ミツバの葉縁にきれいな水滴が並んでいる。葉縁にある水孔からの排水という現象。
「気孔」から水蒸気が出るのは「蒸散」。
「気孔」と「蒸散」は高校生物でも勉強するし、「気孔」の顕微鏡観察は比較的なじみがある。
けれども、「水孔(すいこう)」「排水」は、園芸学部の勉強で知った。
生物の勉強って、用語(教科書の太字)が多くて、暗記科目だとか理科なのに文系的と言われたりする。
昨年度(2017年)、日本学術会議から、「高等学校の生物教育における重要用語の選定について」という報告と提言があったということを知った。教科書の用語を2000から500に減らそうという趣旨のようだ。
分科会の委員には、10年前に退職した私も存じ上げている先生方のお名前が並んでいる。どなたも、高校生物教育に、学習指導要領の作成・教科書執筆・教員研修・高校生の生物学オリンピックや各科学賞、高大連携などで深くかかわっておられる。と同時に、もちろん専門のご研究と学生指導でもご活躍の先生方だ。
当時「入学後、大学の教養生物では、まず、高校の生物はすべて忘れてください、と学生に言うのですよ」と笑っておっしゃる先生もいらした。
10年一昔(ひとむかし)。
生物科学・生命科学は進歩している。知ってもらいたいことも変わっている。
教える生物から生徒が考える生物へ、高校での教え方・学び方も変わっていくと漏れ聞いた。
日本学術会議「高等学校の生物教育における重要用語の選定について」は こちら→
提言の「重要語リスト」を見ると、「植物の個体・器官・働き」の単元に、「気孔」と「蒸散」がのっている