ゆうべ、
いびきをかきながらソファーでうたた寝していた「ま」さんが
いきなり 叫び声を上げた。
『いててててててててて・・・・ててててててて!』
高圧電流を流されたナニカの生き物の絶叫で始まり
暗闇で陰惨な目に遭った映画女優の苦悶の呻きを経て
あの後ドナドナドナの子牛があげるであろう悲哀に満ちた絶望感漂う絶叫に変化した叫びだった。
いまだかつて耳にしたことが無い 人のものとも思えぬ音階だった。
私は駆け寄った。
「どうしたのっ?!」
この時 私の心臓は酔っぱらいの嘔吐物並みに激しくとびだしそうだった。
『手が・・・』
「手が・・・・?」
この時 私の脳みそはフル回転で言葉にするのがはばかられるような事態を想像していた。
『・・・しびれた・・・』
「へ?」
この時 私の体温はバナナで五寸釘が打てるほどまでに下がりきった。
自分のお尻に圧迫されて
下敷きになった右手の血が止まって
しびれて
痛かったらしい。
う~~~ん。
つい、
絵をパンツ姿で上向きに描いてしまったのだけど
実際の「ま」さんは黒いジャージを穿いていて 右側を下にして寝ていた。
だから 正確には右手を圧迫していたのはお尻ではなくて腰なんだけど
そんなのはどうでもよくて
「ま」さんの右手は何故かポケットに突っ込まれていた。
しびれて痛い手は 動かなかったらしい。
「ま」さんは半泣きで
『手がおかしいねん・・・』と情けない表情で訴えた。
私がヒジと手首をつかんでぐいっと引っ張り出したのだが
それはそれで ものすごく痛かったらしい。
『ぐぎゃあぁあぁぁあぁぁあ!!!』と叫び
その後 口をきこうともせず また寝てしまった。
ちょっとかわいそうだったかな、と思ったけど
やっぱりばかばかしい気がして放っておいた。
さっき この記事を「ま」さん見せたら
『全く記憶にない』と言っていた。
もっと痛い目に遭わせないといけなかったのかも。