第1問

65歩をねらわれています。柔軟に考えましょう。
A 68飛 B 75歩 C 37角
第2問

この手が成立しました。
A 46銀 B 89香 C 74飛
第3問

駒得なのでここを乗り切れれば有利です。
A 74飛 B 97角 C 89歩
第4問

味わい深いです。
A 45歩 B 44歩 C 74飛
20181130今日の一手
7月28日の名南将棋大会から、IさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
金桂香歩歩と角銀の交換で馬竜を作り合っています。終盤なので重視しませんが、先手の駒損です。
(相手の攻め駒を考えなければ)玉の堅さは同程度です。
先手の攻め駒は41飛52馬と持ち駒銀で3枚。26角を数えるかどうか。
後手の攻め駒は19竜97香と持ち駒金桂で4枚。
総合すれば後手有利です。
何手で詰めろかを数えると、後手玉は63馬が詰めろで2手すき。先手玉は詰めろで1手すき。先手番でも1手違いますから後手有利です。
☆ 大局観として
寄せ合いとみると後手のほうが速いです。でも互いに受けはありそうですから、大差ではないでしょう。
銀冠で97に駒を捨てられるというのは鋭い寄せ筋です。こういう囲い崩しの手筋は谷川先生の光速の寄せシリーズを読むと良いです。
さて攻防の手はなさそうなので受けの手を考えねばなりません。(自陣と敵陣に利きのできる手がなく、持ち駒が増えても後手玉は詰まないから。)
なるべく自然な受けから検討します。駒損しない(受けているので駒得のほうが多い)手や、相手の攻め駒の働きを悪くさせる手ですね。
× 放置したり、97同香89金というのは詰まされます。となれば97同玉が一番自然です。
が99竜と取られるのでこのやりとりは駒得にはなりません。98香95歩同歩91香打
これが詰めろで、96銀打95香同銀86歩同銀95香
王手や詰めろの連続で受けがなくなっていきます。
× 実戦は49銀でした。
19竜の利きを止めたのですが、銀は質駒ですね。歩があれば49歩で済む(歩の方が良い)ところなので、不自然な手です。99香成同玉44歩同竜
飛車を1段目からずらされて、後手玉への攻めが遠のきました。これも49銀のせいです。
95歩から攻められるのも厳しいですし、実戦の28竜59角97金68歩57香48角65桂打
77桂成同金48竜同竜88角という攻め筋がうまく受けられません。
では途中99香成を取らずに53角成でどうか。
53同金同馬61香
ここまで決めて(26角をさばいて)99玉97金88金・・・と指すほうが逆転のチャンスがあったのかも。ただし後手有利ではあります。
× 59銀と受けると
飛車の位置をずらされることはないのですが、やはり銀は質駒です。99香成同玉29竜48角57香
香で59銀を取られるのは駒損がさらに広がります。59成香は58成香や68成香と使われますから、形勢が悪化しています。(実戦の49銀に対して57桂~49桂成ならば、あまり厳しくはなかったという違いがあります。)
○ 79銀も質駒ではあるのですが
今度は桂香で取られることはないですし、守りの金銀の連結が強いです。79銀は守りの駒(囲いの一部)として機能しているといえるでしょう。
99香成同玉97金49香
質駒が香ならば少し安心です。
後手としては62金打
一度自玉に手を入れて、34馬65桂打同桂同桂55桂77香
と攻めるものかもしれませんが、88玉78香成同銀上くらいで形勢不明です。
あるいは先手としては2つ前の図から馬を切って(62同馬)同金上21飛成
かもしれません。香歩歩と銀の交換ですから駒損はかなり解消しています。これはちょっとゆっくり指すつもりです。
△ 89銀ならば
さらに先手玉が堅くなったという気がしますが、99香成同玉97桂
桂で銀を取られるので駒損が広がります。49香89桂成同玉97金
63馬同銀53角成61香88金打
まだ少し駒損で、21飛成など駒を取る手の余裕ができるかどうか。
× 85桂は玉を逃げ出そうということですが
99竜77玉85桂同歩65桂66玉61香21竜
先手玉への詰めろは遠のいたものの銀を渡すと危ないです。後手玉への寄せも見えません。入玉できれば勝ちですが、かなり難しい状況です。
○ 98香というのは考えにくいですが
本にも出てくる受けの手筋なのです。98同香成同玉95歩同歩97歩同玉99竜98香92香打
こう進むと前にやった(97同香の変化)図とほぼ同じ図で先手の負けです。
98香成には同銀しかなくて
84桂63馬同銀53角成96桂87玉61香21飛成
案外に先手玉を寄せにくいので良い勝負です。
後手は84桂ではなくて95歩と攻めて
95同歩96香97香同香成同銀96歩同銀84桂87銀96歩49歩
しつこい攻めですが、少し緩めば49歩を打てるので結構大丈夫かも。
× 98銀打は手堅いようですが
さらに駒損になります。98同香成同香99銀97玉89竜
88金と95歩をみて寄せられそうです。これが後手から見た寄せの手筋です。
ということで98同香成には同銀
しかないでしょう。(98同玉は端攻めが厳しいです。)後手は少し悩ましいのですが、先手の戦力が減ったので、62金上34馬84桂89銀75歩
持ち駒金を温存して、先手玉が少し薄くなったのでゆっくり確実に攻めることができます。
先手は馬を逃げずに切ると
63同金71金62金打21飛成69銀79金65桂打
先手玉の囲いの弱体化、後手の戦力の充実が背景にあり、形勢は良くなりません。
△か○ 79金は
持ち駒を温存していて、99香成の時に手抜いて63馬同銀53角成61香49歩
少し攻めて歩を入手し、49歩を打てれば盛り返した感じです。ただし形勢としてはまだ後手よしかも。
後手としては63馬の時に89金を打ちたくなります。
97玉63銀53角成には61桂
馬取りで49歩を打たせず、63馬79飛成は後手の勝ちでしょう。
しかし71馬同玉62歩同玉42飛成52角82金
これは必至ですね。先手の79金は99香成~89金97玉79竜の3手すき、寄せ合いの1手を稼いでいたということなのでした。
後手は途中62歩の詰めろに82玉と早逃げしてみると
61飛成は81香で粘れそうです。でも61歩成が詰めろ。すなわち79竜に81金
と打てば後手玉が詰んでいます。
☆ まとめ
自然な受けというか常識的には79銀と打つのが手堅いです。後手から一番ねらわれにくい場所に駒を埋めます。
もし小駒があれば、玉から遠い49から打つ方が良いかも。壁を作るならば遠くから(一の丸を)作りましょう。小さな駒のほうが取られた時の被害が少ないです。逆に玉の近くに打つと、ほかの駒を埋めるスペースが無くなってしまうかもしれません。
しばらく受けるしかないのであれば、駒損を避けたいです。相手の戦力が増えると受けにくいですし、守備力も低下してしまいますから。受けに回る時には少し駒得しているほうが良いでしょう。欲張るとつぶれてしまうので、玉の堅さを優先するのではありますが。
駒を打つ方が手堅いというのが受けの原則の一つですが、寄せ合いと見れば戦力が低下してしまいます。
銀冠の受け手筋は98香で互角くらい。
79金と節約したら、後手は99香成~89金97玉79竜で詰めろ。1手すきに1手かけて受けたら3手すきになっています。踏み込まれるとさらに受ける余地がないので寄せまでの手が伸びないのですが、寄せ合いの速度が逆転していました。
20181128今日の一手
7月28日の名南将棋大会から、一昨日の問題の終盤です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
問題図は
これなのですが、その前の序盤の知識を書いておきます。
先手としては37桂の前に48飛
としておくのが正しいです。(後手だけ高美濃なのでどこかで手損しています。)
55歩同歩同銀56歩44銀と待たれたら、46歩同歩同銀45歩
先手も1歩交換しただけに見えますが、ここで43歩同飛45銀同銀44歩
という手筋の攻めがあって、先手が有利になるのです。
後手としては48飛には53銀37桂44角
桂を跳ねられたところで角をぶつける順があって、先ほどの筋は怖くないというのが後に発見された手順で、この戦型は先手が打開しにくいとされています。左美濃にするかどうかは居飛車に選択権があるので、指されなくなっています。
さて問題図に戻ります。
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは57銀も守りについているとみれば先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は26角1枚。
後手の攻め駒はありません。
総合すれば互角か先手もちか。
☆ 大局観として
先手としては37桂の前に48飛のほうが無難でした。棒銀の要領で44銀をさばかれるのが見えますね。これをどうしのぐかあるいは利用するかという問題です。
銀の交換になったら玉の堅さは同等、後手の飛角も攻め駒になりそうです。先手は26角は攻め駒だけれど、28飛を攻めに使えない、となれば後手が指しやすくなります。
単純な銀交換を避け、飛車や右桂をさばく(2筋を破る、45桂と跳ねたい)ような展開が理想なのですが。
△ 実戦は自然なというかおとなしく55同歩同銀56歩46歩
とさばかれる順を選びました。46同歩同銀48歩57銀成同金39銀
18飛48銀不成58金37銀不成同角49飛成
後手に飛銀をさばかれましたが、先手も桂をさばいています。48飛とぶつけて同竜同金66角
67銀48角成同角49飛
結局は金桂歩歩と角銀の交換です。歩切れなので損得はないようなもの。玉の堅さは同程度、攻め駒は3枚ずつ。形勢は互角ですね。後手が飛車を先着した分だけ指しやすかどうかというところです。
さて後手としてはチャンスを逃したところがあります。
49飛成の前に57歩
を打っておく方が良かったのです。57同金には45桂、48金には46歩、68金右に48飛成48飛39竜、どれも指せそうです。
もう一つは48飛に69竜
逃げておいて、68金右ならば39竜で先手の飛角を負担にしておけました。
先手としては46歩の時に銀を取り
47歩成46と45銀打
銀を取られても交換しただけの結果です。後手の飛車をさばかせなければ形勢互角のはず。
もう一つは56歩ではなく56銀
とぶつけてしまうほうが後手も難しいです。66銀は45桂なので44銀68金引35歩同歩36歩34歩22角
27飛と我慢して桂と歩歩の交換だというのもありますし、24歩同歩44角同角24飛37歩成21飛成22飛同竜同角55桂62金引21飛
というさばき合いを目指すのもありそうです。
また56銀に同銀同金55銀
という順もありそう。これは先手玉が薄くなるので、後手のほうが良くなっている可能性もあります。
○ 先に68金引とすると先ほど最後の変化を回避できて
56歩同銀35歩
の変化に限定できるだけ先手の得ではないかと思います。形勢は互角ではありますが。
△ 68銀だと
56歩同金35歩
同じようでも先手玉がやや薄く感じるので、少し損ではないかと思います。同じ手順で
こう進むでしょう。形勢は互角です。
○ 何もしないでならば85歩
が一番有効な手待ちです。56歩同銀55歩の時に44角
44同飛45銀42飛54歩
角と銀歩の交換だという主張です。先手が悪くはありません。
× すぐに44角だと
44同角24歩26角打
27飛24歩55歩33桂56銀58歩
後手の26角がおかしな形ではありますが、駒損の先手は焦らされる展開です。後手有利でしょう。
× 58飛は
振り飛車感覚で攻められた筋に飛車をまわったわけですが、56歩同銀55歩
やはり銀が死んでいますから、44角同飛45銀と助けるしかなく26角
飛車が横に移動しているとまずいです。桂取りを受けても37角成~45飛で桂損になります。
△か× 24歩から
24同歩に別の変化に持ち込むこともできそうですが(それならば互角)、55歩同銀35歩
というのは26角のかたちでなければよく見る反撃手段です。35同歩同角(34歩44角は面白くない)36歩34歩
22角24角52飛45桂37歩成
桂をさばいたけれど と金を作られたというのは面白くないです。まだ形勢は難しそうではあるのですが。
☆ まとめ
互いに玉が堅いと起こりやすいのだろうと思いますが、自分だけで攻め手もうまくいかなくて、相手が攻めてきたのを利用するとうまくいくということがあります。ボクシングのクロスカウンターですね。
55同歩同銀56銀では力み過ぎという気もします(56同銀同金55銀が嫌味)が、
68金引56歩同銀は55銀を誘っています。
85歩と待って、56歩同銀55歩に44角と切るのがクロスカウンター。
(もし26角の位置ではなければ、55同歩同銀35歩同歩34歩というよくある手順もクロスカウンターという感じです。)
なんだか感覚的な解説になりましたが、相手が動いてきたところで、うまい返し方を考えてみたいです。