろな棋風、指し方がありますが、石田流にするなら大駒を切ってでもさばく感覚が必要です。駒損になるわけですから、その分だけ読みの精度が必要になりますが。
この形は攻めが切れる、この形は攻めが続く、という判断が素早くできれば手助けになります。そのためには棋譜並べが一番有効でしょう。

後手の棒金はなかなか勝ちにくいんですよね。先に書きましたが、6筋を手厚く構えること、角筋を通しておくこと、金を遊ばせないこと(さばくよりは守りに使う)が必要です。問題図の後手陣にはいろいろおかしなところがありました。

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大山将棋研究(687);四間飛車に中央位取り(森安秀光)

2017-10-29 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番米長先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171029
昭和57年10月、森安秀光先生と第41期名人挑戦者リーグです。

森安先生の四間飛車に大山先生は中央位取りです。たまたま連続していますが、いろいろな指し方がありまして

これは急戦模様です。

大山先生は7筋の歩を飛で交換して

浮き飛車で桂馬を使って65歩と仕掛けます。一目は後手十分です。

ただし後手玉が堅くないので軽くさばくわけにはいきません。だから銀を繰り出して抑え込んでいく感じで指します。

8筋に転戦して、77角なら65桂59角56歩同銀88角成65銀同銀77角78馬でしょうか。銀2枚を前に出しているので抑え込めると。

56歩に86飛77角87飛成55歩でさばけるかどうか、と思ったら大山先生は先に銀を引きました。

森安先生は65歩同銀97角とこちらから角をさばこうとしました。

大山先生はまたも渋く64歩。角の利きを止めます。これで少し局面は落ち着いて

後手の攻めは65歩です。すぐに攻めずに

端を取り込んでから。これに65同桂から

銀を出るのは振り飛車らしい手筋です。

86歩が大山先生の手裏剣。77桂成があるので飛では取れず、67飛85飛65歩87歩成も先手自信なし。角で取って

大山先生はまたも渋く86角の利きを泊めようと歩を打ちます。(86歩67飛にも53歩だったのかも)

桂馬を取らせて馬を作り銀交換。

森安先生は桂馬で攻めます。

ここでも角筋を止める64歩が登場して

馬と角の差を主張します。森安先生の角は

切るしかなくなって

35歩は結構うるさい攻めです。大山先生は強く切らしに行き

桂2枚を外して、あとは手抜いて反撃に出ました。この歩はどれで取っても25桂があって

森安先生は玉で取ってかわし切れるかというところですが、65桂には飛を逃げにくいんですね。59飛46歩の取りように困ります。

後手玉は銀だけでは捕まえにくく、桂を取って下駄を預けました。

大山先生は飛角を打ちこんで

38歩成。これを取れないので寄り筋です。43桂打ちの形つくりに

詰みがあって投了図。

中盤の攻防が面白い将棋でした。大山先生の攻めなのですが、何度も渋く歩を打ってさばきを封じながら指しています。どちらを持っても楽しめますが、画面をひっくり返して勝った方から見たほうが良いでしょうか。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森安秀光8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八銀(39)
12 3二玉(42)
13 3九玉(48)
14 5二金(61)
15 5八金(69)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5三銀(62)
19 4六歩(47)
20 5五歩(54)
21 3六歩(37)
22 4二銀(31)
23 6七銀(78)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 7四歩(73)
27 2八玉(39)
28 5四銀(53)
29 4七金(58)
30 6四歩(63)
31 9八香(99)
32 9四歩(93)
33 9六歩(97)
34 5三銀(42)
35 3七桂(29)
36 4二金(41)
37 6九飛(68)
38 7二飛(82)
39 2六歩(27)
40 7五歩(74)
41 同 歩(76)
42 同 飛(72)
43 2七銀(38)
44 7四飛(75)
45 3八金(49)
46 7三桂(81)
47 7六歩打
48 6五歩(64)
49 2五歩(26)
50 6六歩(65)
51 同 角(77)
52 6四銀(53)
53 8八角(66)
54 8六歩(85)
55 同 歩(87)
56 8四飛(74)
57 5六歩(57)
58 6三銀(54)
59 6五歩打
60 同 銀(64)
61 9七角(88)
62 6四歩打
63 5五歩(56)
64 同 角(22)
65 6六歩打
66 5四銀(65)
67 7七桂(89)
68 8一飛(84)
69 8五歩(86)
70 2二角(55)
71 8九飛(69)
72 9五歩(94)
73 8七飛(89)
74 9六歩(95)
75 7五角(97)
76 6五歩(64)
77 同 桂(77)
78 同 桂(73)
79 5六銀(67)
80 8六歩打
81 同 角(75)
82 5三歩打
83 6五歩(66)
84 9九角成(22)
85 5五歩打
86 同 銀(54)
87 同 銀(56)
88 同 馬(99)
89 2六桂打
90 2二桂打
91 4五桂(37)
92 6五馬(55)
93 5七飛(87)
94 6四歩打
95 5六金(47)
96 7六馬(65)
97 7七角(86)
98 4四歩(43)
99 同 角(77)
100 4三銀打
101 2二角成(44)
102 同 玉(32)
103 3五歩(36)
104 4四歩打
105 3四桂(26)
106 同 銀(43)
107 同 歩(35)
108 4五歩(44)
109 2四歩(25)
110 同 歩(23)
111 3五桂打
112 3七歩打
113 同 玉(28)
114 2五桂打
115 4七玉(37)
116 3七歩打
117 3九金(38)
118 6五桂打
119 2三銀打
120 3一玉(22)
121 2二歩打
122 4一玉(31)
123 2一歩成(22)
124 5七桂成(65)
125 同 金(56)
126 5九飛打
127 4八金(39)
128 2九角打
129 3六玉(47)
130 3八歩成(37)
131 4三桂打
132 3七と(38)
133 2六玉(36)
134 2七と(37)
135 同 玉(26)
136 5七飛成(59)
137 同 金(48)
138 4九馬(76)
139 投了
まで138手で後手の勝ち
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第179回名南将棋大会(弐)速報

2017-10-28 | 名将会
今日は第179回名南将棋大会(弐)を行いました。結果速報です。

今週も台風接近で参加者4割減です。少し雨が多いだけなんですが。今年は4回も台風に当たりました。別のよいものに当たってほしいですね。

E級優勝
野々山大起さん


F級優勝
八田勝友さん


G級優勝
奥田幸男さん



優勝おめでとうございます。
参加いただいた皆様ありがとうございました。
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大山将棋研究(686);四間飛車に中央位取り(米長邦雄)

2017-10-28 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171028
昭和57年10月、米長邦雄先生と第9回名将戦です。
途中でこの将棋は見たことがあるなあ、と思ったら、逆転のテクニックに出ていました。詳しくはそちらを。

大山先生の四間飛車に米長先生は中央位取りです。

4筋の歩を交換するところは昨日の二上戦と似ています。

大山先生は石田流に組み替えて

米長先生は左美濃に。米長先生も終盤型ですが、玉を堅くというよりは厚く構えることが多いです。

大山先生は持ち歩があるので8筋の逆襲を狙えます。

米長先生は端桂や角で8筋の突破をけん制します。75歩を守ってもらえれば良いのですが、75角では76飛74歩で質駒になってしまうのが悩みの種です。

8筋は守り切れなくて、51飛と転回します。桂頭の嫌味をついて角を呼んで

33角から55銀と調子が良さそうですが

53歩と打たれてさばききれず、銀は下がります。

角をぶつけて勝負しました。

角交換で打たれるのですが

自玉は堅いので53飛と歩を払い、また桂頭の嫌味を突きました。

8筋はどうしようもないので36の地点を中心に嫌味をついていくしかありません。

でも桂馬を取られては悪いです。

大山先生は駒得になったので自陣飛車を打って完封しようとしています。ここでどう指しますか?(ここで本に書いてあったなあと気が付きました。)

46歩から角を切り、78の角も切ってしまいます。

かなり駒損ですが、その金銀を打って、厚みを主張します。これを自慢していました。
大山先生は桂頭に嫌味があるので、飛車を見捨てて寄せ合いに出ます。

44桂で金を剥がし、飛車を取らせて

先手で飛を成って香を取りました。米長先生の方は歩を打つだけで後手を引いているのですが、玉が堅くなりました。

大山先生は85角と打って銀取りを受けさせて63角成が狙いでした。でも歩を取り込まれて失敗です。桂頭を守っておく(金を打つ)か35歩と取ってしまうか(後手は歩切れです)が有力手でした。

こういう香打も攻防ではありますが、米長先生が少し良くなっています。

飛を打たれれば角打ちで返し、激しい攻防は続きます。

飛を切っての68角に53飛が疑問手になってしまいました。代わる手も難しいのですが。

というのはここで51飛成を決行できず、36銀と打ってからの難しいやり取りから

銀金と打ちあって

田楽刺しから

角を取らずに銀打とか米長先生の好手があり

角は逃げたものの、52金打で大駒を渡すことになったから。53飛が疑問手だという説明に間がかなりあるのですが、どこかで飛を追われるだけになったということなのです。

57飛成は76馬の金取りで返されて

馬を切って竜を使って、と大山先生も最善を尽くしています。

米長先生は角を手持ちにしているので、馬を切って寄せに入ります。

66角に大山先生は逆転狙いの角打ちですが

35歩と受けられては不発です。あとは粘りに行くのですが

米長先生は銀を捨てて竜を取り

飛を打ち

上から押さえつければもう一息。

銀角と取れば攻め駒は4枚に戻り

ここに桂を打つのが良い手なんですね。

投了図。

大山米長戦は名局が多いのですが、これも良い将棋です。実戦集ではない本に米長先生が解説していたのも納得です。図面を多めにしましたが、繰り返し並べてみても得るものが多いと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:米長邦雄棋王
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 6二銀(71)
5 7八銀(79)
6 8四歩(83)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5四歩(53)
17 3八銀(39)
18 5三銀(62)
19 6七銀(78)
20 5五歩(54)
21 5八金(69)
22 5四銀(53)
23 7五歩(76)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 4四歩(43)
27 4六歩(47)
28 4五歩(44)
29 同 歩(46)
30 同 銀(54)
31 7八飛(68)
32 9四歩(93)
33 6八角(77)
34 8四飛(82)
35 7六飛(78)
36 3三角(22)
37 7七桂(89)
38 2二玉(32)
39 6五歩(66)
40 3二銀(31)
41 3六歩(37)
42 4三金(52)
43 3七桂(29)
44 5四銀(45)
45 8六歩(87)
46 9三桂(81)
47 9六歩(97)
48 8六歩(85)
49 8五歩打
50 8一飛(84)
51 8六飛(76)
52 4二角(33)
53 5六歩(57)
54 同 歩(55)
55 同 銀(67)
56 5一飛(81)
57 8四歩(85)
58 3五歩(34)
59 同 角(68)
60 3三角(42)
61 6七金(58)
62 5五銀(54)
63 5三歩打
64 4四銀(55)
65 6八角(35)
66 2四角(33)
67 4五歩打
68 3三銀(44)
69 2四角(68)
70 同 歩(23)
71 6二角打
72 5三飛(51)
73 8三歩成(84)
74 3五歩打
75 5三角成(62)
76 同 金(43)
77 4七銀(56)
78 4六歩打
79 同 飛(86)
80 5五角打
81 5六飛(46)
82 5四金(53)
83 9三と(83)
84 7八角打
85 5七飛打
86 4六歩打
87 同 銀(47)
88 同 角(55)
89 同 飛(56)
90 6七角成(78)
91 同 飛(57)
92 5五金打
93 8六飛(46)
94 5六銀打
95 4四桂打
96 同 金(54)
97 同 歩(45)
98 6七銀(56)
99 4三歩成(44)
100 同 銀(32)
101 8二飛成(86)
102 4二歩打
103 9一龍(82)
104 5一歩打
105 8五角打
106 3六歩(35)
107 6七角(85)
108 3七歩成(36)
109 同 銀(38)
110 4五桂打
111 3八香打
112 4七飛打
113 5八角打
114 6七飛成(47)
115 同 角(58)
116 6八角打
117 5三飛打
118 7七角成(68)
119 5八角(67)
120 3七桂成(45)
121 同 香(38)
122 4五金(55)
123 3六銀打
124 同 金(45)
125 同 角(58)
126 4六銀打
127 4七金打
128 3七銀成(46)
129 同 金(47)
130 3四香打
131 4六銀打
132 3五銀打
133 同 銀(46)
134 同 香(34)
135 4六銀打
136 3四銀打
137 6三角成(36)
138 3七香成(35)
139 同 銀(46)
140 5二金打
141 5七飛成(53)
142 7六馬(77)
143 5二馬(63)
144 同 金(41)
145 4六龍(57)
146 4九馬(76)
147 同 龍(46)
148 2五桂打
149 3八歩打
150 6六角打
151 6七角打
152 3五歩打
153 5六金打
154 3七桂成(25)
155 同 歩(38)
156 4八銀打
157 3八龍(49)
158 3九銀(48)
159 同 龍(38)
160 同 角成(66)
161 同 玉(28)
162 4七飛打
163 5七銀打
164 3七飛成(47)
165 4九玉(39)
166 4七金打
167 3九香打
168 5七金(47)
169 3七香(39)
170 6七金(57)
171 4八金打
172 4四桂打
173 5七金(56)
174 同 金(67)
175 同 金(48)
176 5六銀打
177 5八玉(49)
178 8五角打
179 投了
まで178手で後手の勝ち

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20171028今日の一手(その592);自然に寄せる

2017-10-28 | 今日の一手

20171028今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、OさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金歩歩と角の交換で と金と成銀を作り合っています。やや先手の駒得ですが終盤ですし損得なしくらいに思っておけばよいです。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は26角と持ち駒飛銀桂で4枚。
後手の攻め駒は75桂と持ち駒飛金で3枚。49成銀を入れれば4枚です。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

一応は先手の駒得なので長期戦を考えても良いのですが、互いに攻め駒が多いので寄せ合いを考えます。
49成銀がそっぽに行った(もとは先手41飛、後手49飛47成銀の形で58成銀49飛成同成銀となったのが問題図)ところなので、後手の攻めが遅くなった(問題図だけ見れば遅い)というチャンスです。
後手のねらいとしては28飛~67金くらい。現状は4手すきくらいですから、それよりも早く後手玉に迫れば良いです。攻め駒が豊富なので自然な寄せを考えましょう。


× 受ける手を見ておくと、76歩は87桂成

でどちらで取っても王手角取りに打たれます。まだ先手不利というほどでもないかもしれませんが、失敗でしょう。


△ 68銀と打てば

先手玉が堅くなり、29飛44角19飛成11角成

で長い戦いです。歩を入手すれば確実に駒得ですから、先手が悪いということはありません。


○ 実戦は41飛で、成銀取りなので自然な手です。しかし29飛に61銀

というのは重くて不自然な手でした。26飛成72銀成同金61銀71銀72銀成同銀71金62金

金銀を打ったり埋めたりでここまで進みました。86桂85銀を利かせて72金同金61角成としたのですが86銀

桂馬を食いちぎられて先手玉は詰めろ。後手玉は詰みません。86歩と取り返しても先手玉は詰みで負けました。二人掛かりで先手玉を寄せたようなもので、良さそうに見えた86桂が悪手でした。

先手の工夫はいくつかあって、86桂を打たなければ61角成に81金くらい。

これは形勢不明です。

もう少し戻って72金ではなくて51飛成

ならば受けにくいので先手有利。

後手はこれを避けて61銀に銀を打たずに71金

と引いてどうだったか。

61銀ではなく81銀なら62金寄

というのも寄せにくそうです。

もっと戻って、61銀ではなく52角成が自然な手です。62金打

で馬を逃げるのではなあ、と見送ってしまいそうなのですが、62同馬同金引86桂

馬を切れば攻めに調子が出てきます。この桂馬がかなり厳しくて、63金なら94桂同香91銀

で寄り筋です。

後手は角を打つしかなく

76銀と打てば結局(63銀85銀同桂)94桂が実現します。


後手としては62金打が無効なら26飛成

くらいしかないのですが、55桂62金打63桂成同金93金

で寄り筋です。


○ 2段目から打つのもありまして、42飛

か22飛か。(後手にどこかで41歩を打たれたら22飛成です。)29飛に45角

と使います。(これが気が付きにくい手なのですが。)54歩は同角同金71角成、54金も同角ですね。62金引には86桂63金打51銀


戻って62金打には55桂

どれも先手が十分です。


○ 飛を打たずに43角成もあります。

これは28飛に53馬同金同角成

と26角を攻め駒にしようという意味でした。71馬同玉51飛は寄り筋ですから、62金打に同馬同金31飛

41飛と打って王手飛車を食らわなければよいでしょう。角しかないので受けにくいです。


△ 52銀は少し重くて

62金引に86桂84金43角成

後手に駒を使わせてゆっくり攻める感じで指します。52銀が質駒なのは嫌なのですが、86桂がかなり厳しいので考えてもよいです。


○ 先に86桂というのもあって

28飛なら53角成同金74桂92玉51飛

という寄せ方です。この図では後手がうまく守ることができません。(81玉と逃げていても51飛です。)

86桂に84金と守られたらかなりの利かしで、52角成には(53角成を防いで)62金上くらい。

51飛52金71銀

81玉52飛成71玉53角成

と寄せます。


△ 55桂は

62金引22飛28飛63銀

という攻め方ですが、千日手模様に粘られて寄せきれるかどうか。



☆ まとめ

相手玉を寄せる時には自然な寄せを考えたいです。もっとも最初は自然な手(駒を取る手、自分の駒の働きを良くする手)を考えますが、どこかで駒を捨てるとか切るとかの不自然な手が入ることになります。一見は駒損でも相手玉の囲いを弱体化するための駒損です。これがきれいに決まれば寄り筋になります。

この場合は符号でいうと
飛を打って敵玉をにらむ41飛や42飛(あるいは22飛)
34角を攻めに使う43角成や52角成や45角が自然な寄せ方です。
大駒の場合は手駒よりも盤上で敵玉をにらんでいるほうが働いているということがあります。

端もにらんでの86桂とか、単純に駒得を狙う55桂も打ったほうが得な感じです。
(桂馬は直接の王手がないのならば一度打っておいてから跳ねる手が有効かも。ただし実戦のように銀を渡して86桂85銀という形は危険でした。)
これらが自分の駒の働きを良くする手です。

銀を打って金を剥がすというのもやや有効ですが、後手は金を手持ちにしているということもあり、それだけでは決定打にはなりません。

中盤なら駒を取る11と も良いのかもしれませんが、香の使い道があればともかく、今は攻め駒が十分にあるので考えません。23角成と歩を取るのも同じことですね。


そのあとはなるべく自然な手を心がけながらも、大駒で金銀を取る手は成立しないかというのを考えます。駒損でも囲いを薄くしてしまえば好手になるかもしれませんから。

問題図では後手の美濃囲いが崩れていて、71金の形だというのが背景にありました。7筋が壁ですから端攻めに弱いですし、71金にひもがついていないので飛や角で切って(取って)しまう手が出やすいです。金の位置によって堅さに差がありました。

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大山将棋研究(685);四間飛車に中央位取り(二上達也)

2017-10-27 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

(負けましたが)先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171027
昭和57年10月、二上達也先生と第8期棋王戦です。

大山先生の四間飛車に二上先生は中央位取りです。

右金を上がらずに組んでいるのは石田流への対策でしょうか。銀を繰り出して4筋の歩を交換します。

大山先生は4筋を構わないで石田流へ組み替えました。

86歩は飛交換を迫ろうということでしょう。こういう場合に備えて二上先生は一段金だったのです。左金を52へ上がります。

これで75銀が可能になりましたが、金銀が離れているのが不安です。

歩を取り合って、86歩と打ちたいところですが76歩で困ります。

二上先生は仕方なく銀を出ていきますが、それを狙われては失敗です。

87歩で1歩損しての銀交換から、また打つのでは苦しそう。

大山先生は桂馬が死ぬ前に手を作ります。銀を打ちこんで(83飛には82歩73桂同桂成同飛44桂~84金か)

桂馬を得て44桂、駒損なしに攻められました。

金で飛を取れれば、後手玉がかなり薄いので優勢に近いです。

美濃囲いが堅いので、78金は怖くないです。成桂を使って銀取りから

角をぶつけて

金を剥がしに行き

成桂で角を取れました。

投了図。

二上先生は終盤に自信があるから玉の薄さを気にしないのです。大山先生との将棋だけ見ていると、そのなかでも比較的に玉が堅い状態なら勝っています。本譜のように薄すぎるのは負けます。
大山先生はそういう将棋なら苦労しないで勝っていますね。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 4二銀(31)
17 3八銀(39)
18 5五歩(54)
19 6七銀(78)
20 5三銀(62)
21 7五歩(76)
22 8五歩(84)
23 7七角(88)
24 5四銀(53)
25 5八金(69)
26 5三銀(42)
27 7八飛(68)
28 9四歩(93)
29 9六歩(97)
30 4四歩(43)
31 4六歩(47)
32 4五歩(44)
33 同 歩(46)
34 同 銀(54)
35 6八角(77)
36 8四飛(82)
37 7六飛(78)
38 6四銀(53)
39 8六歩(87)
40 5二金(41)
41 7七桂(89)
42 3一角(22)
43 8五歩(86)
44 8二飛(84)
45 8六飛(76)
46 7五銀(64)
47 8九飛(86)
48 8六銀(75)
49 7六銀(67)
50 7四歩(73)
51 6五桂(77)
52 8七歩打
53 同 銀(76)
54 同 銀成(86)
55 同 飛(89)
56 7六銀打
57 8六飛(87)
58 8五銀(76)
59 8九飛(86)
60 8六歩打
61 7三銀打
62 同 桂(81)
63 同 桂成(65)
64 8四飛(82)
65 4四桂打
66 3三玉(32)
67 5二桂成(44)
68 同 金(61)
69 4六歩打
70 5四銀(45)
71 8三金打
72 同 飛(84)
73 同 成桂(73)
74 7八金打
75 8一飛打
76 4二角(31)
77 7三成桂(83)
78 8九金(78)
79 8五飛成(81)
80 9九金(89)
81 8六角(68)
82 6四歩(63)
83 8二龍(85)
84 5一銀打
85 4一銀打
86 4三銀(54)
87 5二銀成(41)
88 同 銀(43)
89 6二金打
90 4三銀打
91 5一金(62)
92 同 角(42)
93 6二成桂(73)
94 同 角(51)
95 同 龍(82)
96 6一香打
97 5一龍(62)
98 4一金打
99 4二銀打
100 投了
まで99手で先手の勝ち

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大山将棋研究(684);石田流に位取り(森安秀光)

2017-10-26 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

(負けましたが)後手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20171026
昭和57年10月、森安秀光先生と第21期十段戦です。

森安先生の三間飛車で、大山先生は相振りをやらないので

居飛車に構えて6筋の位取りです。

石田流には3筋の歩を交換させてしまうのが大山先生の指し方です。そのあとはいろいろですが、角をぶつけて35歩を打たせようというのがわかりやすい指し方。本譜は角交換になりましたが。

先手玉の囲いはきれいなのですが、角を持ちあっているときは不安です。後手陣は薄くても32金の形は角打ちに強いわけで、58金と上がったのが危険でした。後手の森安先生の方から見ると、36歩と合わせる筋、39角と打つ筋があります。

その組み合わせですが、36歩同歩同飛37歩の時に39角、というのが良い組み合わせでした。このタイミングなら応手を27飛に限定できて

横歩を取れます。大山先生は二枚換えではまずいので

銀を引きましたが、森安先生はあっさり飛を切り

馬を作り

桂馬が取れました。これで二枚換え。

後手玉が堅くないのですが、と金を作れば攻めには困りません。

3筋に壁を作って手を稼いで

寄せ合いです。

すぐに飛を取らないで64桂が入り

金を上ずらせれば飛打ちが厳しくなります。

と金を捨てて桂馬を跳ねれば

金を取って優勢、あれ、本当かな?62歩71金53角という筋は受けがよくわかりません。62歩71金61金と重く攻められても一手違いです。ということはずっと形勢不明で、森安先生はもっと工夫が必要だったと。工夫は32金を取られる前に逃げるくらいだったでしょうか。

大山先生は66歩~79金打と受けました。

森安先生は自玉を顧みなければ攻めは続きます。飛を切り成桂を寄って

馬を使えば難しくはないです。

かなり渡しましたが、これでほぼ受けなしです。後手玉は

詰まなかったようで、投了図。

森安先生がずいぶん景気よく攻めていましたが、実は難しい形勢でした。大山先生は銀冠になったあたりで寄せ合いに出れば勝ち筋ではなかったかと。受け続けて駒をもらっての即詰みに期待したけれど及ばず、という熱戦でした。どちらから並べても面白いです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:森安秀光8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 5六歩(57)
8 6二玉(51)
9 6八玉(59)
10 7二玉(62)
11 7八玉(68)
12 4二銀(31)
13 5七銀(48)
14 1四歩(13)
15 6五歩(66)
16 4四歩(43)
17 6八銀(79)
18 4三銀(42)
19 6七銀(68)
20 3六歩(35)
21 同 歩(37)
22 同 飛(32)
23 2六歩(27)
24 1三角(22)
25 6六銀(57)
26 8二玉(72)
27 3七歩打
28 3四飛(36)
29 9六歩(97)
30 9四歩(93)
31 7九角(88)
32 同 角成(13)
33 同 金(69)
34 1五歩(14)
35 8八玉(78)
36 7二銀(71)
37 7八金(79)
38 3二金(41)
39 7五歩(76)
40 3三桂(21)
41 2五歩(26)
42 4五歩(44)
43 8六歩(87)
44 5四歩(53)
45 5八金(49)
46 3六歩打
47 同 歩(37)
48 同 飛(34)
49 3七歩打
50 3九角打
51 2七飛(28)
52 5六飛(36)
53 7七銀(66)
54 5八飛成(56)
55 同 銀(67)
56 4六歩(45)
57 2四歩(25)
58 同 歩(23)
59 4六歩(47)
60 2五歩(24)
61 3六歩(37)
62 4八角成(39)
63 6七銀(58)
64 3八馬(48)
65 5七飛(27)
66 2九馬(38)
67 5九飛(57)
68 6五馬(29)
69 2一飛打
70 4七歩打
71 7六銀(67)
72 6四馬(65)
73 1一飛成(21)
74 3一歩打
75 2三歩打
76 4八歩成(47)
77 6九飛(59)
78 5五馬(64)
79 2二歩成(23)
80 5八と(48)
81 6七飛(69)
82 5七金打
83 3二と(22)
84 6四桂打
85 8七銀(76)
86 6七金(57)
87 同 金(78)
88 6九飛打
89 7八金打
90 5七と(58)
91 同 金(67)
92 4五桂(33)
93 3一龍(11)
94 5七桂成(45)
95 6六歩打
96 7六金打
97 7九金打
98 8七金(76)
99 同 玉(88)
100 7九飛成(69)
101 同 金(78)
102 6七成桂(57)
103 8五角打
104 7七成桂(67)
105 同 桂(89)
106 6六馬(55)
107 7八金打
108 7六銀打
109 同 角(85)
110 同 馬(66)
111 8八玉(87)
112 8七銀打
113 同 金(78)
114 同 馬(76)
115 同 玉(88)
116 7六金打
117 8八玉(87)
118 8七金打
119 8九玉(88)
120 7七金(76)
121 7一銀打
122 同 玉(82)
123 6二銀打
124 8二玉(71)
125 7一角打
126 同 金(61)
127 同 龍(31)
128 9三玉(82)
129 投了
まで128手で後手の勝ち


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20171026今日の一手(その591);強い受け

2017-10-26 | 今日の一手

20171026今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、KさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金歩歩と飛香の交換で、持ち歩があるので歩をカウントせず。馬も作っていますから先手の駒得です。ただし終盤なので重視しません。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。(先手玉が薄すぎます。)
先手の攻め駒は28飛と持ち駒飛銀銀香で5枚。十分です。
後手の攻め駒は56角と持ち駒金銀で3枚。

総合すれば先手有利、と言いたいところですが先手玉の薄さが目立つので互角に近いでしょう。

☆ 大局観として
問題図を見てわかる通り、後手は飛を切って寄せに出ました。56角と打ったのがやや甘いので先手に選択肢があります。

何と言っても先手玉が薄く、後手に67歩成がまわると4枚目の攻め駒ですから受けきれなくなります。
攻め駒は豊富になるので寄せ合いがあるかどうか。
寄せ合いがないのなら受けるしかありません。今は3枚の攻めですから受ける手段はありそうですが。


× 攻め合いは22歩で

22同玉は61飛が金取りです。42金寄66飛成

とできれば大成功。

22同銀なら

55馬67角成(か67銀か)23香

で22銀を見て優勢です。

22歩は手抜かれて67銀

が難しくて、21歩成同玉23香32玉

後手玉に詰めろをかけられず、自玉は68銀成同飛67歩成が詰めろ。これは後手の寄せ合い勝ちでしょう。なにか良い手があればひっくり返りますが、22歩を手抜かれてまずいようです。


△ であれば受ける手しかないわけで、実戦は78銀と埋めました。67銀と打たれて

秒読みで間違えたのでしょうね。69歩と受けたのがポカで、78銀成同金67歩成

と4枚目の攻め駒を作られては受けがありません。

69歩では69香

くらい、67の地点に利きを増やしておけば、78銀成同金67銀に77金

とかわしておいて、かなり不安ですが後手が攻めあぐねていたと思います。

後手は68銀成と金を取って

68同香67金69銀

と受けていけば千日手模様でした。


△ これは先に69香と受けても

同じことになるかも。67銀にほかの受けがあると良いですが、多分78銀と埋めることになります。


× 58銀という受けは

67銀78銀に88金

88同玉68銀成69金78成銀同金67銀79銀78銀成同銀68金

手数は長いですが、金銀を打ち換えて67金打が生じるので受けがありません。


△ 61飛は攻防に見えます。

67金78銀同金同金67銀69銀

は千日手模様。

(最初の67金ではなくて67銀66飛成でも同じようなことですが)69銀ではなくて66飛成だと

78銀成同飛同角成同玉28飛

というのは難しい形勢です。


× もう少し強い受けを見てみましょう。角取りになる受けです。46馬から。

67銀78銀には68銀成

どれで取っても強攻されるのですが、68同飛78角成同玉67銀

というような図です。(先手の取り方で変化はあります。)飛を取られた時に46馬が浮いているので両取りに飛を打たれたり、桂馬を取られて54桂があったり、これは前の竜を作って飛を打たれる図よりも損をしています。

ということで67銀には56馬

と角と交換すればまだ指せるのですが、これは馬が消えて後手は角を手持ちにしているので、問題図よりも先手が損をしているのです。
56銀成に61飛

としておいて、まだ千日手にできるかもしれませんが。


△ 55馬のほうが少し得で

67銀に66馬と歩を払えて、68銀成同飛

という図は先手優勢、に見えました。でも67歩と打たれたらちょっと困っています。馬でも飛でも取りにくく、28飛に65金

という図は何とも言えません。後手の攻めが重くなりましたが、先手玉はさらに薄くなっています。


△ であれば57銀

と投入して、67角成に61飛

がどうか。後手は72銀と自陣に打つのもありますし、51金寄もあります。どちらにせよ65飛成から受けきれるかどうかということになります。(66飛成で良ければ先手有利ですが。)


○ 銀を温存して57歩ならば

67角成78銀76馬77銀打

と2枚銀を打って堅くなります。攻め駒は減ってしまいましたが、81馬から少しゆっくり攻めることになります。


○ 57歩と比較するのは57香で、67角成78銀76馬に77歩

さらに49馬に58銀と打ってどうか。この比較です。59香ではないのは49馬が香取りになるためでした。


× 強い受けでも57金では

67角成同金同歩成78銀68銀

68同飛と取るのは自信なし。



☆ まとめ

先手玉は薄いけれど、飛の横利きがあるのでまだ詰めろはかからず現状は3手すきです。
寄せ合いはかなり有力なのですが、22歩を手抜かれて1手負けのようです。21歩成同玉で詰めろをかけられず。

単純な受け、つまり67の地点に駒を足しておく78銀や69香では千日手模様です。

58銀は飛の横利きを消してしまうので、悪い受けでした。(角筋ではありますがどこかで78銀と埋める必要があります。)

61飛は攻防の感じですが、実際には後手玉への寄せにつながらず、飛で受けている手でした。けれど66と間接的に67に利きが届きます。ですから千日手で受けることは可能でした。打開して66飛成とするのは形勢不明です。

この場合の強い受けというのは56角取りにする手です。後手は3枚の攻めなので56角が(当面の)攻めの主役になるわけで、角取りには何かしらの対応が必要です。

46馬が良さそうな受けなのですが、67の地点を受けていないと後手が強引に飛を取ることができ、その時に馬が浮いてしまって自信なし。
55馬なら66馬とできて、ずいぶん良さそうに見えましたが、先手玉がさらに薄くなるので難しいところです。

あとは57銀、57歩、57香の比較で、どれも56角(馬)を追いながら先手玉を固めます。57銀よりは57歩か57香のほうが堅くなります。馬は作られても銀2枚を自陣に埋めて補強できた、というわけでした。
馬を作られても駒得ですから長期戦でも大丈夫、という背景があります。


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